【地役権】で押さえる宅建過去問

宅建過去問:「地役権」の重要過去問を見ていきます。出題可能性は低めですが簡単です。要役地と承役地の区別、通行地役権と囲繞地通行権との比較はしっかりと。では、サラっと見ていきます!

地役権の宅建過去問

観光旅館を経営しているAは、旅館からの眺望を確保するため、B及びCの土地について3階以上の建築物を建てさせない旨の地役権を設定したいと思っている。次の記述のうち、正しいものはどれか。(1979年の宅建過去問 問-7)

【問】Cの土地は、Aの旅館の敷地と隣接していないので、Cの土地を承役地とする地役権は設定できない。

要役地と承役地は隣接していることを要しません。よって誤りです。尚、要役地に所有権の登記がなければ、承役地に地役権の設定登記をすることはできません

【問】Cの土地を要役地、Bの土地を承役地とする通行地役権が設定されている場合には、重ねてBの土地を承役地とする地役権は設定できない。

同一土地上に複数の地役権を設定することも認められます。よって誤りです。

【問】眺望を目的とする地役権は設定できない。

要役地の便益になればよいので設定可能です。よって誤りです。

【問】B及びCの土地に地役権を設定するについて、地役権の対価を無償とする内容のものであっても有効である。

地役権は特約ない限り無償となります。よって正しい肢となります。


地役権に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。(1983年の宅建過去問 問-4)

【問】要役地の共有者の一人は、その持分について、その土地の上に存する地役権を消滅させることができる。

要役地または承役地の共有者の1人は、自己の持分について地役権を消滅させることはできません。よって誤りです。

【問】承役地の共有者の一人は、その持分について、その土地のために存する地役権を消滅させることができない。

上の説明通り。よって正しい肢となります。


民法の規定によれば、地役権に関する次の記述のうち正しいものはどれか。(1986年の宅建過去問 問-11)

【問】承役地を第三者が不法占拠している場合、地役権者はその者に対して当該承役地を自己に引き渡すよう請求することができる。

地役権は、承役地を一定の範囲内での目的で利用する権利です。したがって、地役権者には承役地を排他的に占有する権利はありません。よって誤りです。尚、承役地の利用を妨げられている場合には、回復するための物権的請求権は認められています。


Aは、自己所有の甲土地の一部につき、通行目的で、隣地乙土地の便益に供する通行地役権設定契約(地役権の付従性について別段の定めはない)を、乙士地所有者Bと締結した。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。(2002年の宅建過去問 問-14)

【問】この通行地役権の設定登記をしないまま、Aが、甲土地をCに譲渡し、所有権移転登記を経由した場合、Cは、通路として継続的に使用されていることが客観的に明らかであり、かつ、通行地役権があることを知っていたときでも、Bに対して、常にこの通行地役権を否定できる。

1.承役地が要役地の所有者によって継続的に通路として使用されていることが、位置・形状・構造などの物理的状況から客観的に明らかである、2.譲受人がそのことを認識していた、または認識することが可能であった。この2つが成り立つとき譲受人は、通行地役権が設定されていることを知らなかったとしても、特段の事情がない限り、地役権登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有する第三者にはあたりません。よって誤りです。

【問】この通行地役権の設定登記を行った後、Bが、乙土地をDに譲渡し、乙土地の所有権移転登記を経由した場合、Dは、この通行地役権が自己に移転したことをAに対して主張できる。

地役権は要役地のために存在する権利なので、特約がない限り要役地の所有権が移転すれば地役権も移転します。要役地の所有権とともに地役権を取得した者が、所有権の取得を承役地の所有者に対抗し得るときは、地役権の取得についても承役地の所有者に対抗することができます。よって正しい肢となります。

【問】Bは、この通行地役権を、乙土地と分離して、単独で第三者に売却することができる。

地役権は要役地のために存在する権利なので、要役地と分離して地役権だけを譲渡することはできません。よって誤りです。

【問】Bが、契約で認められた部分ではない甲土地の部分を、継続かつ表現の形で、乙土地の通行の便益のために利用していた場合でも、契約で認められていない部分については通行地役権を時効取得することはできない。

地役権は、契約での設定行為・遺言・相続などによって取得されるほか、時効によっても取得できます(継続「かつ」表現のものに限って時効取得可)。よって誤りです。ちなみに承役地の所有者が自己の費用で地役権の行使のために工作物を設け、またはその修繕義務を負担していたときは、承役地所有者の特定承継人はその義務も承継し負担します。


A所有の甲地は袋地で、Aが所有していない囲繞地を通る通路を開設しなければ公道に出ることができない。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。(2001年の宅建過去問 問-3)

注意:法改正により袋地=他の土地に囲まれて公道に通じない土地、囲繞地=その土地を囲んでいる他の土地、囲繞地通行権=公道に至るための他の土地の通行権となっています

【問】Aは、囲繞地の所有者に代償を支払えば、自己の意思のみによって通行の場所及び方法を定め、囲繞地に通路を開設することができる。

償金を支払ったとしても、Aのために必要で囲繞地のために最も損害の少ない通路を選ぶ必要があります。よって誤りです。尚、通行は徒歩に限らず自動車等でも必要があれば認められます。

【問】Bが、Aから甲地を譲り受けた場合には、Bは、所有権移転の登記を完了しないと、囲繞地に通路を開設することができない。

袋地の所有権を取得したBは、所有権の登記がなくても囲繞地通行権を主張することができます。よって誤りです。

【問】甲地が、A及びCの共有地の分割によって袋地となったときには、Aは、Cが所有する分割後の残余地にしか通路を開設することができない。

分割によって袋地が生じた場合、その土地の所有者Aは他の分割者であるCの所有地のみ通行することができます(地役権は原則無償、囲繞地通行権は原則有償ですが、この場合の囲繞地通行権は償金不要)。よって正しい肢となります。

【問】甲地が、D所有の土地を分筆してAに売却した結果、袋地になった場合で、Dが、甲地の譲渡後、その残余地である乙地をEに売却したときには、Aは乙地に通路を開設することができない。

土地の一部を譲渡したことにより袋地が生じた場合、AはDの所有地のみ通行することができ、Eに譲渡されても通行権は消滅しません。よって誤りです。


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