建蔽率と容積率の宅建過去問

宅建過去問:「建蔽率・容積率」の重要過去問を見ていきます。建蔽率とは、建築物の建築面積の敷地面積に対する割合、容積率とは、建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合をいいます。建蔽率は平面的な面積、容積率は各階トータルの容積をイメージしてください。自分の土地だからと敷地いっぱいに建築物を建ててしまうと、日当たりが悪くなったり、延焼なども心配です。また、無制限に大きな建築物を建ててしまっても、通行に支障をきたしたり、災害時にも様々な問題が生じるでしょう。前者を制限するのが建蔽率、後者を制限するのが容積率です。出題頻度は高くありません。数字や計算もありとっつきにくいかもしれませんが、意外と覚えることは単純で、決して難しくはありません。一度コツを掴んでしまえばすごく簡単になり、得点源となります。

建蔽率・容積率の宅建過去問
 
建築物の建築面積の敷地面積に対する割合(以下この問において「建蔽率」という。)及び建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合(以下この問において「容積率」という。)に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、誤っているものはどれか。(2008年の宅建過去問 問-20)

【問】建蔽率の限度が80%とされている防火地域内にある耐火建築物については、建蔽率による制限は適用されない。

建蔽率の限度が10分の8とされている地域内で、防火地域内にある耐火建築物については、建蔽率による制限は適用されません。よって正しい肢です。

【問】容積率を算定する上では、共同住宅の共用の廊下及び階段部分は、当該共同住宅の延べ面積の3分の1を限度として、当該共同住宅の延べ面積に算入しない。

容積率の算定に、共同住宅の共用の廊下や階段部分の床面積は算入しません。3分の1を限度というわけではありません。よって誤りです。令和元年の法改正で、共同住宅に限らず老人ホームや福祉ホームの廊下や階段部分も算入されなくなった点に注意。

【問】隣地境界線から後退して壁面線の指定がある場合において、当該壁面線を越えない建築物で、特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したものの建蔽率は、当該許可の範囲内において建蔽率による制限が緩和される。

隣地境界線から後退して壁面線の指定がある場合において、当該壁面線を越えない建築物で、特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したものの建蔽率は、当該許可の範囲内において建蔽率による制限が緩和されます。よって正しい肢です。


建築基準法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。(1996年の宅建過去問 問-24)

【問】都市計画区域及び準都市計画区域以外の区域内の建築物については、建築物の容積率に係る制限が適用される場合はない。

都市計画区域および準都市計画区域外であっても、都道府県知事が、関係市町村の意見を聴いて指定する区域内においては、地方公共団体の条例で容積率に関して必要な制限を定めることができます。よって誤りです。

【問】一定の建築物の地階で住宅の用途に供する部分の床面積については、当該建築物の住宅の用途に供する部分の床面積の合計の4分の1を限度として、容積率に係る建築物の延べ面積に算入しない。

建築物の地階でその天井が地盤面からの高さ1m以内にあるものの住宅の用途に供する部分の床面積については、その建築物の住宅の用途に供する部分の床面積の合計の3分の1を限度として、容積率にかかる建築物の延べ面積に算入されません。よって誤りです。

【問】建築物の建蔽率は、当該建築物の前面道路の幅員が12m未満である場合においては、その幅員に応じて、制限される。

容積率は前面道路の幅員に応じて制限されることがありますが、建蔽率は前面道路の幅員に応じて制限されることはありません。よって誤りです。

【問】第一種住居地域内(建蔽率の最高限度は10分の8とされていないものとする)かつ防火地域内で、特定行政庁が指定する角地内にある耐火建築物(住宅)の建蔽率は、第一種住居地域の建蔽率の数値に10分の2を加えた数値を超えてはならない。

街区の角にある敷地で特定行政庁が指定する敷地の内にある建築物は、都市計画で定められた建蔽率の最高限度に10分の1を加えたものにすることができます。また、都市計画で建蔽率の限度が10分の8と定められていない区域で、かつ、防火地域内にある耐火建築物は、都市計画で定められた建蔽率の最高限度に10分の1を加えたものにすることができます(改正により準防火地域内の準耐火建築物も1/10緩和される点に注意)。よって、どちらも該当する本肢は10分の2緩和されます。正しい肢です。


建築物の容積率(延べ面積の敷地面積に対する割合)に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、正しいものはどれか。(1999年の宅建過去問 問-21)

【問】高度地区内においては、容積率は、高度地区に関する都市計画で定められた内容に適合しなければならない。

高度地区とは、建築物の高さの最高限度または最低限度を定める所をいい、もともと容積率は定められません。よって誤りです。

【問】商業地域内で、かつ、防火地域内にある耐火建築物については、容積率制限は適用されない。

建蔽率の限度が10分の8とされている地域内で、防火地域内にある耐火建築物については、建蔽率による制限は適用されません。しかし、容積率についてはこのような特例はありません。よって誤りです。


建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合(以下この問において「容積率」という)及び建築物の建築面積の敷地面積に対する割合(以下この問において「建蔽率」という)に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、正しいものはどれか。(1990年の宅建過去問 問-23)

【問】建築物の敷地が第一種中高層住居専用地域と第一種住居地域にわたり、かつ、当該敷地の過半が第一種中高層住居専用地域にある場合は、当該敷地が第一種中高層住居専用地域内にあるものとみなして、容積率に係る制限及び建蔽率に係る制限が適用される。

敷地が容積率や建蔽率の制限が異なる2以上の地域にわたる場合、それぞれの用途地域に属している敷地の面積で按分して求めます。よって誤りです。

【問】用途地域の指定のない区域内の建築物については、容積率に係る制限は適用されない。

用途地域の指定のない区域内の建築物についても、5/10、8/10、10/10、20/10、30/10、40/10の中から特定行政庁が土地利用等の状況を考慮し、その区域を区分して、都道府県都市計画審議会の議を経て定めた数値が容積率の制限として適用されます。よって誤りです。(用途地域の指定のない区域内の建蔽率は、3/10、4/10、5/10、6/10、7/10の中から特定行政庁が土地利用等の状況を考慮し、その区域を区分して、都道府県都市計画審議会の議を経て定めた数値となります)


下図のような敷地A(第一種住居地域内)及び敷地B(準工業地域内)に住居の用に供する建築物を建築する場合における当該建築物の容積率(延べ面積の敷地面積に対する割合)及び建蔽率 (建築面積の敷地面積に対する割合) に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、正しいものはどれか。ただし、他の地域地区等の指定、特定道路、特定行政庁の許可及び指定は考慮しないものとする。(1998年の宅建過去問 問-22)

   

敷地A

180㎡

敷地B

120㎡

←6m→

 

               ↑
               4m            道路   
               ↓

敷地A:都市計画で定められた容積率の最高限度20/10 建蔽率の最高限度6/10
敷地B:都市計画で定められた容積率の最高限度40/10 建蔽率の最高限度6/10


【問】敷地Aのみを敷地として建築物を建築する場合、容積率の最高限度は200%、建蔽率の最高限度は60%となる。

前面道路が12m未満である場合の第一種住居地域内の容積率の最高限度は、原則として前面道路の幅員に10分の4を乗じた数値と都市計画で定められた数値を比較して小さいほうとなります。本肢の場合、前面道路の幅員4mに10分の4を乗じた160%が容積率の最高限度となります。よって誤りです。

【問】敷地Bのみを敷地として建築物を建築する場合、敷地Bが街区の角にある敷地として特定行政庁の指定を受けているとき、建蔽率の最高限度は20%増加して80%となる。

街区の角にある敷地として特定行政庁の指定を受けている場合、建蔽率の最高限度は10%増加します。よって70%となり誤りです。

【問】敷地Aと敷地Bをあわせて一の敷地として建築物を建築する場合、容積率の最高限度は264%となる。

A:6(広いほうの前面道路の幅員)×4/10(法定乗数)=24/10、B:6×6/10=36/10、これらと都市計画で定められた容積率の最高限度と比較し、それぞれ小さいほうであるA20/10、B36/10が容積率の最高限度となります。AとBをあわせて一の敷地とする場合、20/10×180/300+36/10×120/300(←単純な平均の計算です)=264/100で264%。よって正しい肢です。

【問】敷地Aと敷地Bをあわせて一の敷地として建築物を建築する場合、建蔽率の最高限度は74%となる。

建蔽率の最高限度はどちらも60%ですので、AとBをあわせて一の敷地とする場合でも、建蔽率の最高限度は60%です。よって誤りです。


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