宅建過去問:ここでは「法令上の制限」の頻出過去問、重要過去問をお送りします。まずは「国土利用計画法」に関する過去問です。ここで重要なのは「事後届出」です。届出制の適用される区域、時期、届け出る者などを具体的に、正確に覚えておいてください。
- 国土利用計画法-事後届出の宅建過去問
■国士利用計画法第23条の届出(以下この問において「事後届出」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。(2006年の宅建過去問 問-17)
【問】土地売買等の契約を締結した場合には、当事者のうち当該契約による権利取得者は、その契約に係る土地の登記を完了した日から起算して2週間以内に、事後届出を行わなければならない。
登記完了や条件成就の日からなどではなく、契約(予約を含む)を締結した日から2週間以内に都道府県知事に届け出ます。よって誤りです。
【問】注視区域又は監視区域に所在する土地について、土地売買等の契約を締結しようとする場合には、国土利用計画法第27条の4又は同法27の7の事前届出が必要であるが、当該契約が一定の要件を満たすときは事後届出も必要である。
注視区域または監視区域で必要となるのは事前届出で、事前届出と事後届出の両方が同時に必要になることはありません。よって誤りです。
【問】都道府県知事は、事後届出があった場合において、その届出書に記載された土地に関する権利の移転等の対価の額が土地に関する権利の相当な価額に照らし著しく適正を欠くときは、当該対価の額について必要な変更をすべきことを勧告することができる。
事後届出において土地の利用目的について勧告を受けることはありますが、対価の額について勧告を受けることはありません(事前届出は対価の額も勧告対象)。よって誤りです。
【問】事後届出が必要な土地売買等の契約を締結したにもかかわらず、所定の期間内にこの届出をしなかった宅建業者は、6月以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる。
事後届出が必要な土地売買等の契約を締結したにもかかわらず、契約締結日から2週間以内に届出をしなかった者は、6月以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。よって正しい肢となります。
■国土利用計画法第23条の届出(以下この問において「事後届出」という)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。(1999年の宅建過去問 問-16)
【問】土地売買等の契約を締結した場合には、当事者双方は、その契約を締結した日から起算して2週間以内に、事後届出を行わなければならない。
事後届出は権利取得者のみが行います。よって誤りです。
【問】宅建業者が、一団の造成宅地を数期に分けて不特定多数の者に分譲する場合において、それぞれの分譲面積は事後届出の対象面積に達しないが、その合計面積が事後届出の対象面積に達するときは、事後届出が必要である。
一団の土地といえるかどうかは、権利取得者(=買主等)を基準に判断します。権利取得者ごとに判断し、対象面積に達していなければ届出は不要です。よって誤りです。
■国土利用計画法第23条に基づく都道府県知事への届出(以下この問において「事後届出」 という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。(2008年の宅建過去問 問-17)
【問】宅建業者Aが所有する市街化区域内の1.500平方メートルの土地について、宅建業者Bが購入する契約を締結した場合、Bは、その契約を締結した日から起算して2週間以内に事後届出を行わなければならない。
市街化区域内において事後届出が必要になるのは、2,000㎡以上の一団の土地について権利移転等を行う場合です。よって誤りです。
【問】個人Fが所有する都市計画区域外の30,000平方メートルの土地について、その子Gが相続した場合、Gは、相続した日から起算して2週間以内に事後届出を行わなければならない。
都市計画区域外において事後届出が必要になるのは、10,000㎡以上の一団の土地について権利移転等を行う場合ですが、事後届出が必要となるのは「対価を得て」土地の権利移転等を行う場合です。相続や贈与、時効取得等については「対価を得て」とはいえず、事後届出は不要となります。よって誤りです。
■国土利用計画法第23条の届出(以下この問において「事後届出」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。(2012年の宅建過去問 問-15)
【問】市街化調整区域において宅建業者Aが所有する面積4,000平方メートルの土地について、Bが一定の計画に従って、2,000平方メートルずつに分割して順次購入した場合、Bは事後届出を行わなければならない。
市街化調整区域内において事後届出が必要になるのは、5,000㎡以上の一団の土地について権利移転等を行う場合で、順次購入しても合計して届出必要面積に達していれば届出が必要ですが、本肢は市街化調整区域における届出必要面積5,000㎡に達していないので事後届出は不要です。よって誤りです。
【問】土地売買等の契約による権利取得者が事後届出を行う場合において、当該土地に関する権利の移転の対価が金銭以外のものであるときは、当該権利取得者は、当該対価を時価を基準として金銭に見積もった額に換算して、届出書に記載しなければならない。
届出事項は「土地の利用目的」と「対価の額」なので、対価が金銭以外のものであるときは「時価を基準として金銭に見積った額」を届け出る必要があります。よって正しい肢となります。
■国土利用計画法第23条の都道府県知事への届出(以下この問において「事後届出」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。(2010年の宅建過去問 問-15)
【問】宅建業者Aが、自ら所有する市街化区域内の5,000平方メートルの土地について、宅建業者Bに売却する契約を締結した場合、Bが契約締結日から起算して2週間以内に事後届出を行わなかったときは、A及びBは6月以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる場合がある。
罰則が適用されるのは届出義務があるBのみで、届出義務のないAに罰則が適用されることはありません。よって誤りです。
【問】乙市が所有する市街化調整区域内の10,000平方メートルの土地と丙市が所有する市街化区域内の2,500平方メートルの土地について、宅建業者Dが購入する契約を締結した場合、Dは事後届出を行う必要はない。
当事者の一方または双方が国や地方公共団体、その他法令で定める法人である場合、事後届出を行う必要はありません。よって正しい肢となります。
【問】事後届出に係る土地の利用目的について、丁県知事から勧告を受けた宅建業者Eが勧告に従わなかった場合、丁県知事は、その旨及びその勧告の内容を公表しなければならない。
都道府県知事が土地の利用目的について勧告し、勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、その旨および内容を公表することができます。公表できるのであって義務ではありません。よって誤りです。尚、勧告に従わなかったとしても罰則が適用されることはありません。
■国土利用計画法第23条の届出(以下この問において「事後届出」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。(2007年の宅建過去問 問-17)
【問】宅建業者であるAとBが、市街化調整区域内の6,000平方メートルの土地について、Bを権利取得者とする売買契約を締結した場合には、Bは事後届出を行う必要はない。
市議化調整区域で5,000㎡以上なので事後届出が必要です。上記でもちょこちょこ出てきていますが、当事者が宅建業者であっても関係ありません。よって誤りです。
【問】事後届出が必要な土地売買等の契約により権利取得者となった宅建業者が事後届出を行わなかった場合には、都道府県知事から当該届出を行うよう勧告されるが、罰則の適用はない。
届出が必要な契約を締結して届出を行わなかった場合、6月以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。また、事後届出をするようにと勧告する規定もありません。土地の利用目的についての勧告との混乱を狙った単純なひっかけ問題で、誤りとなります。
■国士利用計画法第23条の届出(以下この問において「事後届出」という。)及び同法第27条の7の届出(以下この問において「事前届出」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。(2004年の宅建過去問 問-16)
【問】監視区域内の市街化調整区域に所在する面積6,000平方メートルの一団の土地について、所有者Aが当該土地を分割し、4,000平方メートルをBに、2,000平方メートルをCに売却する契約をB、Cと締結した場合、当該土地の売買契約についてA、B及びCは事前届出をする必要はない。
監視区域内において必要となるのは事前届出であり、都道府県の規則で届出必要面積を定めますが、この面積要件は事後届出の場合よりも緩和することができません。そして事前届出において一団の土地といえるかどうかは、権利取得者(買主等)と権利設定者(売主等)の双方を基準に判断されます。市街化調整区域内において6,000㎡の一団の土地について権利移転を行うには事後届出が必要なため、よって本肢も事前届出が必要となり、誤りとなります。また、事前届出は買主、売主の両当事者が行う点にも注意です。
【問】宅建業者Fが所有する市街化区域内に所在する面積4,500平方メートルの甲地と宅建業者Gが所有する市街化調整区域内に所在する面積5,500平方メートルの乙地を金銭の授受を伴わずに交換する契約を締結した場合、F、Gともに事後届出をする必要がある。
土地の交換契約は、金銭の授受を伴わなくても届出を要する契約に該当し、それぞれの当事者が事後届出をする必要があります。本肢では共に届出対象面積以上ですので、FG双方が事後届出を要します。よって正しい肢となります。
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