未成年者に権利能力はあるのか?

宅建試験の民法解説:ここでは実際に生まれ、少し成長して、子どもから20歳未満の「未成年者の権利能力」についてお話します。

未成年者の権利能力の宅建解説

2022年4月1日より、民法上の未成年者が18歳未満となります。令和3年の宅建試験までは成年=20歳のままで覚えて問題ありません。

全ての自然人と法人には権利能力が認められるというお話をしましたが、実はその権利能力が認められるためには、「個人の意思」が必要とされます。自分に与えられた権利や義務の意味が理解できていない者に、それを行使させるのは危険ですよね。では、権利能力が認められるための「個人の意思」とは何でしょうか?

意思能力とは、行為の結果を判断できるに足りる能力です。自分の取った行動によって、自分の権利義務がどのように変動するかを理解できる能力です。

これはだいたい、7~10歳の子どもの精神能力と言われています。小学校低学年程度の精神能力があれば、意思能力は認められます。

つまり、幼稚園児等には意思能力は認められません。意思無能力者です(=責任無能力者)。責任無能力者のした法律行為は、すべて無効となります。

しかし、意思能力があるからといって小学生に法律行為を任せるのも危険です。そこで権利能力が認められるためには、意思能力のほかに、「行為能力」が必要となります。行為能力とは、法律行為を単独で有効にすることができるための地位、資格です。これが未成年者には制限があります。

未成年者が法律行為をするには、「法定代理人の同意」を要するのです。この同意は、もちろん法定代理人から未成年者に与えられます。しかし、法定代理人は未成年者ではなく、契約の相手方に対して同意を与えてもよいということも覚えておいてください。

未成年者は意思能力が認められても、経済的に不安な場合等が多いはずです。基本的に、未成年者が単独で行った法律行為は後から取り消すことができます。しかし、未成年者にも単独で認められる行為が3つ存在します。

1.単に権利を得るだけか、義務を免れる行為・・贈与を受けたり、債務の免除を受ける契約。

2.法定代理人が処分を許した財産を処分する行為・・毎月のおこづかいや電車賃など。

3.法定代理人に許された営業に関する行為・・法定代理人の許可があれば、営利を目的として独立した継続的事業が許されます。

この例外3つはとても大事ですので覚えておいてください。

最後に未成年者の補足ですが、もちろん未成年者とは「20歳に達しない者」です。しかし、未成年者でも結婚をすれば成年者とみなされます(成年擬制)。さらに、一度結婚をすれば、20歳未満で離婚しても成年のままです。これも大事です。

ここまでお読みいただき、もし幼稚園児に法律行為が必要な場合はどうするの!?と思われた方もいると思いますが、その答えは「法定代理」です。詳しくはそれぞれの登場場面でお話しますが、親権者が代わりに契約するのです。


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【宅建試験問題 平成25年ー問2】未成年者に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1.父母とまだ意思疎通することができない乳児は、不動産を所有することができない。
2.営業を許可された未成年者が、その営業のための商品を仕入れる売買契約を有効に締結するには、父母双方がいる場合、父母のどちらか一方の同意が必要である。
3.男は18歳に、女は16歳になれば婚姻することができるが、父母双方がいる場合には、必ず父母双方の同意が必要である。
4.Aが死亡し、Aの妻Bと嫡出でない未成年の子CとDが相続人となった場合に、CとDの親権者である母EがCとDを代理してBとの間で遺産分割協議を行っても、有効な追認がない限り無効である。
1 誤:権利能力は出生と同時に取得する(不動産を処分するには法定代理人が必要)
2 誤:営業を許可された未成年者は、その営業に関しては単独ですることができる
3 誤:父母の一方が同意しない場合、他の一方だけの同意で足りる
4 正:複数の子の親権を行う場合、子の間で利益が相反する行為については家庭裁判所に対して特別代理人の選任を請求する必要があり、親権者が子の双方を代理することは許されない