とても役立つ年度別の解説付き宅建試験問題です。宅地建物取引業法=宅建業法などスッキリ略し、解説も要点だけに絞っています。要点を一気にチェックしながら平成24年(2012年)の通し問題を見ていきましょう。
- 平成24年(2012年)宅建試験問題と解説
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- 平成24年(2012年)宅建試験問題
- 1.権利関係の問題 問1~14
2.宅建業法の問題 問26~45
3.法令制限の問題 問15~22
4.税その他の問題 問23~25
5.税その他の問題 問46~50
【問題1】 民法94条第2項は、相手方と通じてした虚偽の意思表示の無効は「善意の第三者に対抗することはできない」と定めている。次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、同項の「第三者」に該当しないものはどれか。
1 Aが所有する甲土地につき、AとBが通謀の上で売買契約を仮装し、AからBに所有権移転登記がなされた場合に、B名義の甲土地を差し押さえたBの債権者C
2 Aが所有する甲土地につき、AとBの間に債権債務関係がないにかかわらず、両者が通謀の上でBのために抵当権を設定し、その旨の登記がなされた場合に、Bに対する貸付債権を担保するためにBから転抵当権の設定を受けた債権者C
3 Aが所有する甲土地につき、AとBが通謀の上で売買契約を仮装し、AからBに所有権移転登記がなされた場合に、Bが甲土地の所有権を有しているものと信じてBに対して金銭を貸し付けたC
4 AとBが通謀の上で、Aを貸主、Bを借主とする金銭消費貸借契約を仮装した場合に、当該仮装債権をAから譲り受けたC
⇒正解(3)
3:単に金銭を貸し付けたにすぎない債権者は、法律上の利害関係があるとは言えません。1番のように差押えまで必要です。
【問題2】 代理に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1 未成年が代理人となって締結した契約の効果は、当該行為を行うにつき当該未成年者の法定代理人による同意がなければ、有効に本人に帰属しない。
2 法人について即時取得の成否が問題となる場合、当該法人の代表機関が代理人によって取引を行ったのであれば、即時取得の要件である善意・無過失の有無は、当該代理人を基準にして判断される。
3 不動産の売買契約に関して、同一人物が売主及び買主の双方の代理人となった場合であっても、売主及び買主の双方があらかじめ承諾をしているときには、当該売買契約の効果は両当事者に有効に帰属する。
4 法定代理人は、やむを得ない事由がなくとも、復代理人を選任することができる。
⇒正解(1)
1:未成年者がした法律行為は取り消すことができますが、本人に帰属しないということはありません。
【問題3】 次の記述のうち、民法の条文に規定されているものはどれか。
1 意思能力を欠く状態でなされた意思表示が無効である旨
2 契約締結に当たって当事者が基礎とした事情に変更が生じた場合に、当事者は契約の再交渉を求めることができる旨
3 保証契約は、書面でしなければその効力を生じない旨
4 物の瑕疵(かし)とは、目的物が備えるべき性質、品質を備えていないことである旨
⇒正解(3) 条文が明記されているかどうか。3番ははっきりと決めてありそうですが、124番は過去に争いがあり判例で決まった感じもしますね(→ そして改正民法で新たに制定)。
4:改正民法で瑕疵担保責任は契約不適合責任となり、瑕疵の定義自体がなくなっています。
【問題4】 A所有の甲土地につき、Aから売却に関する代理権を与えられていないBが、Aの代理人として、Cとの間で売買契約を締結した場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。なお、表見代理は成立しないものとする。
1 Bの無権代理行為をAが追認した場合には、AC間の売買契約は有効となる。
2 Aの死亡により、BがAの唯一の相続人として相続した場合、Bは、Aの追認拒絶権を相続するので、自らの無権代理行為の追認を拒絶することができる。
3 Bの死亡により、AがBの唯一の相続人として相続した場合、AがBの無権代理行為の追認を拒絶しても信義則には反せず、AC間の売買契約が当然に有効になるわけではない。
4 Aの死亡により、BがDとともにAを相続した場合、DがBの無権代理行為を追認しない限り、Bの相続分に相当する部分においても、AC間の売買契約が当然に有効になるわけではない。
⇒正解(2)
2:無権代理人が本人を相続した場合は、その無権代行為は当然に有効となります。
【問題5】 次の1から4までの記述のうち、民法の規定及び下記判決文によれば、明らかに誤っているものはどれか。
(判決文)
請負人が建築した建物に重大な瑕疵(かし)があって建て替えるほかはない場合に、当該建物を収去することは社会経済的に大きな損失をもたらすものではなく、また、そのような建物を建て替えてこれに要する費用を請負人に負担させることは、契約の履行責任に応じた損害賠償責任を負担させるものであって、請負人にとって過酷であるともいえないのであるから、建て替えに要する費用相当額の損害賠償請求をすることを認めても、民法第635条ただし書の規定の趣旨に反するものとはいえない。
1 請負の目的物である建物の瑕疵が重要でない場合であって、その修補に過分の費用を要するときは、注文者は瑕疵の修補を請求することはできない。
2 請負の目的物である建物に重大な瑕疵があるためにこれを建て替えざるを得ない場合には、注文者は、請負人に対し、建物の建て替えに要する費用相当額の損害賠償請求をすることができる。
3 請負の目的物が建物であって、民法第635条ただし書によって注文者が請負契約の解除をすることができない場合には、その規定の趣旨に照らし、注文者は建て替えに要する費用相当額の損害賠償請求をすることは認められない。
4 請負の目的物である建物に重大な瑕疵があるためにこれを建て替えざるを得ない場合であっても、瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求は、請負人が当該建物を引き渡した時から1年以内にしなければならない。
⇒正解(34) 国語力で少し時間をかければ、3番が判決文と明らかに矛盾しているのが分かりますね。尚、改正民法により現在は4番も誤りとなっています。引渡しから1年以内ではなく、「注文者が不適合を知ったときから1年以内に通知」することが責任追及要件となっています。
【問題6】 A所有の甲土地についての所有権移転登記と権利の主張に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 甲土地につき、時効により所有権を取得したBは、時効完成前にAから甲土地を購入して所有権移転登記を備えたCに対して、時効による所有権の取得を主張することができない。
2 甲土地の賃借人であるDが、甲土地上に登記ある建物を有する場合に、Aから甲土地を購入したEは、所有権移転登記を備えていないときであっても、Dに対して、自らが賃貸人であることを主張することができる。
3 Aが甲土地をFとGとに対して二重に譲渡してFが所有権移転登記を備えた場合に、AG間の売買契約の方がAF間の売買契約よりも先になされたことをGが立証できれば、Gは、登記がなくても、Fに対して自らが所有者であることを主張することができる。
4 Aが甲土地をHと I とに対して二重に譲渡した場合において、Hが所有権移転登記を備えない間に I が甲土地を善意のJに譲渡してJが所有権移転登記を備えたときは、I がいわゆる背信的悪意者であっても、Hは、Jに対して自らが所有者であることを主張することができない。
⇒正解(4)
1:時効完成前の第三者には登記なしで対抗できます。
2:賃貸人としての地位を主張するには所有権移転登記が必要です。
3:二重譲渡の優劣は契約の先後ではなく登記の有無で決定します。
4:背信的悪意者からの転得者が善意であれば所有権を対抗することはできません。
【問題7】 物上代位に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。なお、物上代位を行う担保権者は、物上代位の対象とする目的物について、その払渡し又は引渡しの前に差し押さえるものとする。
1 Aの抵当権設定登記があるB所有の建物の賃料債権について、Bの一般債権者が差押えをした場合には、Aは当該賃料債権に物上代位することができない。
2 Aの抵当権設定登記があるB所有の建物の賃料債権について、Aが当該建物に抵当権を実行していても、当該抵当権が消滅するまでは、Aは当該賃料債権に物上代位することができる。
3 Aの抵当権設定登記があるB所有の建物が火災によって焼失してしまった場合、Aは、当該建物に掛けられた火災保険契約に基づく損害保険金請求権に物上代位することができる。
4 Aの抵当権設定登記があるB所有の建物について、CがBと賃貸借契約を締結した上でDに転貸していた場合、Aは、CのDに対する転貸賃料債権に当然に物上代位することはできない。
⇒正解(1)
1:物上代位の優劣は、一般債権者の差押命令の送達と抵当権設定登記の先後により決定します。
【問題8】 債務不履行に基づく損害賠償請求権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1 AがBと契約を締結する前に、信義則上の説明義務に違反して契約締結の判断に重要な影響を与える情報をBに提供しなかった場合、Bが契約を締結したことにより被った損害につき、Aは、不法行為による賠償責任を負うことはあっても、債務不履行による賠償責任を負うことはない。
2 AB間の利息付金銭消費貸借契約において、利率に関する定めがない場合、借主Bが債務不履行に陥ったことによりAがBに対して請求することができる遅延損害金は、年5分の利率により算出する。
3 AB間でB所有の甲不動産の売買契約を締結した後、Bが甲不動産をCに二重譲渡してCが登記を具備した場合、AはBに対して債務不履行に基づく損害賠償請求をすることができる。
4 AB間の金銭消費貸借契約において、借主Bは当該契約に基づく金銭の返済をCからBに支払われる売掛代金で予定していたが、その入金がなかった(Bの責めに帰すべき事由はない。)ため、返済期間が経過してしまった場合、Bは債務不履行に陥らず、Aに対して遅延損害金の支払義務を負わない。
⇒正解(24)
2:改正民法により、法定利率は5%→3%基準の変動利率となっているので現在は誤りです。
4:金銭債務に不可抗力は認められないため、売掛代金支払義務の不履行は不可抗力に当たらず債務不履行責任を負います。
【問題9】 Aに雇用されているBが、勤務中にA所有の乗用車を運転し、営業活動のため得意先に向っている途中で交通事故を起こし、歩いていたCに危害を加えた場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 BのCに対する損害賠償義務が消滅時効にかかったとしても、AのCに対する損害賠償義務が当然に消滅するものではない。
2 Cが即死であった場合には、Cには事故による精神的な損害が発生する余地がないので、AはCの相続人に対して慰謝料についての損害賠償責任を負わない。
3 Aの使用者責任が認められてCに対して損害を賠償した場合には、AはBに対して求償することができるので、Bに資力があれば、最終的にはAはCに対して賠償した損害額の全額を常にBから回収することができる。
4 Cが幼児である場合には、被害者側に過失があるときでも過失相殺が考慮されないので、AはCに発生した損害の全額を賠償しなければならない。
⇒正解(1)
1:不真正連帯債務であり、一方の債務の消滅時効が完成しても他方の債務に影響を及ぼしません。
2:損害発生と同時に損害賠償請求権が取得され、即死でも損害賠償請求権は相続の対象となります。
3:損害賠償を負担した使用者は被用者に求償することができますが、全額ではなく「信義則上相当と認められる限度」に限られます。
4:両親などの監督責任も考慮されます。
【問題10】 Aは未婚で子供がなく、父親Bが所有する甲建物にBと同居している。Aの母親Cは平成23年3月末日に死亡している。AにはBとCの実子である兄Dがいて、DはEと婚姻して実子Fがいたが、Dは平成24年3月末日に死亡している。この場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 Bが死亡した場合の法定相続分は、Aが2分の1、Eが4分の1、Fが4分の1である。
2 Bが死亡した場合、甲建物につき法定相続分を有するFは、甲建物を1人で占有しているAに対して、当然に甲建物の明渡しを請求することができる。
3 Aが死亡した場合の法定相続分は、Bが4分の3、Fが4分の1である。
4 Bが死亡した後、Aがすべての財産を第三者Gに遺贈する旨の遺言を残して死亡した場合、FはGに対して遺留分を主張することができない。
⇒正解(4)
1:Eは相続人ではなく、AFが1/2ずつ相続します。
2:共有物の全部を占有する共有者に対して、他の共有者が単独で明渡しを請求することはできません。
3:相続人はBのみです。
4:兄弟は遺留分を有せず、その子も遺留分を有しません。
【問題11】 賃貸借契約に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。
1 建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約において、借地権の登記がなくても、その土地上の建物に借地人が自己を所有者と記載した表示の登記をしていれば、借地権を第三者に対抗することができる。
2 建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約において、建物が全焼した場合でも、借地権者は、その土地上に滅失建物を特定するために必要な事項等を掲示すれば、借地権を第三者に対抗することができる場合がある。
3 建物の所有を目的とする土地の適法な転借人は、自ら対抗力を備えていなくても、賃借人が対抗力のある建物を所有しているときは、転貸人たる賃借人の賃借権を援用して転借権を第三者に対抗することができる。
4 仮設建物を建築するために土地を一時使用として1年間賃借し、借地権の存続期間が満了した場合には、借地権者は、借地権設定者に対し、建物を時価で買い取るように請求することができる。
⇒正解(4)
4:一時使用目的の借地権で、建物買取請求はできません。
【問題12】 A所有の居住用建物(床面積50平方メートル)につき、Bが賃料月額10万円、期間を2年として、賃貸借契約(借地借家法第38条に規定する定期建物賃貸借、同法第39条に規定する取壊し予定の建物の賃貸借及び同法第40条に規定する一時使用目的の建物の賃貸借を除く。以下この間において「本件普通建物賃貸借契約」という。)を締結する場合と、同法第38条の定期建物賃貸借契約(以下この問において「本件定期建物賃貸借契約」という。)を締結する場合とにおける次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 本件普通建物賃貸借契約でも、本件定期建物賃貸借契約でも、賃借人が造作買取請求権を行使できない旨の特約は、有効である。
2 本件普通建物賃貸借契約でも、本件定期建物賃貸借契約でも、賃料の改定についての特約が定められていない場合であって経済事情の変動により賃料が不相当になったときには、当事者は将来に向かって賃料の増減を請求することができる。
3 本件普通建物賃貸借契約では、更新がない旨の特約を記載した書面を契約に先立って賃借人に交付しても当該特約は無効であるのに対し、本件定期建物賃貸借契約では、更新がない旨の特約を記載した書面を契約に先立って賃借人に交付さえしておけば当該特約は有効となる。
4 本件普通建物賃貸借契約では、中途解約できる旨の留保がなければ賃借人は2年間は当該建物を借りる義務があるのに対し、本件定期建物賃貸借契約では、一定の要件を満たすのであれば、中途解約できる旨の留保がなくても賃借人は期間の途中で解約を申し入れることができる。
⇒正解(3)
3:定期建物賃貸借契約では更新を行わない特約も有効ですが、書面の交付(相手方の承諾を得て電子交付可)だけでは足りず、その旨を説明しなければなりません。
【問題13】 建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 共用部分の保存行為は、規約に別段の定めがない限り、集会の決議を経ずに各区分所有者が単独ですることができる。
2 共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で決するが、規約でこの区分所有者の定数及び議決権を各過半数まで減ずることができる。
3 管理者は、その職務に関して区分所有者を代理するため、その行為の効果は、規約に別段の定めがない限り、本人である各区分所有者に共用部分の持分の割合に応じて帰属する。
4 共用部分の管理に要した各区分所有者の費用の負担については、規約に別段の定めがない限り、共用部分の持分に応じて決まる。
⇒正解(2)
2:供用部分の変更について、規約により議決権の議決要件を減ずることはできません。区分所有者の定数を過半数まで減ずることは可能です。
【問題14】 不動産の登記に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 登記の申請をする者の委任による代理人の権限は、本人の死亡によっては、消滅しない。
2 承役地についてする地役権の設定の登記は、要役地に所有権の登記がない場合においても、することができる。
3 区分建物である建物を新築した場合において、その所有者について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人も、被承継人を表題部所有者とする当該建物についての表題登記を申請することができる。
4 不動産の収用による所有権の移転の登記は、起業者が単独で申請することができる。
⇒正解(2)
1:本人が死亡すると代理権は消滅するという民法の規定の例外。登記申請者の委任による代理人の代理権は、本人の死亡によって消滅しません。
2:要役地に所有権の登記がなければ、承役地に地役権の設定登記をすることはできません。
4:共同申請主義の例外として、登記権利者が単独で登記申請をできるものに不動産の収用による登記、確定判決による登記、相続や合併による登記があります。
【問題15】 国土利用計画法第23条の届出(以下この問において「事後届出」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 土地売買等の契約による権利取得者が事後届出を行う場合において、当該土地に関する権利の移転の対価が金銭以外のものであるときは、当該権利取得者は、当該対価を時価を基準として金銭に見積もった額に換算して、届出書に記載しなければならない。
2 市街化調整区域においてAが所有する面積4,000平方メートルの土地について、Bが一定の計画に従って、2,000平方メートルずつに分割して順次購入した場合、Bは事後届出を行わなければならない。
3 C及びDが、E市が所有する都市計画区域外の24,000平方メートルの土地について共有持分50%ずつと定めて共同で購入した場合、C及びDは、それぞれ事後届出を行わなければならない。
4 Fが市街化区域内に所有する2,500平方メートルの土地について、Gが銀行から購入資金を借り入れることができることを停止条件とした売買契約を、FとGとの間で締結した場合、Gが銀行から購入資金を借り入れることができることに確定した日から起算して2週間以内に、Gは事後届出を行わなければならない。
⇒正解(1)
2:順次購入しても合計して届出必要面積に達していれば届出が必要ですが、本肢は市街化調整区域における届出必要面積5,000㎡に達していないので事後届出は不要です。
3:当事者の一方が国や地方公共団体等であれば事後届出は不要です。
4:事後届出は、停止条件が成就した日からではなく、契約締結日から2週間以内に行わなくてはなりません。
【問題16】 都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 市街地開発事業等予定区域に関する都市計画において定められた区域内において、非常災害のため必要な応急措置として行う建築物の建築であれば、都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長)の許可を受ける必要はない。
2 都市計画の決定又は変更の提案は、当該提案に係る都市計画の素案の対象となる土地について所有権又は借地権を有している者以外は行うことができない。
3 市町村は、都市計画を決定しようとするときは、あらかじめ、都道府県知事に協議し、その同意を得なければならない。
4 地区計画の区域のうち地区整備計画が定められている区域内において、建築物の建築等の行為を行った者は、一定の行為を除き、当該行為の完了した日から30日以内に、行為の種類、場所等を市町村長に届けなければならない。
⇒正解(1) 正解肢は簡単ですが、他の肢が細かめで深い知識を問う問題ですね。
2:土地所有者等以外にも、まちづくり推進非営利活動法人や独立行政法人都市再生機構などなども都市計画の決定や変更の提案をすることができます。
3:市町村全てが都道府県知事への協議で足ります(R3法改正)。
4:行為完了日から30日以内ではなく、行為に着手する日の30日前までに一定事項を市町村長に届け出ることを要します。
【問題17】 次の記述のうち、都市計画法による許可を受ける必要のある開発行為の組合せとして、正しいものはどれか。ただし、許可を要する開発行為の面積については、条例による定めはないものとする。
ア 市街化調整区域において、図書館法に規定する図書館の建築の用に供する目的で行われる3,000平方メートルの開発行為
イ 準都市計画区域において、医療法に規定する病院の建築の用に供する目的で行われる4,000平方メートルの開発行為
ウ 市街化区域内において、農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行われる1,500平方メートルの開発行為
⇒正解(3)正しいものはイウ
ア:どの区域においても、図書館や駅など公益上必要な建築物の開発行為に許可は必要ありません。
イ:準都市計画区域で3,000㎡以上なので開発許可が必要です。
ウ:農林漁業関連で開発許可が不要となるのは、市街化調整区域、準都市計画区域、区域区分が定められていない都市計画区域に限られます。本肢は市街化区域で1,000㎡以上の開発行為なので許可が必要となります。
【問題18】 建築基準法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 建築基準法の改正により、現に存する建築物が改正後の建築基準法の規定に適合しなくなった場合、当該建築物は違反建築物となり、速やかに改正後の建築基準法の規定に適合させなければならない。
2 事務所の用途に供する建築物を、飲食店(その床面積の合計250平方メートル)に用途変更する場合、建築主事又は指定確認検査機関の確認を受けなければならない。
3 住宅の居室には、原則として、換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、25分の1以上としなければならない。
4 建築主事は、建築主から建築物の確認の申請を受けた場合において、申請に係る建築物の計画が建築基準法令の規定に適合しているかを審査すれば足り、都市計画法等の建築基準法以外の法律の規定に適合しているかは審査の対象外である。
⇒正解(2)
1:既存不適格建築物となり、建築基準法の適用から除外されます。
2:200㎡を超える特殊建築物への用途変更は建築確認が必要。
3:25分の1以上ではなく、20分の1以上。
4:建築確認とは、建築基準法だけでなく、都市計画法や宅地造成等規制法などにも建築物の計画が適合しているかを確認する手続きです。
【問題19】 建築基準法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 街区の角にある敷地又はこれに準ずる敷地内にある建物の建蔽率については、特定行政庁の指定がなくとも都市計画において定められた建蔽率の数値に10分の1を加えた数値が限度となる。
2 第一種低層住居専用地域又は第二種低層住居専用地域内においては、建築物の高さは、12m又は15mのうち、当該地域に関する都市計画において定められた建築物の高さの限度を超えてはならない。
3 用途地域に関する都市計画において建築物の敷地面積の最低限度を定める場合においては、その最低限度は200平方メートルを超えてはならない。
4 建築協定区域内の土地の所有者等は、特定行政庁から認可を受けた建築協定を変更又は廃止しようとする場合においては、土地所有者等の過半数の合意をもってその旨を定め、特定行政庁の認可を受けなければならない。
⇒正解(3)
1:街区の角にある敷地またはこれに準ずる敷地で特定行政庁が指定するものの内にある建築物について建蔽率の加算が受けられます。
2:10mまたは12m(田園住居地域も)。
3:用途地域における建築物の敷地面積の最低限度を定める場合は、200㎡を超えてはなりません。
4:建築協定の締結と変更は土地所有者等の全員の合意、建築協定の廃止は土地所有者等の過半数の合意によって決せられます。
【問題20】 宅地造成及び特定盛土等規制法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び特例市にあってはその長をいうものとする。
1 宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事が完了した場合、工事主は、都道府県知事の検査を受けなければならない。
2 宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事について許可をする都道府県知事は、当該許可に、工事の施工に伴う災害を防止するために必要な条件を付することができる。
3 都道府県知事は、宅地造成等工事規制区域内における土地の所有者、管理者又は占有者に対して、当該土地又は当該土地において行われている工事の状況について報告を求めることができる。
4 都道府県知事は、関係市町村長の意見を聴いて、宅地造成等工事規制区域内で、宅地造成等に伴う災害で相当数の居住者その他の者に危害を生ずるものの発生のおそれが大きい一団の造成宅地の区域であって一定の基準に該当するものを、造成宅地防災区域として指定することができる。
⇒正解(4) 途中で迷った肢があっても、4番を見た瞬間に決定ですね。
4:宅地造成等工事規制区域内の土地を、重ねて造成宅地防災区域に指定することはできません。
【問題21】 土地区画整理法における土地区画整理組合に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 土地区画整理組合は、総会の議決により解散しようとする場合において、その解散について、認可権者の認可を受けなければならない。
2 土地区画整理組合は、土地区画整理事業について都市計画に定められた施行区域外において、土地区画整理事業を施行することはできない。
3 土地区画整理組合が施行する土地区画整理事業の換地計画においては、土地区画整理事業の施行の費用に充てるため、一定の土地を換地として定めないで、その土地を保留地として定めることができる。
4 土地区画整理組合が施行する土地区画整理事業に係る施行地区内の宅地について所有権又は借地権を有する者は、すべてその組合の組合員とする。
⇒正解(2)
2:施行者が都道府県や市町村、国土交通大臣の場合は、施行区域内でのみ土地区画整理事業を施行することができますが、個人施行、土地区画整理組合施行、区画整理会社施行については施行区域外においても施行することができます。
【問題22】 農地法(以下この問において「法」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 登記簿上の地目が山林となっている土地であっても、現に耕作の目的に供されている場合には、法に規定する農地に該当する。
2 法第3条第1項又は第5条第1項の許可が必要な農地の売買について、これらの許可を受けずに売買契約を締結しても、その所有権は移転しない。
3 市街化区域内の農地について、あらかじめ農業委員会に届け出てその所有者が自ら駐車場に転用する場合には、法第4条第1項の許可を受ける必要はない。
4 砂利採取法による認可を受けた砂利採取計画に従って砂利を採取するために農地を一時的に貸し付ける場合には、法第5条第1項の許可を受ける必要はない。
⇒正解(4)
4:一時的な転用目的の権利移転でも5条許可が必要です。
【問題23】 平成24年中に、個人が居住用財産を譲渡した場合における譲渡所得の課税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 平成24年1月1日において所有期間が10年以下の居住用財産については、居住用財産の譲渡所得の3,000万円特別控除(租税特別措置法第35条第1項)を適用することができない。
2 平成24年1月1日において所有期間が10年を超える居住用財産について、収用交換等の場合の譲渡所得等の5,000万円特別控除(租税特別措置法第33条の4第1項)の適用を受ける場合であっても、特別控除後の譲渡益について、居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例(同法第31条の3第1項)を適用することができる。
3 平成24年1月1日において所有期間が10年を超える居住用財産について、その譲渡した時にその居住用財産を自己の居住の用に供していなければ、居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例を適用することができない。
4 平成24年1月1日において所有期間が10年を超える居住用財産について、その者と生計を一にしていない孫に譲渡した場合には、居住用財産の譲渡所得の3,000万円特別控除を適用することができる。
⇒正解(2) 所得税にしては易しめですが…。
1:3000万円特別控除は、所有期間に関係なく適用されます。
3:長期譲渡所得の軽減税率は、居住の用に供さなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すれば適用されます。
4:3000万円特別控除は、配偶者、直系血族、生計を一にしている親族への譲渡には適用されません。
【問題24】 不動産取得税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 不動産取得税の課税標準となるべき額が、土地の取得にあっては10万円、家屋の取得のうち建築に係るものにあっては1戸につき23万円、その他のものにあっては1戸につき12万円に満たない場合においては、不動産取得税が課されない。
2 平成24年4月に取得した床面積250平方メートルである新築住宅に係る不動産取得税の課税標準の算定については、当該新築住宅の価格から1,200万円が控除される。
3 宅地の取得に係る不動産取得税の課税標準は、当該取得が平成27年3月31日までに行われた場合、当該宅地の価格の4分の1の額とされる。
4 家屋が新築された日から2年を経過して、なお、当該家屋について最初の使用又は譲渡が行われない場合においては、当該家屋が新築された日から2年を経過した日において家屋の取得がなされたものとみなし、当該家屋の所有者を取得者とみなして、これに対して不動産取得税を課する。
⇒正解(1)
2:1200万円控除が適用されるのは、床面積50㎡以上240㎡以下の新築住宅に限られます。
3:4分の1ではなく2分の1。
4:新築住宅で最初の使用または譲渡が行われない場合、新築された日から6ヶ月を経過した日に取得されたものとみなし、所有者に不動産取得税が課されます。
【問題25】 不動産の鑑定評価に関する次の記述のうち、不動産鑑定評価基準によれば、誤っているものはどれか。
1 不動産の価格を形成する要因とは、不動産の効用及び相対的稀(き)少性並びに不動産に対する有効需要の三者に対する影響を与える要因をいう。不動産の鑑定評価を行うに当たっては、不動産の価格を形成する要因を明確に把握し、かつ、その推移及び動向並びに諸要因間の相互関係を十分に分析すること等が必要である。
2 不動産の鑑定評価における各手法の適用に当たって必要とされる事例は、鑑定評価の各手法に即応し、適切にして合理的な計画に基づき、豊富に秩序正しく収集、選択されるべきであり、例えば、投機的取引と認められる事例は用いることができない。
3 取引事例比較法においては、時点修正が可能である等の要件をすべて満たした取引事例について、近隣地域又は同一需給圏内の類似地域に存する不動産に係るもののうちから選択するものとするが、必要やむを得ない場合においては、近隣地域の周辺の地域に存する不動産に係るもののうちから選択することができる。
4 原価法における減価修正の方法としては、耐用年数に基づく方法と、観察減価法の二つの方法があるが、これらを併用することはできない。
⇒正解(4)
4:減価修正は、原則として、耐用年数に基づく方法と観察減価法を併用して行います。
【問題26】 宅建業の免許(以下この問において「免許」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 免許を受けようとするA社に、刑法第204条(傷害)の罪により懲役1年(執行猶予2年)の刑に処せられ、その刑の執行猶予期間を満了した者が役員として在籍している場合、その満了の日から5年を経過していなくとも、A社は免許を受けることができる。
2 免許を受けようとするB社に、刑法第206条(現場助勢)の罪により罰金の刑に処せられた者が非常勤役員として在籍している場合、その刑の執行が終わってから5年を経過していなくとも、B社は免許を受けることができる。
3 免許を受けようとするC社に、刑法第208条(暴行)の罪により拘留の刑に処せられた者が役員として在籍している場合、その刑の執行が終わってから5年を経過していなければ、C社は免許を受けることができない。
4 免許を受けようとするD社に、刑法第209条(過失傷害)の罪により科料の刑に処せられた者が非常勤役員として在籍している場合、その刑の執行が終わってから5年を経過していなければ、D社は免許を受けることができない。
⇒正解(1)
1:執行猶予期間を満了した者は直ちに免許を受けることができます。
2:罰金刑で免許欠格事由となるもので覚えておいてほしいものに、宅建業法違反、暴行、傷害、背任などがありますが、現場助勢罪も含まれます。正解肢が簡単なときにこういう細かい肢が出題されることも多いですね。
3:暴行で罰金以上なら免許欠格事由ですが、拘留に留まるときは欠格事由とはなりません。
4:過失傷害(故意ではない)も科料も免許欠格事由ではありません。
【問題27】 宅建業の免許(以下この問において「免許」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 免許を受けていた個人Aが死亡した場合、その相続人Bは、死亡を知った日から30日以内にその旨をAが免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。
2 Cが自己の所有する宅地を駐車場として整備し、賃貸を業として行う場合、当該賃貸の媒介を、免許を受けているD社に依頼するとしても、Cは免許を受けなければならない。
3 Eが所有するビルを賃借しているFが、不特定多数の者に反復継続して転貸する場合、Eは免許を受ける必要はないが、Fは免許を受けなければならない。
4 G社(甲県知事免許)は、H社(国土交通大臣免許)に吸収合併され、消滅した。この場合、H社を代表する役員Iは、当該合併の日から30日以内にG社が消滅したことを国土交通大臣に届け出なければならない。
⇒正解(1)
1:相続人は、死亡を知った日から30日以内に免許権者に届け出なければなりません。
2:自ら貸借でその媒介を宅建業者に依頼しても宅建業に該当しません(世の中の全ての大家さんに宅建免許が必要となってしまいますね)。
3:転貸でも自ら貸借は宅建業に該当せず、Fも免許不要です。
4:合併により消滅した法人を代表する役員であった者(G社の代表)が、消滅した日から30日以内に届け出ます。
【問題28】 宅建業者が行う広告に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。
ア 建物の所有者と賃貸借契約を締結し、当該建物を転貸するための広告をする際は、当該広告に自らが契約の当事者となって貸借を成立させる旨を明示しなければ、宅建業法第34条に規定する取引態様の明示義務に違反する。
イ 居住用賃貸マンションとする予定の建築確認申請中の建物については、当該建物の貸借に係る媒介の依頼を受け、媒介契約を締結した場合であっても、広告をすることができない。
ウ 宅地の売買に関する広告をインターネットで行った場合において、当該宅地の売買契約成立後に継続して広告を掲載していたとしても、最初の広告掲載時点で当該宅地に関する売買契約が成立していなければ、宅建業法第32条に規定する誇大広告等の禁止に違反することはない。
エ 新築分譲住宅としての販売を予定している建築確認申請中の物件については、建築確認申請中である旨を表示をすれば、広告をすることができる。
⇒正解(1) 正しいのはイのみ
ア:自ら貸借は宅建業ではないので、宅建業法に従う義務はありません。
イ:貸借でも、建築確認や開発許可後でなければ未完成物件の広告は禁止されています(貸借なら契約は可)。
ウ:契約済みの物件を継続して掲載してはいけません。
エ:建築確認申請中である旨を明示しても広告は不可です。
【問題29】 宅建業者A社が、宅建業者でないBから自己所有の土地付建物の売却の媒介を依頼された場合における次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 宅建業者A社がBと専任媒介契約を締結した場合、当該土地付建物の売買契約が成立したときは、A社は、遅滞なく、登録番号、取引価格及び売買契約の成立した年月日を指定流通機構に通知しなければならない。
2 宅建業者A社がBと専属専任媒介契約を締結した場合、A社は、Bに当該媒介業務の処理状況の報告を電子メールで行うことはできない。
3 宅建業者A社が宅建業者C社から当該土地付建物の購入の媒介を依頼され、C社との間で一般媒介契約(専任媒介契約でない媒介契約)を締結した場合、A社は、C社に宅建業法第34条の2の規定に基づく書面を交付しなければならない。
4 宅建業者A社がBと一般媒介契約(専任媒介契約でない媒介契約)を締結した場合、A社がBに対し当該土地付建物の価額又は評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない。
⇒正解(2)
2:媒介契約の業務処理状況報告は、口頭やメールで行うこともできます。
3:一般媒介であっても宅建業者間であっても、媒介契約書面の交付を省略することはできません。
4:根拠を明らかにする必要はありますが、書面による必要はないので注意。
【問題30】 宅建業者が行う宅建業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 建物の貸借の媒介を行う場合、当該建物が住宅の品質確保の促進等に関する法律に規定する住宅性能評価を受けた新築住宅であるときは、その旨について説明しなければならないが、当該評価の内容までを説明する必要はない。
2 建物の売買の媒介を行う場合、飲用水、電気及びガスの供給並びに排水のための施設が整備されていないときは、その整備の見通し及びその整備についての特別の負担に関する事項を説明しなければならない。
3 建物の貸借の媒介を行う場合、当該建物について、石綿の使用の有無の調査の結果が記録されているときは、その旨について説明しなければならないが、当該記録の内容までを説明する必要はない。
4 昭和55年に竣(しゅん)工した建物の売買を行う場合、当該建物について耐震診断を実施した上で、その内容を説明しなければならない。
⇒正解(2)
1:貸借で、住宅性能評価を受けた新築住宅である旨を説明する必要はありません。
2:全契約において、上下水道が整備されていないときは将来の見通しや費用負担を説明します。
3:全契約において、石綿の使用の有無の調査結果が記録されているときはその内容を説明します。
4:全契約において、昭和56年5月31日以前に着工された建物で耐震診断を受けていたときはその内容を説明しますが、耐震診断が行われていない場合に実施して説明する必要はありません。
【問題31】 宅建業者A社が宅建業法第37条の規定により交付すべき書面(以下この問において「37条書面」という。)に関する次の記述のうち、宅建業法の規定に違反するものはどれか。
1 宅建業者A社は、自ら売主として宅建業者でない買主との間で宅地の売買契約を締結した。この際、当該買主の代理として宅建業者B社が関与していたことから、37条書面を買主に加えてB社へも交付した。
2 宅建業者A社は、宅建業者C社が所有する建物について、宅建業者でない買主から購入の媒介の依頼を受け、当該建物の売買契約を成立させた。この際、C社と当該買主との間では、C社が宅建業法第41条の2に規定する手付金等の保全措置を講じており、A社もそのことを知っていたが、37条書面には当該措置の内容を記載しなかった。
3 宅建業者A社は、建築工事完了前の建物の売買を媒介し、当該売買契約を成立させた。この際、37条書面に記載する当該建物を特定するために必要な表示については、宅建業法第35条の規定に基づく重要事項の説明において使用した図書があったため、当該図書の交付により行った。
4 宅建業者A社は、居住用建物の貸借を媒介し、当該賃貸借契約を成立させた。この際、当該建物の引渡しの時期に関する定めがあったが、宅建業法第35条の規定に基づく重要事項の説明において、既に借主へ伝達していたことから、37条書面にはその内容を記載しなかった。
⇒正解(4)
1:買主への交付は義務で、他の者に交付してはいけないという規定もありません。
2:手付金等の保全措置は、35条では必要で、37条では記載事項ではありません。
4:引渡し時期は、35条では不要で、37条では必ず記載すべき事項です。
【問題32】 宅建業者A社が、自ら売主として宅建業者でない買主Bと宅地の売買について交渉を行う場合における次の記述のうち、宅建業法の規定に違反しないものはどれか。なお、この問において、「重要事項説明」とは、宅建業法第35条の規定に基づく重要事項の説明を、「37条書面」とは、宅建業法第37条の規定により交付すべき書面をいうものとする。
1 Bは、買受けの申込みを行い、既に申込証拠金を払い込んでいたが、申込みを撤回することとした。A社は、既にBに重要事項説明を行っていたため、受領済みの申込証拠金については、解約手数料に充当するとして返還しないこととしたが、申込みの撤回には応じた。
2 Bは、事業用地として当該宅地を購入する資金を金融機関から早急に調達する必要があったため、重要事項説明に先立って37条書面の交付を行うようA社に依頼した。これを受け、A社は、重要事項説明に先立って契約を締結し、37条書面を交付した。
3 Bは、当該宅地を購入するに当たり、A社のあっせんを受けて金融機関から融資を受けることとした。この際、A社は、重要事項説明において当該あっせんが不調に終わるなどして融資が受けられなくなった場合の措置について説明をし、37条書面へも当該措置について記載することとしたが、融資額や返済方法等のあっせんの内容については、37条書面に記載するので、重要事項説明に係る書面への記載は省略することとした。
4 Bは、契約するかどうかの重要な判断要素の一つとして、当該宅地周辺の将来における交通整備の見通し等についてA社に確認した。A社は、将来の交通整備について新聞記事を示しながら、「確定はしていないが、当該宅地から徒歩2分のところにバスが運行するという報道がある」旨を説明した。
⇒正解(4)
1:申込証拠金を解約手数料に充当することはできません。
2:重要事項の説明をせずに契約を締結してはいけません。
3:あっせん内容とあっせんが成立しなかったときの措置は、35条では必要で、37条ではあっせんについての定めがあるときのみ記載します。
4:確定していないと明言しつつ新聞記事を見せる行為は、将来を誤解させる悪質な勧誘とまでは言えません。
【問題33】 宅建業者A社の営業保証金に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 宅建業者A社が地方債証券を営業保証金に充てる場合、その価額は額面金額の100分の90である。
2 宅建業者A社は、営業保証金を本店及び支店ごとにそれぞれ最寄りの供託所に供託しなければならない。
3 宅建業者A社が本店のほかに5つの支店を設置して宅地建物取引業を営もうとする場合、供託すべき営業保証金の合計額は210万円である。
4 宅建業者A社は、自ら所有する宅地を売却するに当たっては、当該売却に係る売買契約が成立するまでの間に、その買主に対して、供託している営業保証金の額を説明しなければならない。
⇒正解(1)
1:地方債証券は90%の換算率で計算されます。
2:支店も主たる事務所の最寄りの供託所に供託します。
3:1000万+500万×5=3500万円。
4:営業保証金の額は説明事項ではありません(説明事項=供託所の名称と所在地)。
【問題34】 宅建業者A社は、自ら売主として宅建業者でない買主Bとの間で、中古マンション(代金2,000万円)の売買契約(以下「本件売買契約」という。)を締結し、その際、代金に充当される解約手付金200万円(以下「本件手付金」という。)を受領した。この場合におけるA社の行為に関する次の記述のうち、宅建業法の規定に違反するものはいくつあるか。
ア 引渡前に、A社は、代金に充当される中間金として100万円をBから受領し、その後、本件手付金と当該中間金について宅建業法第41条の2に定める保全措置を講じた。
イ 本件売買契約締結前に、A社は、Bから申込証拠金として10万円を受領した。本件売買契約締結時に、当該申込証拠金を代金の一部とした上で、A社は、宅建業法第41条の2に定める保全措置を講じた後、Bから本件手付金を受領した。
ウ A社は、本件手付金の一部について、Bに貸付けを行い、本件売買契約の締結を誘引した。
⇒正解(2) 違反するのはアとウ。簡単ですので個数問題だからと臆さないように。
ア:保全措置は、手付金等を受領する前に行います。
ウ:貸付その他信用の供与による契約の誘引は禁止です。
【問題35】 宅建業者A社(消費税課税事業者)は売主Bから土地付中古別荘の売却の代理の依頼を受け、宅建業者C社(消費税課税事業者)は買主D から別荘用物件の購入に係る媒介の依頼を受け、BとDの間で当該土地付中古別荘の売買契約を成立させた。この場合における次の記述のうち、宅建業法の規 定によれば、正しいものの組合せはどれか。なお、当該土地付中古別荘の売買代金は 320万円(うち、土地代金は100万円)で、消費税額及び地方消費税額を含むものとする。
ア 宅建業者A社がBから受領する報酬の額によっては、C社はDから報酬を受領することができない場合がある。
イ 宅建業者A社はBから、少なくとも154,000円を上限とする報酬を受領することができる。
ウ 宅建業者A社がBから100,000円の報酬を受領した場合、C社がDから受領できる報酬の上限額は208,000円である。
エ 宅建業者A社は、代理報酬のほかに、Bからの依頼の有無にかかわらず、通常の広告の料金に相当する額についても、Bから受け取ることができる。
⇒正解(1)正しいものはアイ。
ア:Aが代理の報酬上限額を受け取っていた場合、Cは報酬を受領することができません。
イ:配分は自由なので、Cの報酬額が0ならAは最大で308,000円まで受領することが可能ですが、Cが上限まで受領していればAの上限は154,000円となります(=少なくとも154,000円)。
ウ:媒介においてAの受領額が上限の半分以下だったとしても、Cが残り全額を受領できるわけではなくC1人の上限額の範囲に限られます。
エ:報酬と別に受領できるのは、依頼者の依頼によって行った広告料金または遠隔地への現地調査費用に限られます。
【問題36】 宅建士に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 宅建業者A社は、その主たる事務所に従事する唯一の専任の宅建士が退職したときは、30日以内に、新たな専任の宅建士を設置しなければならない。
2 宅建業者B社は、10戸の一団の建物の分譲の代理を案内所を設置して行う場合、当該案内所に従事する者が6名であるときは、当該案内所に少なくとも2名の専任の宅建士を設置しなければならない。
3 宅建業者C社(甲県知事免許)の主たる事務所の専任の宅建士Dが死亡した場合、当該事務所に従事する者17名に対し、専任の宅建士4名が設置されていれば、C社が甲県知事に届出をする事項はない。
4 宅建業者E社(甲県知事免許)の専任の宅建引士であるF(乙県知事登録)は、E社が媒介した丙県に所在する建物の売買に関する取引において宅建士として行う事務に関し著しく不当な行為をした場合、丙県知事による事務禁止処分の対象となる。
⇒正解(4)
1:30日ではなく、2週間以内に設置。そして新たな専任宅建士を設置した旨を30日以内に免許権者に届け出ます。
2:宅建士の設置を要する案内所に宅建士を設置する場合は、5人に1人以上ではなく1人で足ります。
3:設置人数に不足はなくても、死亡の届出が必要です。
4:丙県知事はFに事務禁止処分を行うことができます。登録消除処分は乙県知事であるという点にも注意。
【問題37】 宅建業者A社が、自ら売主として宅建業者でない買主Bとの間で締結した建物の売買契約について、Bが宅建業法第37条の2の規定に基づき、いわゆるクーリング・オフによる契約の解除をする場合における次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 Bは、モデルルームにおいて買受けの申込みをし、後日、A社の事務所において売買契約を締結した。この場合、Bは、既に当該建物の引渡しを受け、かつ、その代金の全部を支払ったときであっても、A社からクーリング・オフについて何も告げられていなければ、契約の解除をすることができる。
2 Bは、自らの希望により自宅近くの喫茶店において買受けの申込みをし、売買契約を締結した。その3日後にA社から当該契約に係るクーリング・オフについて書面で告げられた。この場合、Bは、当該契約締結日から起算して10日目において、契約の解除をすることができる。
3 Bは、ホテルのロビーにおいて買受けの申込みをし、その際にA社との間でクーリング・オフによる契約の解除をしない旨の合意をした上で、後日、売買契約を締結した。この場合、仮にBがクーリング・オフによる当該契約の解除を申し入れたとしても、A社は、当該合意に基づき、Bからの契約の解除を拒むことができる。
4 Bは、A社の事務所において買受けの申込みをし、後日、レストランにおいてA社からクーリング・オフについて何も告げられずに売買契約を締結した。この場合、Bは、当該契約締結日から起算して10日目において、契約の解除をすることができる。
⇒正解(2)
1:事務所等で申込みをした上に、引渡しを受けて代金全額を支払っているので、ダブルでクーリング・オフ不可。
2:書面で告げられた日から7日後なので契約解除が可能です。
3:買主に不利な特約は無効です。
4:申込みが事務所で行われている以上、クーリング・オフはできません。
【問題38】 宅建業者A社が、自ら売主として締結する建築工事完了後の新築分譲マンション(代金3,000万円)の売買契約に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、誤っているものはいくつあるか。
ア 宅建業者A社は、宅建業者である買主Bとの当該売買契約の締結に際して、当事者の債務不履行を理由とする契約解除に伴う損害賠償の予定額を1,000万円とする特約を定めることができない。
イ 宅建業者A社は、宅建業者でない買主Cとの当該売買契約の締結に際して、当事者の債務不履行を理由とする契約解除に伴う損害賠償の予定額300万円に加え、違約金を600万円とする特約を定めたが、違約金についてはすべて無効である。
ウ 宅建業者A社は、宅建業者でない買主Dとの当該売買契約の締結に際して、宅建業法第41条の2の規定による手付金等の保全措置を講じた後でなければ、Dから300万円の手付金を受領することができない。
⇒正解(3) やや複雑で3つとも誤りという、正確な知識がないと正解できない問題。
ア:宅建業者間に損害賠償額の予定は適用されないため、代金の2/10を超える損害賠償額でも有効です。
イ:全てが無効となるわけではなく、2/10を超える部分だけが無効となります。
ウ:工事完了建物で手付金額が代金の10%以下であり1000万円以下のため、保全措置は不要です。
【問題39】 宅建業者A社が、自ら売主として建物の売買契約を締結する際の特約に関する次の記述のうち、宅建業法の規定に違反するものはどれか。
1 当該建物が新築戸建住宅である場合、宅建業者でない買主Bの売買を代理する宅建業者C社との間で当該契約締結を行うに際して、A社が当該住宅の契約不適合責任を負うための通知期間についての特約を定めないこと。
2 当該建物が中古建物である場合、宅建業者である買主Dとの間で、「中古建物であるため、A社は、契約不適合責任を負わない」旨の特約を定めること。
3 当該建物が中古建物である場合、宅建業者でない買主Eとの間で、「A社が契約不適合責任を負うための通知期間は、売買契約締結の日にかかわらず引渡しの日から2年間とする」旨の特約を定めること。
4 当該建物が新築戸建住宅である場合、宅建業者でない買主Fとの間で、「Fは、A社が契約不適合責任を負う期間内であれば、損害賠償の請求をすることはできるが、契約の解除をすることはできない」旨の特約を定めること。
⇒正解(4)
1:契約不適合責任の特約は任意です。
2:宅建業者間で特約は制限されませんので、宅建業者間ならば契約不適合責任を負わない旨の特約も有効です。
3:通知期間を引渡しから2年とする特約だけは、例外として買主に不利でも許されます。
4:契約解除ができないというのは民法の規定よりも買主に不利なので宅建業法に違反します。
【問題40】 次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。
ア 不当な履行遅延の禁止(宅建業法第44条)は、宅地若しくは建物の登記若しくは引渡し又は取引に係る対価の支払を対象とするのみである。
イ 宅建業者は、個人情報の保護に関する法律第2条第3項に規定する個人情報取扱事業者に該当しない場合、業務上取り扱った個人情報について、正当な理由なく他に漏らしても、秘密を守る義務(宅建業法第45条)に違反しない。
ウ 宅建業者は、その事務所ごとに、従業者名簿を備えなければならず、当該名簿については最終の記載をした日から10年間保存しなければならない。
エ 宅建業者は、その事務所ごとに、その業務に関する帳簿を備えなければならず、帳簿の閉鎖後5年間(当該宅建業者が自ら売主となる新築住宅に係るものにあっては10年間)当該帳簿を保存しなければならない。
⇒正解(3) 正しいのはアウエ。基礎的な知識ばかりの個数問題。
イ:個人情報取扱事業者に該当しない場合でも、業務上知り得た個人情報を正当理由なく他に漏らしてはなりません。
【問題41】 宅建業者A社による投資用マンションの販売の勧誘に関する次の記述のうち、宅建業法の規定に違反するものはいくつあるか。
ア 宅建業者A社の従業員は、勧誘に先立ってA社の商号及び自らの氏名を告げてから勧誘を行ったが、勧誘の目的が投資用マンションの売買契約の締結である旨を告げなかった。
イ 宅建業者A社の従業員は、「将来、南側に5階建て以上の建物が建つ予定は全くない。」と告げ、将来の環境について誤解させるべき断定的判断を提供したが、当該従業員には故意に誤解させるつもりはなかった。
ウ 宅建業者A社の従業員は、勧誘の相手方が金銭的に不安であることを述べたため、売買代金を引き下げ、契約の締結を誘引した。
エ 宅建業者A社の従業員は、勧誘の相手方から、「午後3時に訪問されるのは迷惑である。」と事前に聞いていたが、深夜でなければ迷惑にはならないだろうと判断し、午後3時に当該相手方を訪問して勧誘を行った。
⇒正解(3) 違反するのはアイエ
ア:「勧誘目的である旨」を告げずに勧誘することは宅建業法違反となります。
イ:故意かどうかに関わらず「契約の目的物である宅地または建物の将来の環境・交通その他の利便について誤解させるべき断定的判断を提供すること」は宅建業法違反となります。
ウ:実際に売買代金を引き下げるのであれば単なる値下げで、手付金供与などの違法な誘引とはなりません。
エ:超迷惑です。
【問題42】 宅建業者A社(国土交通大臣免許)が行う宅建業者B社(甲県知事免許)を売主とする分譲マンション(100戸)に係る販売代理について、A社が単独で当該マンションの所在する場所の隣地に案内所を設けて売買契約の締結をしようとする場合における次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものの組合せはどれか。なお、当該マンション及び案内所は甲県内に所在するものとする。
ア 宅建業者A社は、マンションの所在する場所に宅建業法第50条第1項の規定に基づく標識を掲げなければならないが、B社は、その必要がない。
イ 宅建業者A社が設置した案内所について、売主であるB社が宅建業法第50条第2項の規定に基づく届出を行う場合、A社は当該届出をする必要がないが、B社による届出書については、A社の商号又は名称及び免許証番号も記載しなければならない。
ウ 宅建業者A社は、成年者である専任の宅建士を当該案内所に置かなければならないが、B社は、当該案内所に成年者である専任の宅建士を置く必要がない。
エ 宅建業者A社は、当該案内所に宅建業法第50条第1項の規定に基づく標識を掲げなければならないが、当該標識へは、B社の商号又は名称及び免許証番号も記載しなければならない。
⇒正解(3) イが細かいですが、正しい肢のウエがシンプルすぎますね。
ア:マンション所在地に標識を掲げる必要があるのは売主である宅建業者Bのみ。
イ:Aが設置した案内所で届出を行う必要があるのは業務を行う宅建業者Aのみ。
ウ:案内所に無関係の宅建業者Bが宅建士を設置する必要はありません。
エ:売主の商号や名称、免許番号は標識記載事項です。
【問題43】 宅建業保証協会(以下この問において「保証協会」という。)に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 保証協会は、弁済業務保証金分担金の納付を受けたときは、その納付を受けた額に相当する額の弁済業務保証金を供託しなければならない。
2 保証協会は、弁済業務保証金の還付があったときは、当該還付額に相当する額の弁済業務保証金を供託しなければならない。
3 保証協会の社員との宅地建物取引業に関する取引により生じた債権を有する者は、当該社員が納付した弁済業務保証金分担金の額に相当する額の範囲内で、弁済を受ける権利を有する。
4 保証協会の社員との宅地建物取引業に関する取引により生じた債権を有する者は、弁済を受ける権利を実行しようとする場合、弁済を受けることができる額について保証協会の認証を受けなければならない。
⇒正解(3)
1:弁済業務保証金分担金の納付を受けたときは、1週間以内にその納付を受けた額に相当する額の弁済業務保証金を供託することを要します。
2:弁済業務保証金の還付があったときは、2週間以内に当該還付額に相当する額の弁済業務保証金を供託することを要します。
3:還付請求ができる額は、営業保証金に相当する額の範囲内で、保証協会の認証を受けた額です。
【問題44】 宅建業法の規定に基づく監督処分に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 国土交通大臣又は都道府県知事は、宅地建物取引業者に対して必要な指示をしようとするときは、行政手続法に規定する弁明の機会を付与しなければならない。
2 甲県知事は、宅建業者A社(国土交通大臣免許)の甲県の区域内における業務に関し、A社に対して指示処分をした場合、遅滞なく、その旨を国土交通大臣に通知するとともに、甲県の公報により公告しなければならない。
3 乙県知事は、宅建業者B社(丙県知事免許)の乙県の区域内における業務に関し、B社に対して業務停止処分をした場合は、乙県に備えるB社に関する宅建業者名簿へ、その処分に係る年月日と内容を記載しなければならない。
4 国土交通大臣は、宅建業者C社(国土交通大臣免許)が宅建業法第37条に規定する書面の交付をしていなかったことを理由に、C社に対して業務停止処分をしようとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣に協議しなければならない。
⇒正解(4)
1:指示処分は聴聞だけで足ります。
2:指示処分に公告は不要です。
3:宅建業者名簿に記載する義務があるのは、名簿を管理している免許権者(丙)です。
4:国土交通大臣が宅建業者に監督処分をするには、あらかじめ内閣総理大臣に協議しなければなりません。
【問題45】 特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律に基づく住宅販売瑕疵(かし)担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵(かし)担保責任保険契約の締結(以下この問において「資力確保措置」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。(令和2年の法改正により「瑕疵」→「不適合」となりましたが、当規定では瑕疵の定義を明記することで瑕疵という文言が存置されています)
1 自ら売主として新築住宅を宅地建物取引業者でない買主に引き渡した宅建業者は、当該住宅を引き渡した日から3週間以内に、その住宅に関する資力確保措置の状況について、その免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。
2 自ら売主として新築住宅を宅建業者でない買主に引き渡した宅建業者は、基準日に係る資力確保措置の状況の届出をしなければ、当該基準日の翌日から起算して50日を経過した日以後においては、新たに自ら売主となる新築住宅の売買契約を締結してはならない。
3 住宅販売瑕疵(かし)担保責任保険契約は、新築住宅を自ら売主として販売する宅建業者が住宅瑕疵(かし)担保責任保険法人と締結する保険契約であり、当該住宅の売買契約を締結した日から5年間、当該住宅の瑕疵(かし)によって生じた損害について保険金が支払われる。
4 新築住宅を自ら売主として販売する宅建業者が、住宅販売瑕疵(かし)担保保証金の供託をした場合、買主に対する当該保証金の供託をしている供託所の所在地等について記載した書面の交付及び説明は、当該住宅の売買契約を締結した日から引渡しまでに行わなければならない。
⇒正解(2)
1:住宅を引渡した日からではなく、基準日(3/31と9/30)ごとに3週間以内に届け出ます。
2:基準日にかかる資力確保措置の状況の届出を行わない場合、基準日の翌日から50日を経過した日以降、新たな新築住宅の売買契約を締結することができなくなります。
3:契約締結から5年ではなく、引渡しから10年以上有効である必要があります。
4:契約締結から引き渡しまでの間ではなく、契約締結前に書面を交付して説明することを要します。
【問題46】 独立行政法人住宅金融支援機構(以下この問において「機構」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 機構は、証券化支援事業(買取型)において、民間金融機関から買い取った住宅ローン債権を担保としてMBS(資産担保証券)を発行している。
2 証券化支援事業(買取型)における民間金融機関の住宅ローン金利は、金融機関によって異なる場合がある。
3 機構は、証券化支援事業(買取型)における民間金融機関の住宅ローンについて、借入金の元金の返済を債務者本人の死亡時に一括して行う高齢者向け返済特例制度を設けている。
4 機構は、証券化支援事業(買取型)において、住宅の建設や新築住宅の購入に係る貸付債権のほか、中古住宅を購入するための貸付債権も買取りの対象としている。
⇒正解(3)
3:高齢者向け返済特例制度とは、高齢者が居住する住宅にバリアフリーや耐震改修工事を行う場合に貸付を補完する制度で、機構が直接融資を行うケースです。証券化支援事業でこの制度を利用することはできません。
【問題47】 宅建業者が行う広告に関する次の記述のうち、不当景品類及び不当表示防止法(不動産の表示に関する公正競争規約を含む。)の規定によれば、正しいものはどれか。
1 宅建業者が自ら所有する不動産を販売する場合の広告には、取引態様の別として「直販」と表示すればよい。
2 改装済みの中古住宅について、改装済みである旨を表示して販売する場合、広告中には改装した時期及び改装の内容を明示しなければならない。
3 取引しようとする物件の周辺に存在するデパート、スーパーマーケット等の商業施設については、現に利用できるものでなければ広告に表示することはできない。
4 販売する土地が有効な利用が阻害される著しい不整形画地であっても、実際の土地を見れば不整形画地であることは認識できるため、当該土地の広告にはその旨を表示する必要はない。
⇒正解(2)
1:取引態様の別=「売主」「貸主」、「代理」「媒介」といった文言が必要です。
2:改装または改築の内容および時期を明示します。
3:将来確実に利用できる商業施設については、整備予定時期を明示して表示することができます。
4:有効利用が阻害される著しい不整形画地や著しく特異な地勢の土地については、その旨を明示する必要があります。
【問題48】 宅地建物の統計等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 平成24年地価公示(平成24年3月公表)によれば、平成23年の1年間の地価を前年1年間と比較すると、三大都市圏平均で住宅地・商業地ともに下落率が縮小したものの、地方平均は住宅地・商業地ともに引き続き下落率が拡大している。
2 平成23年度国土交通白書(平成24年7月公表)によれば、平成23年3月末現在の宅建業者数は約12.6万業者となっており、近年、微減傾向が続いている。
3 平成24年版土地白書(平成24年6月公表)によれば、平成22年末の住宅地、工業用地等の宅地は前年より減少して全国で約190万ヘクタールとなっている。
4 建築着工統計(平成24年1月公表)によれば、平成23年の新設住宅着工戸数のうち貸家は約28.6万戸で、2年ぶりに増加した。
⇒正解(2) いつもの易しい統計問題。最新資料を覚えておきましょう。
【問題49】 土地に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1 台地は、一般的に地盤が安定しており、低地に比べ自然災害に対して安全度は高い。
2 台地や段丘上の浅い谷に見られる小さな池沼を埋め立てた所では、地震の際に液状化が生じる可能性がある。
3 丘陵地帯で地下水位が深く、砂質上で形成された地盤では、地震の際に液状化する可能性が高い。
4 崖崩れは降雨や豪雨などで発生することが多いので、崖に近い住宅では梅雨や台風の時期には注意が必要である。
⇒正解(3) 常識判断で2番と3番の2択…いや、もう消去法で3番ですね。
3:液状化は地下水位が浅いほど起きやすく、地下水位が深い場所であれば液状化の危険は低くなります。
【問題50】 建物の構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1 鉄筋コンクリート構造の中性化は、構造体の耐久性や寿命に影響しない。
2 木造建物の寿命は、木材の乾燥状態や防虫対策などの影響を受ける。
3 鉄筋コンクリート構造のかぶり厚さとは、鉄筋の表面からこれを覆うコンクリート表面までの最短寸法をいう。
4 鉄骨構造は、不燃構造であるが、加熱に遭うと耐力が減少するので、耐火構造にするためには、耐火材料で被覆する必要がある。
⇒正解(1) 意味不明な肢が3番だけで、明らかに不適当っぽい1番が正解というラッキー建物。
1:コンクリートが中性化すると、強度が低下します。
4:鉄骨構造は、不燃構造ですが熱には弱いといえます。
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