住宅瑕疵担保履行の完全解説

宅建業法の完全解説:最終回「住宅瑕疵担保履行法について解説します。同じような問題ばかりが出題されている得点源です。

住宅瑕疵担保履行法の完全解説

住宅瑕疵担保履行法とは

新築住宅購入者」を保護するため、確実に瑕疵の担保を履行してもらうための法律で、正式名称を「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」といい、次の二つを大きな柱としています。

1.新築住宅において、住宅事業者(=宅建業者建設業者)が瑕疵担保責任を履行するために住宅事業者に対して資力の確保を義務付ける
2.保険契約を締結した新築住宅に係る紛争処理体制の整備

10年ほど前、社会情勢の変化や構造計算書偽装問題等により瑕疵担保責任を負えない売主が激増し、その結果、賠償請求する相手がいなくなり、住宅取得者が自らの負担で修繕業者を探すという事態が激増しました。そこで、あらかじめ資金を確保しておく「住宅瑕疵担保履行法」が制定され、「瑕疵担保責任」の規定自体が根本から形骸化することを防ぐこととしました。平成22年度宅建試験から登場した比較的新しい法律です。


住宅瑕疵担保責任の対象

対象者:住宅事業者(=宅建業者建設業者
不動産屋や施工会社ですね。信託会社等で宅建業を営むものも含まれる点に注意です。

対象物:新築住宅(=建設完了から1年を経過していない+居住者がいない← 両方必要)
新築後1年以上売れ残った住宅、中古住宅、事務所は対象となりませんので注意。

対象部分:基本構造部分の瑕疵(構造耐力上主要な部分+雨水の侵入を防止する部分

対象取引:住宅事業者が自ら売主となり、非宅建業者が買主となる取引。賃貸の媒介は対象となりませんので注意。

例題:宅建業者Aが、宅建業者Bの新築住宅の販売の代理や媒介を行う場合、A及びB共に住宅瑕疵担保履行法に基づく資力確保措置を講ずる義務がある? → 誤り:資力確保措置義務が必要なのは、売主である宅建業者Bのみです


住宅瑕疵担保責任の方法

住宅事業者は、以下2種類の方法のどちらかを行わなければなりません。

供託過去10年間の新築住宅の供給戸数に応じて算出した額を、供託所に保証金として供託します。供託をした場合はその旨の届出が必要であり、届出先は免許権者です。また、届出の時期は基準日(毎年3月31日と9月30日)から3週間以内であり、供託の届出がない場合は、基準日の翌日から起算して50日を経過した日以降、新たに新築住宅の売買契約をすることができなくなります。ここは全文章が頻出ポイントです。

保険契約:国土交通大臣が指定した保険法人と「有効期間を引渡しから10年以上」とする保険契約を締結します。保険契約は上記基準日までに行えばよいのですが、保険の申込みは工事開始時までに申し込んでおく必要があります。届出に関する問題は供託と同様です。保険料は住宅事業者が支払う必要があり、住宅取得者が支払うというひっかけ問題がよく出題されるので注意してください。

住宅全てについて供託、全てについて保険契約はもちろん、一部を供託で残りを保険契約という方法も可能です。

取得する新築住宅が、供託と保険どちらの資力措置がとられるかを35条の重要事項の説明及び37条書面に基づく書面の交付により買主に知らせる必要があります。35条の説明ということは、つまり「契約成立前に書面で説明を要する」ということです。
これにプラスして、
⇒ 供託の場合、売買契約を締結までに供託所の名称、所在地等について書面を交付して説明(宅建士である必要なし)することを要します。
⇒ 保険の場合、保険証書を交付するだけで説明義務はありません(保険契約の締結が完了していない場合、当該保険契約を締結する予定及び見込みの内容の概要について説明しなければなりません)。

住宅事業者が倒産等により瑕疵担保責任を負うことができなくなった場合、
⇒ 供託の場合、住宅取得者は、供託所に還付請求をすることで必要金額を還付してもらう
⇒ 保険の場合、住宅取得者は、保険法人に直接保険金を請求することができる


住宅瑕疵担保責任を負う期間

引渡しから10年10年より短い期間を定めた特約は無効
20年まで伸長可能ですが、供託や保険契約の適用はありません


住宅瑕疵担保責任の内容

無過失責任
宅建業者による売買契約においては隠れたる瑕疵のみ

買主が、住宅の構造耐力上主要な部分に隠れた瑕疵を見つけた場合契約解除(契約をした目的を達成できない場合)損害賠償請求瑕疵修補請求をすることができます。


保険契約締結時の紛争処理体制の整備

住宅事業者と住宅取得者との間で紛争が生じ、「保険契約」を選択していた場合、指定住宅紛争処理機関(弁護士会)による紛争処理手続きを利用することができ、また住宅紛争処理支援センターへ相談し、助言を受けることができます。供託により資力確保措置を行った場合は利用できませんので注意してください。

保険契約により資力確保措置を行った当事者のどちらか一方であれば、指定住宅紛争処理機関を利用することができます(=宅建業者、建築業者、住宅取得者、住宅取得者の相続)。住宅取得者の相続人は利用できますが、転得者は利用できません


監督処分

宅建業者が住宅瑕疵担保履行法の規定に違反し資力確保措置を行わない場合、指示処分または業務停止処分の対象となります。指示処分に従わないときは業務停止処分、業務停止処分事由に該当し情状が特に重いとき及び業務停止処分に違反したときは免許取消処分となります。

宅建業者が業務を行っている場所の知事も、指示処分と業務停止処分は行うことができるのが原則でしたが、住宅瑕疵担保履行法における処分権者は「監督権を有する者」(=免許権者である知事や国土交通大臣)となりますので、難問対策として少しだけ注意しておいてください。

・住宅販売瑕疵担保保証金の供託等の届出を怠った → 指示処分
・住宅販売瑕疵担保保証金について不適正または虚偽の届出をした → 指示処分
・契約締結までに住宅販売瑕疵担保保証金の供託説明を行わなかった → 指示処分
・契約締結制限があるのに新たに自ら売主となる売買契約を締結した → 業務停止処分
・平成21年10月1日以降、直近の基準日までの保証金を供託していない → 業務停止処分
・還付による不足額を供託していない → 業務停止処分


最新の宅建本試験問題(言い回しなど、出題傾向をチェックしておきましょう)

特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律に基づく住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結に関する次の記述のうち、正しいものはどれか(2018-45

1.宅建業者は、自ら売主として新築住宅を販売する場合及び新築住宅の売買の媒介をする場合において、住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結を行う義務を負う。
2.自ら売主として新築住宅を宅建業者でない買主に引き渡した宅建業者は、その住宅を引き渡した日から3週間以内に、住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結の状況について、宅建業の免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。
3.自ら売主として新築住宅を宅建業者でない買主に引き渡した宅建業者は、基準日に係る住宅販売瑕疵担保保証金の供託及び住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結の状況について届出をしなければ、当該基準日の翌日から起算して50日を経過した日以後においては、新たに自ら売主となる新築住宅の売買契約を締結することができない。
4.住宅販売瑕疵担保責任保険契約を締結している宅建業者は、当該住宅を引き渡した時から10年間、住宅の構造耐力上主要な部分の瑕疵によって生じた損害についてのみ保険金を請求することができる。

1:自ら売主として新築住宅を販売する場合は資力確保措置が必要ですが、新築住宅の売買の媒介をする場合に資力確保措置は不要です。
2:住宅の引渡しから3週間以内ではなく、年2回の基準日から3週間以内に届け出ます。
4:住宅の構造耐力上主要な部分+雨水の侵入を防止する部分の瑕疵によって生じた損害について保険金を請求することができます。

よって、条文通りの3番が正しく正解肢となります。「基準日翌日から起算して50日を経過した日以後」です。基準日から50日、基準日から1ヶ月、基準日から3週間、基準日以後は・・起算日と日数を少し変えるだけで、ほぼ毎年のように出題されています。


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