贈与契約で押さえる宅建過去問

宅建過去問:「贈与」の重要過去問を見ていきます。出題可能性は低いですが、簡単なので出題された場合は取っておきたいところです。

贈与の宅建過去問

AのBに対する土地の贈与(負担なし)に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。(1991年の宅建過去問 問-10)

【問】その贈与が書面によらないものであっても、Bにその土地の所有権移転登記がなされたときは、Aは、その贈与を撤回することができない。

書面によらない贈与は、履行の終わった部分を除き各当事者が解除することができます(改正民法により撤回 → 解除となっています)。本肢は所有権移転登記がなされている(=履行が終わっている)ため、贈与を解除することはできず正しい肢となります。

【問】その贈与が書面によるか否かを問わず、その土地に欠陥があっても、その欠陥が贈与契約締結以前から存在するものであったときは、Aは、Bに対してその欠陥を担保する責任を負わない。

改正民法により、負担のない贈与について贈与者は、贈与の目的である物や権利を「その目的として特定した時の状態で引き渡し、または移転すればよい」とされています(負担付贈与の場合、贈与者はその負担の限度において売主と同様の担保責任を負います)。よって正しい肢となります。

【問】その贈与が書面による死因贈与であっても、Aは、後にその土地を第三者に遺贈することができる。

死因贈与は遺贈の規定が準用され、遺言はいつでも撤回でき前の遺言が後の遺言と抵触するときは後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされるため、後にその土地を第三者に遺贈(=遺言による贈与)することも可能です。よって正しい肢となります。


Aは、生活の面倒をみてくれている甥のBに、自分が居住している甲建物を贈与しようと考えている。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。(2009年の宅建過去問 問-9)

【問】AからBに対する無償かつ負担なしの甲建物の贈与契約が、書面によってなされた場合、Aはその履行前であれば贈与を撤回することができる。

書面による贈与は、履行の有無に関わらず解除することができません。よって誤りです。

【問】AからBに対する無償かつ負担なしの甲建物の贈与契約が、書面によらないでなされた場合、Aが履行するのは自由であるが、その贈与契約は法的な効力を生じない。

贈与契約は、贈与者と受贈者の意思表示が合致すれば成立する諾成契約です。書面によれば解除の条件が厳しくなるだけで、贈与契約自体は書面の有無に関わらず有効となります。よって誤りです。


Aは、Bから建物を贈与(負担なし)する旨の意思表示を受け、これを承諾したが、まだBからAに対する建物の引渡し及び所有権移転登記はされていない。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。(1998年の宅建過去問 問-9)

【問】贈与が書面によるものである場合で、Bが建物の所有権移転登記に応じないとき、Aは、Bに対して当該登記を求める訴えを裁判所に提起することができる。

いくら贈与とはいえ、贈与契約が成立した以上は建物所有権はAに移転しています。引っ越しの準備などしているかもしれません。所有権移転登記を求める訴えを提起することもでき、正しい肢となります。


宅建過去問 権利関係一覧ページに戻る
<<< 前のページ <<< >>> 次のページ >>>
売主の担保責任の過去問 共有の過去問