平成29年-2017年の宅建士試験問題と解説

とても役立つ年度別の解説付き宅建士試験問題です。宅地建物取引業法=宅建業法などスッキリ略し、解説も要点だけに絞っています。要点を一気にチェックしながら平成29年(2017年)通し問題を見ていきましょう。

平成29年(2017年)宅建士試験問題と解説
平成29年(2017年)宅建士試験問題
1.権利関係の問題 問1~14
 2.宅建業法の問題 問26~45
  3.法令制限の問題 問15~22
 4.税その他の問題 問23~25
5.税その他の問題 問46~50


【問1】代理に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1.売買契約を締結する権限を与えられた代理人は、特段の事情がない限り、相手方からその売買契約を取り消す旨の意思表示を受領する権限を有する。
2.委任による代理人は、本人の許諾を得たときのほか、やむを得ない事由があるときにも、復代理人を選任することができる。
3.復代理人が委任事務を処理するに当たり金銭を受領し、これを代理人に引き渡したときは、特段の事情がない限り、代理人に対する受領物引渡義務は消滅するが、本人に対する受領物引渡義務は消滅しない。
4.夫婦の一方は、個別に代理権の授権がなくとも、日常家事に関する事項について、他の一方を代理して法律行為をすることができる。

⇒正解(3)
3:復代理人は受領物を代理人に引き渡す義務があり、また、復代理人は本人に対して代理人と同一の義務を負います。つまり、復代理人は本人にも受領物を引き渡す義務があるのですが、この場合は本人または代理人のどちらかに引き渡せば引渡義務は消滅します。目的物が不動産だった場合など、どうやって双方に引き渡すのか…常識判断で正解できますね。



【問2】所有権の移転又は取得に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1.Aの所有する甲土地をBが時効取得した場合、Bが甲土地の所有権を取得するのは、取得時効の完成時である。
2.Aを売主、Bを買主としてCの所有する乙建物の売買契約が締結された場合、BがAの無権利について善意無過失であれば、AB間で売買契約が成立した時点で、Bは乙建物の所有権を取得する。
3.Aを売主、Bを買主として、丙土地の売買契約が締結され、代金の完済までは丙土地の所有権は移転しないとの特約が付された場合であっても、当該売買契約締結の時点で丙土地の所有権はBに移転する。
4.AがBに丁土地を売却したが、AがBの強迫を理由に売買契約を取り消した場合、丁土地の所有権はAに復帰し、初めからBに移転しなかったことになる。

⇒正解(4)
1:時効の効力は起算日に遡るため、Bが占有を開始したときに所有権を取得したことになります。
2:他人物売買はひとまず有効に成立しますが、それで所有権がBに移転するわけではなく、AはCから所有権を取得してBに移転する義務を負います。
3:所有権移転時期に関する特約があれば特約が優先します。
4:強迫による意思表示は取り消すことができ、取り消された行為は初めから無効とみなされます。



【問3】次の1から4までの記述のうち、民法の規定及び下記判決文によれば、誤っているものはどれか。

(判決文)共有者の一部の者から共有者の協議に基づかないで共有物を占有使用することを承認された第三者は、その者の占有使用を承認しなかった共有者に対して共有物を排他的に占有する権原を主張することはできないが、現にする占有がこれを承認した共有者の持分に基づくものと認められる限度で共有物を占有使用する権原を有するので、第三者の占有使用を承認しなかった共有者は右第三者に対して当然には共有物の明渡しを請求することはできないと解するのが相当である。

1.共有者は、他の共有者との協議に基づかないで当然に共有物を排他的に占有する権原を有するものではない。
2.AとBが共有する建物につき、AB間で協議することなくAがCと使用貸借契約を締結した場合、Bは当然にはCに対して当該建物の明渡しを請求することはできない。
3.DとEが共有する建物につき、DE間で協議することなくDがFと使用貸借契約を締結した場合、Fは、使用貸借契約を承認しなかったEに対して当該建物全体を排他的に占有する権原を主張することができる。
4.GとHが共有する建物につき、Gがその持分を放棄した場合は、その持分はHに帰属する。

⇒正解(3)
1:各共有者は、共有物の全部について持分に応じて使用することができ、排他的に占有することはできません。
3:FはEに対して排他的占有権を主張することができないと思いきり書いてありますね。
4:共有者の一人が持分を放棄した場合、その持分は他の共有者に帰属します。



【問4】次の記述のうち、平成29年4月1日現在施行されている民法の条文に規定されているものはどれか。

1.権利についての協議を行う旨の合意が書面でされたときは、その合意があった時から1年を経過した時までは、時効は完成しない旨
2.他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる旨
3.売主は、買主に対し、登記、登録その他の売買の目的である権利の移転についての対抗要件を備えさせる義務を負う旨
4.賃借人の原状回復義務の対象となる損傷からは、通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年劣化を除く旨

⇒正解(2)134番は平成29年の時点では施行されていない改正民法ですね(=現在は規定されています)。
1:令和2年の宅建試験以降の出題となりますが、当事者が協議を行い書面で合意した場合、当事者が定めた協議期間(1年未満。定めがなければ1年)は時効の完成が猶予されます当事者の一方から協議続行を拒否する旨の通知が書面でなされた場合、その通知から6ヶ月を経過するまで時効の完成は猶予されます。将来確実に出題されそうな新規定です。



【問5】Aは、中古自動車を売却するため、Bに売買の媒介を依頼し、報酬として売買代金の3%を支払うことを約した。Bの媒介によりAは当該自動車をCに100万円で売却した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1.Bが報酬を得て売買の媒介を行っているので、CはAから当該自動車の引渡しを受ける前に、100万円をAに支払わなければならない。
2.当該白動車に隠れた瑕疵があった場合には、CはAに対しても、Bに対しても、瑕疵担保責任を追及することができる。
3.売買契約が締結された際に、Cが解約手付として手付金10万円をAに支払っている場合には、Aはいつでも20万円を償還して売買契約を解除することができる。
4.売買契約締結時には当該自動車がAの所有物ではなく、Aの父親の所有物であったとしても、AC間の売買契約は有効に成立する。

⇒正解(4)
1:売主の代金請求権と、買主の引渡請求権は同時履行の関係に立ちます。
2:目的物の種類・品質に不適合があっても、媒介者が売主としての担保責任を負うことはありません。
3:契約の相手方が履行に着手している場合は、倍額を償還しても手付による解除はできません(=いつでも×)。



【問6】Aが死亡し、相続人がBとCの2名であった場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1.①BがAの配偶者でCがAの子である場合と、②BとCがいずれもAの子である場合とでは、Bの法定相続分は①の方が大きい。
2.Aの死亡後、いずれもAの子であるBとCとの間の遺産分割協議が成立しないうちにBが死亡したときは、Bに配偶者Dと子Eがいる場合であっても、Aの遺産分割についてはEが代襲相続人として分割協議を行う。
3.遺産分割協議が成立するまでの間に遺産である不動産から賃料債権が生じていて、BとCがその相続分に応じて当該賃料債権を分割単独債権として確定的に取得している場合、遺産分割協議で当該不動産をBが取得することになっても、Cが既に取得した賃料債権につき清算する必要はない。
4.Bが自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所に対して、相続によって得た財産の限度においてのみAの債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して相続を承認する限定承認をする旨を申述すれば、Cも限定承認をする旨を申述したとみなされる。

⇒正解(3)正解肢が細かいので消去法で取りたい問題。
1:配偶者と子1人、子が2人、どちらも相続分は1/2となります。
2:Aの死亡前にBが死亡していたなら代襲相続としてEがCと分割協議を行うことになりますが、A死亡後にBが死亡しているので代襲相続ではなく数次相続となり、DEがCと分割協議を行うことになります。
3:遺産分割協議の効力は相続開始時に遡って生ずるのが原則ですが、本旨の賃料は清算する必要はありません。知らない人の方が多かったであろう難問ですね。
4:限定承認は、相続人の全員が共同で行う必要があります。



【問7】請負契約に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1.請負契約が請負人の責めに帰すべき事由によって中途で終了し、請負人が施工済みの部分に相当する報酬に限ってその支払を請求することができる場合、注文者が請負人に請求できるのは、注文者が残工事の施工に要した費用のうち、請負人の未施工部分に相当する請負代金額を超える額に限られる。
2.請負契約が注文者の責めに帰すべき事由によって中途で終了した場合、請負人は、残債務を免れるとともに、注文者に請負代金全額を請求できるが、自己の債務を免れたことによる利益を注文者に償還しなければならない。
3.請負契約の目的物に瑕疵がある場合、注文者は、請負人から瑕疵の修補に代わる損害の賠償を受けていなくとも、特別の事情がない限り、報酬全額を支払わなければならない。
4.請負人が瑕疵担保責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実については、その責任を免れることはできない。

⇒正解(3)正しい肢の12番が請負にしては細かいですね。これを機に頭の片隅に入れておきましょう。
1:当事者の責任でなく仕事を完成することができない場合、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬請求可能です。
3:請負契約の目的物に不適合がある場合、注文者は不適合の修補に代えて、またはその修補とともに損害賠償の請求をすることができ、注文者の損害賠償請求権と請負人の報酬請求権は同時履行の関係に立ちます。
4:請負人が契約不適合責任を負わない旨の特約も有効ですが、知りながら告げなかった事実については責任を負います



【問8】A、B、Cの3人がDに対して900万円の連帯債務を負っている場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。なお、A、B、Cの負担部分は等しいものとする。

1.DがAに対して履行の請求をした場合、B及びCがそのことを知らなければ、B及びCについては、その効力が生じない。
2.Aが、Dに対する債務と、Dに対して有する200万円の債権を対当額で相殺する旨の意思表示をDにした場合、B及びCのDに対する連帯債務も200万円が消滅する。
3.Bのために時効が完成した場合、A及びCのDに対する連帯債務も時効によって全部消滅する。
4.CがDに対して100万円を弁済した場合は、Cの負担部分の範囲内であるから、Cは、A及びBに対して求償することはできない。

⇒正解(2)
1:連帯債務者の一人に対する履行の請求は、他の連帯債務者にも効力を生じます。改正民法により、履行の請求は相対効となっています。知っていても効力は生じず、BCの消滅時効は進行を続けます。「知らなければ」という点が誤りですね。
2:Aが相殺を援用しない場合、改正民法により他の連帯債務者は、その負担部分を限度として履行を拒むことができる点にも注意。相殺を援用するのではなく、単に債務の履行を拒絶できるに過ぎなくなっています。
3:連帯債務者の一人に時効が完成した場合、その負担部分について他の連帯債務者も債務を免れます。改正民法により、時効の完成は相対効となっています。
4:連帯債務者の一人が弁済した場合、その負担部分について他の連帯債務者に求償することができます(CはABに対して各33万3333円を求償できる)。



【問9】1億2,100万円の財産を有するAが死亡した。Aには、配偶者はなく、子B、C、Dがおり、Bには子Eが、Cには子Fがいる、Bは相続を放棄した。また、Cは生前のAを強迫して遺言作成を妨害したため、相続人となることができない。この場合における法定相続分に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1.Dが4,000万円、Eが4,000万円、Fが4,000万円となる。
2.Dが1億2,000万円となる。
3.Dが6,000万円、Fが6,000万円となる。
4.Dが6,000万円、Eが6,000万円となる。

⇒正解(3)落ち着いて、順番に整理しながら見ていきましょう。まず、相続欠格事由に該当するCは相続人となれませんが、その子Fは代襲相続をすることができます。しかし、相続放棄をしたBの子Eは代襲相続ができません。よって相続人はDFとなり、子と子の代襲相続ということで相続分は各1/2となりますね。



【問10】①不動産質権と②抵当権に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1.①では、被担保債権の利息のうち、満期となった最後の2年分についてのみ担保されるが、②では、設定行為に別段の定めがない限り、被担保債権の利息は担保されない。
2.①は、10年を超える存続期間を定めたときであっても、その期間は10年となるのに対し、②は、存続期間に関する制限はない。
3.①は、目的物の引渡しが効力の発生要件であるのに対し、②は、目的物の引渡しは効力の発生要件ではない。
4.①も②も不動産に関する物権であり、登記を備えなければ第三者に対抗することができない。

⇒正解(1) 質権は本当に余裕があれば頭の片隅程度に・・。
1:不動産質権者は、別段の定めをしない限り利息を請求することはできません(=別段の定めがあれば利息の請求可)。
2:抵当権に存続期間はありませんが、不動産質権は最長で10年となります。
3:抵当権は設定契約により効力が発生し、不動産質権等の質権は全て目的物の引渡しが効力発生要件となります。
4:抵当権も不動産質権も、対抗要件は登記です。



【問11】A所有の甲土地につき、平成29年10月1日にBとの間で賃貸借契約(以下「本件契約」という。)が締結された場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。

1.Aが甲土地につき、本件契約とは別に、平成29年9月1日にCとの間で建物所有を目的として賃貸借契約を締結していた場合、本件契約が資材置場として更地で利用することを目的とするものであるときは、本件契約よりもCとの契約が優先する。
2.賃借権の存続期間を10年と定めた場合、本件契約が居住の用に供する建物を所有することを目的とするものであるときは存続期間が30年となるのに対し、本件契約が資材置場として更地で利用することを目的とするものであるときは存続期間は10年である。
3.本件契約が建物所有を目的として存続期間60年とし、賃料につき3年ごとに1%ずつ増額する旨を公正証書で定めたものである場合、社会情勢の変化により賃料が不相当となったときであっても、AもBも期間満了まで賃料の増減額請求をすることができない。
4.本件契約が建物所有を目的としている場合、契約の更新がなく、建物の買取りの請求をしないこととする旨を定めるには、AはあらかじめBに対してその旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。

⇒正解(2)
1:利用目的は関係なく、先に登記を備えた方が優先します。
2:建物所有(借地借家法)=最短30年、資材置場(民法の賃貸借)=最長50年なので10年も可。
3:「特約によって賃料を定めることが借地借家法11条1項の趣旨に照らして不相当となった場合」には特約は効力を失います。
4:問題文的に定期借地権なので設定に書面が必要(電子交付可。事業用なら公正証書)ですが、交付して説明する必要はありません(問12-4と比較)。



【問12】Aが所有する甲建物をBに対して3年間賃貸する旨の契約をした場合における次の記述のうち、借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。

1.AがBに対し、甲建物の賃貸借契約の期間満了の1年前に更新をしない旨の通知をしていれば、AB間の賃貸借契約は期間満了によって当然に終了し、更新されない。
2.Aが甲建物の賃貸借契約の解約の申入れをした場合には申入れ日から3月で賃貸借契約が終了する旨を定めた特約は、Bがあらかじめ同意していれば、有効となる。
3.Cが甲建物を適法に転借している場合、AB間の賃貸借契約が期間満了によって終了するときに、Cがその旨をBから聞かされていれば、AはCに対して、賃貸借契約の期間満了による終了を対抗することができる。
4.AB間の賃貸借契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借で、契約の更新がない旨を定めるものである場合、当該契約前にAがBに契約の更新がなく期間の満了により終了する旨を記載した書面を交付して説明しなければ、契約の更新がない旨の約定は無効となる。

⇒正解(4)
1:通知で当然に契約終了となるわけではなく、賃借人が居座っているのならば、遅滞なく意義を述べないと契約は更新されてしまいます。
2:期間の定めがあっても賃貸人からの解約申入れは可能(正当事由が必要)ですが、申入れから6ヶ月後に賃貸借契約は終了し、これよりも賃借人に不利な特約は同意があっても無効となります。ちなみに、賃借人からの解約申入れは正当事由不要で3ヶ月後に終了ですのでしっかり区別を。
3:賃貸人が転借人に対抗するには、賃貸人が転借人に通知しておく必要があります。
4:定期建物賃貸借で契約の更新がない旨を定めるものである場合、契約の更新がなく期間の満了により終了することについて書面を交付(相手方の承諾を得て電子交付可)して説明しなければ、定期建物賃貸借の定めは無効となります。



【問13】建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1.管理者は、少なくとも毎年1回集会を招集しなければならない。
2.区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有するものは、管理者に対し、会議の目的たる事項を示して、集会の招集を請求することができるが、この定数は規約で減ずることはできない。
3.集会の招集の通知は、区分所有者が管理者に対して通知を受け取る場所をあらかじめ通知した場合には、管理者はその場所にあててすれば足りる。
4.集会は、区分所有者全員の同意があれば、招集の手続を経ないで開くことができる。

⇒正解(2)基本的な単純知識が並んだ区分所有法。正しい肢もしっかり押さえておいてください。
2:前段は正しいが、規約で減ずることも可



【問14】不動産の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1.建物の名称があるときは、その名称も当該建物の表示に関する登記の登記事項となる。
2.地上権の設定の登記をする場合において、地上権の存続期間の定めがあるときは、その定めも登記事項となる。
3.賃借権の設定の登記をする場合において、敷金があるときであっても、その旨は登記事項とならない。
4.事業用定期借地権として借地借家法第23条第1項の定めのある賃借権の設定の登記をする場合、その定めも登記事項となる。

⇒正解(3)これもまた単純知識ですが、こちらは細かめですね。1番と3番だけ頭の片隅に入れておけば十分でしょう。
3:賃借権設定の登記において「敷金があるときは、その旨」は登記事項となります。



【問15】農地に関する次の記述のうち、農地法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。

1.市街化区域内の農地を耕作のために借り入れる場合、あらかじめ農業委員会に届出をすれば、法第3条第1項の許可を受ける必要はない。
2.市街化調整区域内の4ヘクタールを超える農地について、これを転用するために所有権を取得する場合、農林水産大臣の許可を受ける必要がある。
3.銀行から500万円を借り入れるために農地に抵当権を設定する場合、法第3条第1項又は第5条第1項の許可を受ける必要がある。
4.相続により農地の所有権を取得した者は、遅滞なく、その農地の存する市町村の農業委員会にその旨を届け出なければならない。

⇒正解(4)絶対に落とせない簡単すぎる農地法。
1:市街化区域内であれば許可不要で、農業委員会への届出で足りるという特例は4条5条許可のみに認められます。
2:5条許可の許可権者は都道府県知事等です。
3:抵当権の設定に3条5条許可は不要です(許可が必要となる権利移動→所有権、地上権、賃借権、使用貸借権など)。
4:相続による農地取得は許可不要で、農業委員会へ届け出れば足ります



【問16】都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

ア 都市計画施設の区域又は市街地開発事業の施行区域内において建築物の建築をしようとする者は、一定の場合を除き、都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長)の許可を受けなければならない。
イ 地区整備計画が定められている地区計画の区域内において、建築物の建築を行おうとする者は、都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長)の許可を受けなければならない。
ウ 都市計画事業の認可の告示があった後、当該認可に係る事業地内において、当該都市計画事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更を行おうとする者は、都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長)の許可を受けなければならない。
エ 都市計画事業の認可の告示があった後、当該認可に係る事業地内の土地建物等を有償で譲り渡そうとする者は、当該事業の施行者の許可を受けなければならない。

⇒正解(1)正しいものはアウ
ア:許可不要となる一定の場合=軽易な行為、非常災害のため必要な応急措置として行う行為、都市計画事業の施行として行う行為
イ:地区整備計画が定められている地区計画の区域内では都道府県知事の許可ではなく、工事着手30日前までに市町村長に届け出ます
ウ:都市計画事業の施行の障害となるおそれがある一定の行為(=建築物の建築、工作物の建設、土地の形質の変更、5トン超の物件の設置・堆積)について、都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長)の許可が必要となります(特例なし)。
エ:認可が必要となる上記ウの行為に譲り渡すという概念はなく、悪意ある譲渡を阻止するために「先買い」を行うとすれば、施行者への届出で足ります。



【問17】都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。ただし、許可を要する開発行為の面積について、条例による定めはないものとし、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び施行時特例市にあってはその長をいうものとする。

1.準都市計画区域内において、工場の建築の用に供する目的で1,000㎡の土地の区画形質の変更を行おうとする者は、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けなければならない。
2.市街化区域内において、農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で1,000㎡の土地の区画形質の変更を行おうとする者は、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けなければならない。
3.都市計画区域及び準都市計画区域外の区域内において、変電所の建築の用に供する目的で1,000㎡の土地の区画形質の変更を行おうとする者は、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けなければならない。
4.区域区分の定めのない都市計画区域内において、遊園地の建設の用に供する目的で3,000㎡の土地の区画形質の変更を行おうとする者は、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けなければならない。

⇒正解(2)
1:準都市計画区域内において3,000㎡未満であれば開発許可は不要です。
2:農林漁業用の建築物についての特例が適用されるのは、市街化区域以外の区域に限られます。そして市街化区域内において開発許可が不要となるのは1,000㎡未満の場合なので、開発許可が必要となります。
3:変電所は公益上必要な建築物に該当し、開発許可は不要です。
4:第二種特定工作物=ゴルフコース(面積問わず)、1ヘクタール以上の遊園地や墓園など。つまり3,000㎡の遊園地建設のための土地区画形質変更は開発行為に該当せず、開発許可も不要となります。



【問18】建築基準法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1.鉄筋コンクリート造であって、階数が2の住宅を新築する場合において、特定行政庁が、安全上、防火上及び避難上支障がないと認めたときは、検査済証の交付を受ける前においても、仮に、当該建築物を使用することができる。
2.長屋の各戸の界壁は、天井に遮音性能がなければ小屋裏又は天井裏に達するものとしなければならない。
3.下水道法に規定する処理区域内においては、便所は、汚水管が公共下水道に連結された水洗便所としなければならない。
4.ホテルの用途に供する建築物を共同住宅(その用途に供する部分の床面積の合計が300㎡)に用途変更する場合、建築確認は不要である。

⇒正解(4)3番は宅建試験ぽくないですが、正解肢が簡単なので取らないといけない問題。
1:大規模建築物や特殊建築物は、検査済証の交付後でなければ建築物を使用することができませんが、特定行政庁が承認したとき、完了検査申請の受理日から7日経過したときは、例外として仮使用が可能です。
2:令和2年の法改正により、天井に遮音性能があれば小屋裏又は天井裏に達するものとする必要がなくなりました。
4:特殊建築物において200㎡を超える用途変更なので建築確認が必要です(ホテルから旅館など、類似相互間での用途変更ならば建築確認は不要という点にも注意)。



【問19】建築基準法(以下この問において「法」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1.都市計画区域又は準都市計画区域内における用途地域の指定のない区域内の建築物の建蔽率の上限値は、原則として、法で定めた数値のうち、特定行政庁が土地利用の状況等を考慮し当該区域を区分して都道府県都市計画審議会の議を経て定めるものとなる。
2.第二種中高層住居専用地域内では、原則として、ホテル又は旅館を建築することができる。
3.幅員4m以上であり、法が施行された時点又は都市計画区域若しくは準都市計画区域に入った時点で現に存在する道は、特定行政庁の指定がない限り、法上の道路とはならない。
4.建築物の前面道路の幅員により制限される容積率について、前面道路が2つ以上ある場合には、これらの前面道路の幅員の最小の数値(12m未満の場合に限る。)を用いて算定する。

⇒正解(1)地味に難問です。
2:ホテルや旅館は、第一住居(3,000㎡以下)・第二住居・準住居・近隣商業・商業・準工業で建築可能です。
3:特定行政庁の指定が必要なのは4m未満の道です。
4:前面道路が2つ以上ある場合には、幅員の最大の数値を用いて算定します。



【問20】宅地造成等規制法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び施行時特例市にあってはその長をいうものとする。

1.都道府県知事は、宅地造成工事規制区域内の宅地で、宅地造成に伴う災害の防止のため必要な擁壁が設置されていないために、これを放置するときは、宅地造成に伴う災害の発生のおそれが大きいと認められる場合、一定の限度のもとに、当該宅地の所有者、管理者又は占有者に対して、擁壁の設置を命ずることができる。
2.都道府県知事は、宅地造成工事規制区域内の宅地において行われている工事の状況について、その工事が宅地造成に関する工事であるか否かにかかわらず、当該宅地の所有者、管理者又は占有者に対して報告を求めることができる。
3.都道府県知事は、一定の場合には都道府県(指定都市、中核市又は施行時特例市の区域にあっては、それぞれ指定都市、中核市又は施行時特例市)の規則で、宅地造成工事規制区域内において行われる宅地造成に関する工事の技術的基準を強化することができる。
4.宅地造成工事規制区域内において、政令で定める技術的基準を満たす地表水等を排除するための排水施設の除却工事を行おうとする場合は、一定の場合を除き、都道府県知事への届出が必要となるが、当該技術的基準を満たす必要のない地表水等を排除するための排水施設を除却する工事を行おうとする場合は、都道府県知事に届け出る必要はない。

⇒正解(4)
2:都道府県知事は、宅地造成工事規制区域内における宅地の所有者・管理者・占有者に対して工事の状況に関する報告を求めることができ、その工事が宅地造成に関する工事であるか否かは関係ありません。
4:宅地造成工事規制区域内において、地表水等を排除するための排水施設、高さが2mを超える擁壁を除却する工事を行おうとする場合は、工事に着手する日の14日前までに都道府県知事に届け出なければなりませんが、当該技術的基準を満たさない場合は届出不要という例外はありません。



【問21】土地区画整理法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において「組合」とは、土地区画整理組合をいう。

1.組合は、事業の完成により解散しようとする場合においては、都道府県知事の認可を受けなければならない。
2.施行地区内の宅地について組合員の有する所有権の全部又は一部を承継した者がある場合においては、その組合員がその所有権の全部又は一部について組合に対して有する権利義務は、その承継した者に移転する。
3.組合を設立しようとする者は、事業計画の決定に先立って組合を設立する必要があると認める場合においては、7人以上共同して、定款及び事業基本方針を定め、その組合の設立について都道府県知事の認可を受けることができる。
4.組合が施行する土地区画整理事業に係る施行地区内の宅地について借地権のみを有する者は、その組合の組合員とはならない。

⇒正解(4)
1:組合に借入金がある場合は、都道府県知事の認可+債権者の同意も必要です。
4:組合が設立されると、施行地区内の宅地について所有権または借地権を有する者は、全てその組合の組合員となります。



【問22】次の記述のうち、正しいものはどれか。

1.津波防災地域づくりに関する法律によれば、津波防護施設区域内において土地の掘削をしようとする者は、一定の場合を除き、津波防護施設管理者の許可を受けなければならない。
2.国土利用計画法によれば、市街化区域内の3,000㎡の土地を贈与により取得した者は、2週間以内に、都道府県知事(地方自治法に基づく指定都市にあっては、当該指定都市の長)に届け出なければならない。
3.景観法によれば、景観計画区域内において建築物の新築、増築、改築又は移転をした者は、工事着手後30日以内に、その旨を景観行政団体の長に届け出なければならない。
4.道路法によれば、道路の区域が決定された後道路の供用が開始されるまでの間であっても、道路管理者が当該区域についての土地に関する権原を取得する前であれば、道路管理者の許可を受けずに、当該区域内において工作物を新築することができる。

⇒正解(1)
2:贈与は事後届出が必要となる「土地に関する権利の移転または設定で対価を得て行われるもの」に該当せず、事後届出は不要となります。
3:景観行政団体の長(都道府県知事または市町村長)に事前に届け出ます。
4:道路管理者が土地に関する権原を取得する前でも道路管理者の許可が必要です。



【問23】所得税法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1.個人が台風により主として保養の用に供する目的で所有する別荘について受けた損失の金額(保険金等により補てんされる部分の金額を除く。)は、その損失を受けた日の属する年分又はその翌年分の譲渡所得の金額の計算上控除される。
2.建物の所有を目的とする土地の賃借権の設定の対価として支払を受ける権利金の金額が、その土地の価額の10分の5に相当する金額を超えるときは、不動産所得として課税される。
3.譲渡所得とは資産の譲渡による所得をいうので、不動産業者である個人が営利を目的として継続的に行っている土地の譲渡による所得は、譲渡所得として課税される。
4.個人が相続(限定承認に係るものを除く。)により取得した譲渡所得の基因となる資産を譲渡した場合における譲渡所得の金額の計算については、その資産をその相続の時における価額に相当する金額により取得したものとして計算される。

⇒正解(1)捨て問題です。
1:災害により生活に通常必要でない資産について受けた損失については、損失を受けた年分またはその翌年分の譲渡所得から控除され、別荘も「生活に通常必要でない資産」に含まれます。
2:不動産等の貸付けによる所得は不動産所得となりますが、事業所得または譲渡所得に該当するものは除かれ、権利金の額が土地の価額の5/10を超える場合は譲渡所得となります。
3:営利を目的として継続的に行われる資産の譲渡による所得は事業所得です。
4:相続の時における価額を取得費とするのではなく、被相続人の取得費を引き継ぐ形となります。



【問24】固定資産税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1.固定資産税は、固定資産が賃借されている場合、所有者ではなく当該固定資産の賃借人に対して課税される。
2.家屋に対して課する固定資産税の納税者が、その納付すべき当該年度の固定資産税に係る家屋について家屋課税台帳等に登録された価格と当該家屋が所在する市町村内の他の家屋の価格とを比較することができるよう、当該納税者は、家屋価格等縦覧帳簿をいつでも縦覧することができる。
3.固定資産税の納税者は、その納付すべき当該年度の固定資産課税に係る固定資産について、固定資産課税台帳に登録された価格について不服があるときは、一定の場合を除いて、文書をもって、固定資産評価審査委員会に審査の申出をすることができる。
4.平成29年1月1日現在において更地であっても住宅の建設が予定されている土地においては、市町村長が固定資産課税台帳に当該土地の価格を登録した旨の公示をするまでに当該住宅の敷地の用に供された場合には、当該土地に係る平成29年度の固定資産税について、住宅用地に対する課税標準の特例が適用される。

⇒正解(3)
1:固定資産税の納税義務者は、固定資産の1月1日現在の所有者です。
2:縦覧帳簿の縦覧は、毎年4月1日から4月20日または第1期納期限の日のいずれか遅い日以後の日までの間に限られます(固定資産課税台帳の閲覧はいつでも)。
4:固定資産税の賦課期日は毎年1月1日で、特例が適用されるかどうかも1月1日時点の状況で判断されます。



【問25】地価公示法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1.土地鑑定委員会は、標準地の単位面積当たりの価格及び当該標準地の前回の公示価格からの変化率等一定の事項を官報により公示しなければならないとされている。
2.土地鑑定委員会は、公示区域内の標準地について、毎年2回、2人以上の不動産鑑定士の鑑定評価を求め、その結果を審査し、必要な調整を行って、一定の基準日における当該標準地の単位面積当たりの正常な価格を判定し、これを公示するものとされている。
3.標準地は、土地鑑定委員会が、自然的及び社会的条件からみて類似の利用価値を有すると認められる地域において、土地の利用状況、環境等が通常であると認められる一団の土地について選定するものとされている。
4.土地の取引を行なう者は、取引の対象となる土地が標準地である場合には、当該標準地について公示された価格により取引を行なう義務を有する。

⇒正解(3)
1:土地鑑定委員会は、標準地の単位面積当たりの正常な価格を判定したときは、すみやかに、標準地の単位面積当たりの価格、価格判定の基準日、所在地、地積や形状、周辺地の利用状況を官報で公示しなければなりませんが、標準地の前回の公示価格からの変化率は公示事項に含まれません。
2:毎年1回
4:公示された価格により取引を行なう義務ではなく、指標とする努力義務を負うにすぎません。



【問26】宅建業者A(消費税課税事業者)は貸主Bから建物の貸借の媒介の依頼を受け、宅建業者C(消費税課税事業者)は借主Dから建物の貸借の媒介の依頼を受け、BとDの間での賃貸借契約を成立させた。この場合における次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか、なお、1か月分の借賃は9万円(消費税等相当額を含まない。)である。

1.建物を店舗として貸借する場合、当該賃貸借契約において200万円の権利金(権利設定の対価として支払われる金銭であって返還されないものをいい、消費税等相当額を含まない。)の授受があるときは、A及びCが受領できる報酬の限度額の合計は220,000円である。
2.AがBから49,500円の報酬を受領し、CがDから49,500円の報酬を受領した場合、AはBの依頼によって行った広告の料金に相当する額を別途受領することができない。
3.Cは、Dから報酬をその限度額まで受領できるほかに、宅建業法第35条の規定に基づく重要事項の説明を行った対価として、報酬を受領することができる。
4.建物を居住用として貸借する場合、当該賃貸借契約において100万円の保証金(Dの退去時にDに全額返還されるものとする。)の授受があるときは、A及びCが受領できる報酬の限度額の合計は110,000円である。

⇒正解(1)
1:店舗として貸借なので権利金の額を売買に係る代金の額とみなすことができ、200万×5%=10万+消費税をACから受領して220,000円が報酬限度額となります。
2:依頼者の依頼による広告料金は受領することができます
3:重要事項の説明で報酬を受領することはできません。
4:居住用なので権利金によるみなし計算はできず(全額返金されるものなので居住用以外でもみなし計算はできませんが)、依頼者の承諾がない場合は借賃の半分×1.1=49,500円、承諾があっても承諾をした依頼者から1ヶ月分×1.1=99,000円、どちらにせよ110,000円という数字は出てきません。



【問27】宅建業者Aが、自ら売主として宅建業者でない買主Bとの間で締結した宅地の売買契約に関する次の記述のうち、宅建業法及び民法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

ア 売買契約において、契約不適合責任を負うための通知期間を引渡しの日から2年間とする特約を定めた場合、その特約は無効となる。
イ 売買契約において、売主の責めに帰すべき事由による不適合についてのみ引渡しの日から1年間担保責任を負うという特約を定めた場合、その特約は無効となる。
ウ Aが契約不適合責任を負う期間内においては、損害賠償の請求をすることはできるが、契約を解除することはできないとする特約を定めた場合、その特約は有効である。

⇒正解(1)正しいのはイのみ
ア:担保責任追及の通知期間を「引渡しの日から2年以上とする特約は、買主に不利でも有効となる唯一の例外として認められます。
ウ:買主に不利な特約として無効。



【問28】宅建業者Aが行う業務に関する次の記述のうち、宅建業法の規定に違反しないものはいくつあるか。

ア 宅建業者Aは、宅建業法第49条に規定されている業務に関する帳簿について、業務上知り得た秘密が含まれているため、当該帳簿の閉鎖後、遅滞なく、専門業者に委託して廃棄した。
イ 宅建業者Aは、宅地の売却を希望するBと専任代理契約を締結した。Aは、Bの要望を踏まえ、当該代理契約に指定流通機構に登録しない旨の特約を付したため、その登録をしなかった。
ウ 宅建業者Aの従業者Cは、投資用マンションの販売において、勧誘に先立ちAの名称を告げず、自己の氏名及び契約締結の勧誘が目的であることを告げたうえで勧誘を行ったが、相手方から関心がない旨の意思表示があったので、勧誘の継続を断念した。
エ 宅建業者Aは、自ら売主として新築マンションを分譲するに当たり、売買契約の締結に際して買主から手付を受領した。その後、当該契約の当事者の双方が契約の履行に着手する前に、Aは、手付を買主に返還して、契約を一方的に解除した。

⇒正解(4)全て宅建業法に違反します。
ア:帳簿は閉鎖後5年間(自ら売主となる新築住宅に関しては10年間)保存しなければなりません。
イ:専任代理=専任媒介と考えて問題ありません。指定流通機構登録義務に反する特約は、依頼者の要望があっても無効です。
ウ:宅建業者の商号・名称も告げる必要があります。
エ:解約手付により売主から解除するには倍額償還が必要です。



【問29】次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1.宅建業者A(甲県知事免許)は、マンション管理業に関し、不正又は著しく不当な行為をしたとして、マンションの管理の適正化の推進に関する法律に基づき、国土交通大臣から業務の停止を命じられた。この場合、Aは、甲県知事から法に基づく指示処分を受けることがある。
2.国土交通大臣は、宅建業者B(乙県知事免許)の事務所の所在地を確知できない場合、その旨を官報及び乙県の公報で公告し、その公告の日から30日を経過してもBから申出がないときは、Bの免詐を取り消すことができる。
3.国土交通大臣は、宅建業者C(国土交通大臣免許)に対し、宅建業法第35条の規定に基づく重要事項の説明を行わなかったことを理由に業務停止を命じた場合は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に通知しなければならない。
4.宅建業者D(丙県知事免許)は、宅建業法第72条第1項に基づく丙県職員による事務所への立入検査を拒んだ。この場含、Dは、50万円以下の罰金に処せられることがある。

⇒正解(4)
1:マンション管理適正化法違反による業務停止処分を理由に宅建業法上の指示処分を受けることはありません。
2:免許取消処分をすることができるのは免許権者である乙県知事のみです。
3:国土交通大臣が一定の原因により監督処分を行う場合、あらかじめ内閣総理大臣に協議する必要がありますが、処分後に通知する必要はありません(官報で公告する)。



【問30】宅建業法の規定に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか、なお、この問において「登録」とは、宅建士の登録をいうものとする。

1.宅建士A(甲県知事登録)が、甲県から乙県に住所を変更したときは、乙県知事に対し、登録の移転の申請をすることができる。
2.宅建業者B(甲県知事免許)が、乙県に所在する1棟のマンション(150戸)を分譲するため、現地に案内所を設置し契約の申込みを受けるときは、甲県知事及び乙県知事に、その業務を開始する日の10日前までに、宅建業法第50条第2項の規定に基づく届出をしなければならない。
3.宅建試験合格後18月を経過したC(甲県知事登録)が、甲県知事から宅建士証の交付を受けようとする場合は、甲県知事が指定する講習を交付の申請前6月以内に受講しなければならない。
4.宅建業者D社(甲県知事免許)が、合併により消滅したときは、その日から30日以内に、D社を代表する役員であった者が、その旨を甲県知事に届け出なければならない。

⇒正解(1)
1:宅建士が登録の移転をすることができるのは、登録地以外の都道府県に所在する宅建業者の事務所の業務に従事する場合で、住所の変更で登録の移転をすることはできません。
2:案内所を設置して契約等を行うには、免許権者と案内所所在地の知事に対して業務開始の10日前までに届け出ます
3:宅建試験合格から1年以内に宅建士証の交付を受ける場合は免除されますが、本肢のCは宅建士証の交付申請前6ヶ月以内に行われる都道府県知事が指定する講習を受講しなければなりません。
4:消滅した法人を代表する役員であった者が、合併の日から30日以内に免許権者に届け出ます



【問31】宅建業者Aが、自ら売主として、宅建業者でないBとの間でマンション(代金3,000万円)の売買契約を締結しようとする場合における次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

ア Bは自ら指定した自宅においてマンションの買受けの申込みをした場合においても、宅建業法第37条の2の規定に基づき、書面により買受けの申込みの撤回を行うことができる。
イ BがAに対し、宅建業法第37条の2の規定に基づき、書面により買受けの申込みの撤回を行った場合、その効力は、当該書面をAが受け取った時に生じることとなる。
ウ Aは、Bとの間で、当事者の債務不履行を理由とする契約解除に伴う違約金について300万円とする特約を定めた場合、加えて、損害賠償の予定額を600万円とする特約を定めることができる。

⇒正解(4)全て誤り
ア:買主自らが指定した自宅または勤務先は事務所等として扱われ、クーリング・オフは適用されません。
イ:撤回の効力は、書面を発信したときに生じます。
ウ:損害賠償の予定額と違約金の額を合算した額が代金の10分の2を超えることは禁止され、10分の2を超える部分について無効となります(本肢の場合は合計600万円まで有効)。



【問32】宅建業法に規定する営業保証金に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1.宅建業者は、主たる事務所を移転したことにより、その最寄りの供託所が変更となった場合において、金銭のみをもって営業保証金を供託しているときは、従前の供託所から営業保証金を取り戻した後、移転後の最寄りの供託所に供託しなければならない。
2.宅建業者は、事業の開始後新たに事務所を設置するため営業保証金を供託したときは、供託物受入れの記載のある供託書の写しを添附して、その旨を免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。
3.宅建業者は、一部の事務所を廃止し営業保証金を取り戻そうとする場合には、供託した営業保証金につき還付を請求する権利を有する者に対し、6月以上の期間を定めて申し出るべき旨の公告をしなければならない。
4.宅建業者は、営業保証金の還付があったために営業保証金に不足が生じたときは、国土交通大臣又は都道府県知事から不足額を供託すべき旨の通知書の送付を受けた日から2週間以内に、不足額を供託しなければならない。

⇒正解(1)
1:金銭のみで供託しているので保管替えが可能です。
3:公告なしで営業保証金を取り戻すことができるのは、主たる事務所の移転、 保証協会に加入したとき、事由発生から10 年経過の3パターンだけです。



【問33】宅建業者が行う宅建業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、説明の相手方は宅建業者ではないものとする。

1.宅地の売買の媒介を行う場合、売買の各当事者すなわち売主及び買主に対して、書面を交付して説明しなければならない。
2.宅地の売買の媒介を行う場合、代金に関する金銭の貸借のあっせんの内容及び当該あっせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置について、説明しなければならない。
3.建物の貸借の媒介を行う場合、私道に関する負担について、説明しなければならない。
4.建物の売買の媒介を行う場合、天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがあるときは、その内容について、説明しなければならない。

⇒正解(2)
1:売主や貸主に重要事項の説明は不要です(交付が必要な場合、相手方の承諾を得て電子交付も可能)。
2:金銭貸借あっせんの内容とあっせんが成立しないときの措置は売買における重要説明事項(貸借では不要)で、37条書面の売買における任意的記載事項です。
3:私道の負担に関する事項は、建物貸借以外における重要説明事項です。
4:天災その他不可抗力による損害の負担の定めは重要説明事項ではなく、37条書面の全契約における任意的記載事項です。



【問34】次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1.宅建業者が、自ら売主として、宅地及び建物の売買の契約を締結するに際し、手付金について、当初提示した金額を減額することにより、買主に対し売買契約の締結を誘引し、その契約を締結させることは、宅建業法に違反しない。
2.宅建業者が、アンケート調査をすることを装って電話をし、その目的がマンションの売買の勧誘であることを告げずに勧誘をする行為は、宅建業法に違反する。
3.宅建業者が、宅地及び建物の売買の媒介を行うに際し、媒介報酬について、買主の要望を受けて分割受領に応じることにより、契約の締結を誘引する行為は、宅建業法に違反する。
4.宅建業者が、手付金について信用の供与をすることにより、宅地及び建物の売買契約の締結を誘引する行為を行った場合、監督処分の対象となるほか、罰則の適用を受けることがある。

⇒正解(3)
13:手付金の貸付、後払い、分割払いなどは宅建業法違反となりますが、手付金の単なる減額、報酬の分割払いなどは違反とはなりません。
4:6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金またはそれらの併科。



【問35】次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1.宅建業者は、自ら貸主として締結した建物の賃貸借契約について、宅建業法第49条に規定されている業務に関する帳簿に、法及び国土交通省令で定められた事項を記載しなければならない。
2.宅建業者は、その業務に関する帳簿を、一括して主たる事務所に備えれば、従たる事務所に備えておく必要はない。
3.宅建業者は、その業務に関する帳簿に報酬の額を記載することが義務付けられており、違反した場合は指示処分の対象となる。
4.宅建業者は、その業務に従事する者であっても、一時的に事務の補助のために雇用した者については、従業者名簿に記載する必要がない。

⇒正解(3)
1:自ら貸主なので宅建業に該当せず、帳簿の記載も不要です。
2:帳簿は事務所ごとに備える必要があります。
4:一時的に事務の補助をする者や非常勤の役員についても従業者証明書を発行し、従業者名簿に記載しなければなりません。



【問36】次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、この問において「免許」とは、宅建業の免許をいう。

1.宅建業者Aは、免許の更新を申請したが、免許権者である甲県知事の申請に対する処分がなされないまま、免許の有効期間が満了した。この場合、Aは、当該処分がなされるまで、宅建業を営むことができない。
2.Bは、新たに宅建業を営むため免許の申請を行った。この場合、Bは、免許の申請から免許を受けるまでの間に、宅建業を営む旨の広告を行い、取引する物件及び顧客を募ることができる。
3.宅建業者Cは、宅地又は建物の売買に関連し、兼業として、新たに不動産管理業を営むこととした。この場合、Cは兼業で不動産管理業を営む旨を、免許権者である国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。
4.宅建業者である法人Dが、宅建業者でない法人Eに吸収合併されたことにより消滅した場合、一般承継人であるEは、Dが締結した宅地又は建物の契約に基づく取引を結了する目的の範囲内において宅建業者とみなされる。

⇒正解(4)
1:免許の更新は有効期間満了の90日前から30日前までの間に申請する必要があり、有効期間満了までに処分が間に合わなかった場合、従前の免許が処分の日まで効力を有するものとされます。
2:先に広告はできる・・わけがありません。
3:宅建業以外の事業の種類は宅物業者名簿の記載事項ですが、変更の届出が必要な事項には含まれていません



【問37】次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1.宅建士は、取引の関係者から請求があったときは、物件の買受けの申込みの前であっても宅建士証を提示しなければならないが、このときに提示した場合、後日、宅建業法第35条に規定する重要事項の説明をする際は、宅建士証を提示しなくてもよい。
2.甲県知事の登録を受けている宅建士Aは、乙県に主たる事務所を置く宅建業者Bの専任の宅建士となる場合、乙県知事に登録を移転しなければならない。
3.宅建士の登録を受けるには、宅建士資格試験に合格した者で、2年以上の実務の経験を有するもの又は国土交通大臣がその実務の経験を有するものと同等以上の能力を有すると認めたものであり、宅建業法で定める事由に該当しないことが必要である。
4.宅建士は、取引の関係者から請求があったときは、従業者証明書を提示しなければならないが、宅建業法第35条に規定する重要事項の説明をする際は、宅建士証の提示が義務付けられているため、宅建士証の提示をもって、従業者証明書の提示に代えることができる。

⇒正解(3)
1:重要事項の説明時には宅建士証を提示し、これに例外はありません。
2:登録地以外の都道府県の宅建業者に従事する場合に、任意で登録の移転を申請することができます。
4:宅建士証の提示とは別に請求があれば、従業者証明書も提示しなければなりません。



【問38】宅建業者Aが、宅建業法第37条の規定により交付すべき書面(以下この問において「37条書面」という。)に関する次の記述のうち、宅建業法の規定に違反しないものはどれか。

1.宅建業者Aは、売主を代理して宅地の売買契約を締結した際、買主にのみ37条書面を交付した。
2.宅建業者Aは、自ら売主となる宅地の売買契約において、手付金等を受領するにもかかわらず、37条書面に手付金等の保全措置の内容を記載しなかった。
3.宅建業者Aは、媒介により宅地の売買契約を成立させた場合において、契約の解除に関する定めがあるにもかかわらず、37条書面にその内容を記載しなかった。
4.宅建業者Aは、自ら売主となる宅地の売買契約において契約不適合責任に関する特約を定めたが、買主が宅建業者であり、契約不適合責任に関する特約を自由に定めることができるため、37条書面にその内容を記載しなかった。

⇒正解(2)
1:37条書面は当事者の双方に交付します。
2:手付金等の保全措置は、37条書面の記載事項ではありません(売買における重要説明事項)
3:契約の解除に関する定めがあるときは37条書面に記載します
4:契約不適合責任に関する定めがあるときは37条書面に記載します



【問39】営業保証金を供託している宅建業者Aと宅建業保証協会(以下この問において「保証協会」という。)の社員である宅建業者Bに関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

ア 宅建業者A(国土交通大臣免許)は、甲県内にある主たる事務所とは別に、乙県内に新たに従たる事務所を設置したときは、営業保証金をその従たる事務所の最寄りの供託所に供託しなければならない。
イ 宅建業者Aは、平成29年5月1日に、Bに手付金500万円を支払い、宅地の売買契約を締結した。宅地の引渡しの前に宅建業者Bが失踪し、宅地の引渡しを受けることができなくなったときは、Aは、手付金について、弁済業務保証金から弁済を受けることができる。
ウ 宅建業者Bは、保証協会の社員の地位を失ったときは、その地位を失った日から1週間以内に、営業保証金を供託しなければならない。
エ 宅建業者Bの取引に関して弁済業務保証金の還付があったときは、Bは、保証協会から当該還付額に相当する額の還付充当金を納付すべき旨の通知を受けた日から2週間以内に、還付充当金を保証協会に納付しなければならない。

⇒正解(2)正しいのはウエ
ア:従たる事務所を設置した場合でも、主たる事務所の最寄りの供託所に供託します。
イ:平成29年の法改正により「弁済業務保証金から弁済を受けることができる者」に宅建業者は除かれました



【問40】宅建業法第37条の規定により交付すべき書面(以下この問において「37条書面」という。)に関する次の記述のうち、宅建業法の規定に違反しないものはどれか。

1.宅建業者Aは、中古マンションの売買の媒介において、当該マンションの代金の支払の時期及び引渡しの時期について、重要事項説明書に記載して説明を行ったので、37条書面には記載しなかった。
2.宅建業者である売主Bは、宅建業者Cの媒介により、宅建業者ではない買主Dと宅地の売買契約を締結した、Bは、Cと共同で作成した37条書面にCの宅建士の記名押印がなされていたため、その書面に、Bの宅建士をして記名押印をさせなかった。
3.売主である宅建業者Eの宅建士Fは、宅建業者ではない買主Gに37条書面を交付する際、Gから求められなかったので、宅建士証をGに提示せずに当該書面を交付した。
4.宅建業者Hは、宅建業者ではない売主Iから中古住宅を購入する契約を締結したが、Iが売主であるためIに37条書面を交付しなかった。

⇒正解(3)
1:代金の支払い時期も引渡し時期も37条書面の必要的記載事項です。
2:37条書面の作成や交付はいずれかの宅建業者で足りますが、記名押印は全ての宅建業者の宅建士のものが必要です。
3:37条書面の交付時に宅建士証を提示する必要はありません
4:37条書面は当事者の双方に交付します。



【問41】宅建業者が行う宅建業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、説明の相手方は宅建業者ではないものとする。

1.区分所有建物の売買の媒介を行う場合、当該1棟の建物及びその敷地の管理が委託されているときは、その委託を受けている者の氏名(法人にあっては、その商号又は名称及び住所(法人にあっては、その主たる事務所の所在地)を説明しなければならない。
2.土地の売買の媒介を行う場合、移転登記の申請の時期の定めがあるときは、その内容を説明しなければならない。
3.住宅の売買の媒介を行う場合、宅地内のガス配管設備等に関して、当該住宅の売買後においても当該ガス配管設備等の所有権が家庭用プロパンガス販売業者にあるものとするときは、その旨を説明する必要がある。
4.中古マンションの売買の媒介を行う場合、当該マンションの計画的な維持修繕のための費用の積立てを行う旨の規約の定めがあるときは、その内容及び既に積み立てられている額について説明しなければならない。

⇒正解(2)
2:移転登記の申請時期は重要説明事項ではありません(37条書面の売買における必要的記載事項)



【問42】宅建業者が行う広告に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

ア 宅地の販売広告において、宅地の将来の環境について、著しく事実に相違する表示をしてはならない。
イ 宅地又は建物に係る広告の表示項目の中に、取引物件に係る現在又は将来の利用の制限があるが、この制限には、都市計画法に基づく利用制限等の公法上の制限だけではなく、借地権の有無等の私法上の制限も含まれる。
ウ 顧客を集めるために売る意思のない条件の良い物件を広告することにより他の物件を販売しようとした場合、取引の相手方が実際に誤認したか否か、あるいは損害を受けたか否かにかかわらず、監督処分の対象となる。
エ 建物の売却について代理を依頼されて広告を行う場合、取引態様として、代理であることを明示しなければならないが、その後、当該物件の購入の注文を受けたとき、広告を行った時点と取引態様に変更がない場合でも、遅滞なく、その注文者に対し取引態様を明らかにしなければならない。

⇒正解(4)全て正しい肢
ウ:取引の相手方が誤認したかどうか、損害を受けたかどうかに関わらず、誇大広告を行うこと自体が宅建業法違反となります。
エ:宅建業者は広告時に取引態様の別を明示し、注文を受けた際にも取引態様を明示する必要があります。



【問43】宅建業者Aが、BからB所有の中古マンションの売却の依頼を受け、Bと専任媒介契約(専属専任媒介契約ではない媒介契約)を締結した場合に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

ア 宅建業者Aは、2週間に1回以上当該専任媒介契約に係る業務の処理状況をBに報告しなければならないが、これに加え、当該中古マンションについて購入の申込みがあったときは、遅滞なく、その旨をBに報告しなければならない。
イ 当該専任媒介契約の有効期間は、3月を超えることができず、また、依頼者の更新しない旨の申出がなければ自動更新とする旨の特約も認められない。ただし、Bが宅建業者である場合は、宅建業者AとBの合意により、自動更新とすることができる。
ウ 宅建業者Aは、当該専任媒介契約の締結の日から7日(ただし、Aの休業日は含まない。)以内に所定の事項を指定流通機構に登録しなければならず、また、宅建業法第50条の6に規定する登録を証する書面を遅滞なくBに提示しなければならない。
エ 当該専任媒介契約に係る通常の広告費用は宅建業者Aの負担であるが、指定流通機構への情報登録及びBがAに特別に依頼した広告に係る費用については、成約したか否かにかかわらず、国土交通大臣の定める報酬の限度額を超えてその費用をBに請求することができる。

⇒正解(1)正しいのはアのみ
ア:平成29年の法改正により、申込みがあったときは遅滞なく報告することが必要となりました。
イ:宅建業者間であっても自動更新は不可。
ウ:提示するだけではなく、登録を証する書面を遅滞なく依頼者に引き渡す必要があります(依頼者の承諾を得て電子交付も可)。
エ:依頼を受けた広告費を受領することはできますが、情報登録料を請求することはできません。



【問44】宅建業の免許(以下この問において「免許」という。)に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1.宅建業者A社が免許を受けていないB社との合併により消滅する場合、存続会社であるB社はA社の免許を承継することができる。
2.個人である宅建業者Cがその事業を法人化するため、新たに株式会社Dを設立しその代表取締役に就任する場合、D社はCの免許を承継することができる。
3.個人である宅建業者E(甲県知事免許)が死亡した場合、その相続人は、Eの死亡を知った日から30日以内に、その旨を甲県知事に届け出なければならず、免許はその届出があった日に失効する。
4.宅建業者F社(乙県知事免許)が株主総会の決議により解散することとなった場合、その清算人は、当該解散の日から30日以内に、その旨を乙県知事に届け出なければならない。

⇒正解(4)
1:消滅した会社の免許を存続会社が承継するということはありません。
2:法人としての免許が必要です。
3:免許が効力を失うのは宅建業者Eが死亡した時点で、届出は事後報告に過ぎません。



【問45】宅建業者Aが自ら売主として、宅建業者でない買主Bに新築住宅を販売する場合における次の記述のうち、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律の規定によれば、正しいものはどれか。(令和2年の法改正により「瑕疵」→「不適合」となりましたが、当規定では瑕疵の定義を明記することで瑕疵という文言が存置されています)

1.宅建業者Aは、住宅販売瑕疵担保保証金の供託をする場合、Bに対し、当該住宅を引き渡すまでに、供託所の所在地等について記載した書面を交付して説明しなければならない。
2.自ら売主として新築住宅をBに引き渡した宅建業者Aが、住宅販売瑕疵担保保証金を供託する場合、その住宅の床面積が55㎡以下であるときは、新築住宅の合計戸数の算定に当たって、床面積55㎡以下の住宅2戸をもって1戸と数えることになる。
3.宅建業者Aは、基準日に係る住宅販売瑕疵担保保証金の供託及び住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結の状況についての届出をしなければ、当該基準日から1月を経過した日以後においては、新たに自ら売主となる新築住宅の売買契約を締結してはならない。
4.宅建業者Aは、住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結をした場合、当該住宅を引き渡した時から10年間、当該住宅の給水設備又はガス設備の瑕疵によって生じた損害について保険金の支払を受けることができる。

⇒正解(2)
1:住宅を引き渡すまでではなく、売買契約を締結するまでに書面を交付して説明しなければなりません。
3:基準日の翌日から起算して50日を経過した日以降、新たに自ら売主となる新築住宅の売買契約を締結することが禁止されます。
4:住宅販売瑕疵担保責任の対象は、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分の瑕疵に限られます。



【問46】独立行政法人住宅金融支援機構(以下この問において「機構」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1.機構は、団体信用生命保険業務として、貸付けを受けた者が死亡した場合のみならず、重度障害となった場合においても、支払われる生命保険の保険金を当該貸付けに係る債務の弁済に充当することができる。
2.機構は、直接融資業務において、高齢者の死亡時に一括償還をする方法により貸付金の償還を受けるときは、当該貸付金の貸付けのために設定された抵当権の効力の及ぶ範囲を超えて、弁済の請求をしないことができる。
3.証券化支援業務(買取型)に係る貸付金の利率は、貸付けに必要な資金の調達に係る金利その他の事情を勘案して機構が定めるため、どの金融機関においても同一の利率が適用される。
4.証券化支援業務(買取型)において、機構による譲受けの対象となる住宅の購入に必要な資金の貸付けに係る金融機関の貸付債権には、当該住宅の購入に付随する改良に必要な資金も含まれる。

⇒正解(3)細かい肢も混ざっていますが、正解肢は簡単です。正しい3つの肢も今後のために押さえておきましょう。
3:具体的な金利はそれぞれの金融機関が定めるので、同一の利率とはなりません。



【問47】宅建業者がインターネット不動産情報サイトにおいて行った広告表示に関する次の記述のうち、不当景品類及び不当表示防止法(不動産の表示に関する公正競争規約を含む。)の規定によれば、正しいものはどれか。

1.物件の所有者に媒介を依頼された宅建業者Aから入手した当該物件に関する情報を、宅建業者Bが、そのままインターネット不動産情報サイトに表示し広告を行っていれば、仮に入手した物件に関する情報が間違っていたとしても不当表示に問われることはない。
2.新築の建売住宅について、建築中で外装が完成していなかったため、当該建売住宅と規模、外観等は同一ではないが同じ施工業者が他の地域で手掛けた建売住宅の外観写真を、施工例である旨を明記して掲載した。この広告表示が不当表示に問われることはない。
3.取引しようとする賃貸物件から最寄りの甲駅までの徒歩所要時間を表示するため、当該物件から甲駅までの道路距離を80mで除して算出したところ5.25分であったので、1分未満を四捨五入して「甲駅から5分」と表示した。この広告表示が不当表示に問われることはない。
4.新築分譲マンションについて、パンフレットには当該マンションの全戸数の専有面積を表示したが、インターネット広告には当該マンションの全戸数の専有面積のうち、最小面積及び最大面積のみを表示した。この広告表示が不当表示に問われることはない。

⇒正解(4)
1:もちろん広告を掲載した宅建業者Bも責任を負います。
2:建物が未完成などの事情がある場合には、他の建物である旨を写真に接する位置に明示した上で、取引しようとする建物と規模・形質・外観が同一の他の建物の外観写真を使用することができます。本肢は問題外。
3:徒歩所要時間は、道路距離80mにつき1分として計算し、1分未満の端数が生じたときは繰り上げて1分とします(=本肢は6分と表示)。
4:新築分譲マンションの広告は、パンフレットには全戸の専有面積を表示し、インターネットや新聞の広告、チラシ等には最小面積と最大面積を表示すれば足ります。



【問48】次の記述のうち、正しいものはどれか。

1.平成29年地価公示(平成29年3月公表)によれば、住宅地の公示地価の全国平均は、9年連続で下落した。
2.建築着工統計(平成29年1月公表)によれば、平成28年の持家の新設着工戸数は約29.2万戸となり、3年ぶりに増加に転じた。
3.平成29年版土地白書(平成29年5月公表)によれば、土地取引について、売買による所有権移転登記の件数でその動向を見ると、平成28年の全国の土地取引件数は129万件となり、2年連続の減少となった。
4.平成27年度法人企業統計年報(平成28年9月公表)によれば、平成27年度における不動産業の経常利益は約4兆3,000億円となっており、前年度比75%増となった。

⇒正解(2)統計問題は出題傾向だけ掴み、受験年の最新情報を押さえておきましょう。



【問49】土地に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.扇状地は、山地から河川により運ばれてきた砂礫等が堆積して形成された地盤である。
2.三角州は、河川の河口付近に見られる軟弱な地盤である。
3.台地は、一般に地盤が安定しており、低地に比べ、自然災害に対して安全度は高い。
4.埋立地は、一般に海面に対して比高を持ち、干拓地に比べ、水害に対して危険である。

⇒正解(4)
4:埋立地は海面に対して比高であることが多いのに対し、干拓地は海面下であることも多いため、干拓地のほうが危険性が高くなります。



【問50】建物の構造と材料に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.木材の強度は、含水率が小さい状態の方が低くなる。
2.鉄筋は、炭素含有量が多いほど、引張強度が増大する傾向がある。
3.常温、常圧において、鉄筋と普通コンクリートを比較すると、熱膨張率はほぼ等しい。
4.鉄筋コンクリート構造は、耐火性、耐久性があり、耐震性、耐風性にも優れた構造である。

⇒正解(1) 適当な3つの肢もしっかり押さえておきましょう。
1:木材の強度は、含水率が小さいほど大きくなります。濡れた木って腐りやすく脆そうですよね。


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