宅建過去問:「委任」の重要過去問を見ていきます。もともと出題可能性が低い上に、最近は更に減少傾向です。しかしとても簡単ですので、出題されたら確実に1点いただいておきましょう。
- 委任の宅建過去問
■委任に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。(1988年の宅建過去問 問-4)
【問】受任者は、原則として委任者に対し定期的に委任事務処理の状況を報告しなければならない。
受任者は定期的に状況報告する必要はなく、委任者から請求されたときと、委任が終了したときに報告すればよい。よって誤りです。
【問】受任者は、報酬を受ける特約のないときは、自己の事務処理におけると同程度の注意義務で足り、善良な管理者としての注意義務までは負わない。
受任者は、有償無償を問わず善良なる管理者の注意義務を負います。よって誤りです。
【問】委任は、原則として各当事者がいつでもこれを解除することができる。
委任は当事者の合意により成立し(委任状等は不要)、理由を問わずに各当事者がいつでも解除できます(解除により一方が不利益を受けた場合は損害賠償請求が可能)。よって正しい肢となります。
【問】委任は、当事者の死亡又は破産手続開始の決定による場合に限り当然に終了する。
当事者の死亡または破産、受任者の後見開始の審判が終了事由です。よって誤りです。
■Aは、Bにマンションの一室を賃貸するに当たり、管理を業としないCとの間で管理委託契約を締結して、Cに賃料取立て等の代理権を与えた。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。(1995年の宅建過去問 問-9)
【問】Aは、CがBから取り立てた賃料を自己の生活費に消費したときは、Cに対して、その賃料額に消費した日以後の利息を付した金額を支払うよう請求することができる。
受任者が、委任者に引き渡すはずの金銭を自己のために消費したときは、その消費した日以後の利息を支払う必要があり、準委任でも同様です。よって正しい肢です。
【問】Aが死亡したとき、委託契約は終了するが、急迫の事情がある場合においては、Cはその管理業務を行う必要がある。
委任契約終了時に急迫の事情がある場合、受任者またはその相続人は、委任者またはその相続人が委任事務を処理することができるようになるまで必要な処分をする必要があり、準委任でも同様です。よって正しい肢です。
【問】Cは、地震のため重傷を負った場合、Aの承諾を得ることなく、Dに委託して賃料の取立てをさせることができる。
本人の承諾がある場合、またはやむを得ない事情がある場合は復委任をすることができ、準委任でも同様です。よって正しい肢です。
■Aは、その所有する土地について、第三者の立入り防止等の土地の管理を、当該管理を業としていないBに対して委託した。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。(1997年の宅建過去問 問-9)
【問】Bが有償で本件管理を受託している場合で、Bの責に帰すべからざる事由により本件管理委託契約が履行の中途で終了したときは、Bは、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。
委任が受任者の責任でなく履行途中で終了した場合、受任者は、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができます(委任者に帰責事由があれば全額請求可能)。よって正しい肢となります。受任者は特約がある場合のみ報酬を請求できますが、受任者が委任の事務処理に必要な費用を負担した場合には、無償の委任契約であっても利息と合わせて償還を請求できる点にも注意。
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