配偶者居住権で押さえる宅建過去問

宅建過去問:「配偶者居住権の重要過去問を見ていきます。2020年から試験範囲に加わった新科目で頻出分野となる可能性があるので、配偶者短期居住権との比較を意識しながらしっかりと押さえておきましょう。覚えやすく権利関係の貴重な得点源となります。

配偶者居住権の宅建過去問

被相続人Aの配偶者Bが、A所有の建物に相続開始の時に居住していたため、遺産分割協議によって配偶者居住権を取得した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。(2021年10月の宅建過去問 問-4)

【問】遺産分割協議でBの配偶者居住権の存続期間を20年と定めた場合、存続期間が満了した時点で配偶者居住権は消滅し、配偶者居住権の延長や更新はできない。

遺産分割協議で配偶者居住権の存続期間を定めた場合、その定めが有効となり、存続期間の延長や更新はできません。よって正しい肢となります。

【問】Bは、配偶者居住権の存続期間内であれば、居住している建物の所有者の承諾を得ることなく、第三者に当該建物を賃貸することができる。

建物の改築や増築、第三者に使用収益させるには建物所有者の承諾が必要です(配偶者短期居住権も建物取得者の承諾が必要ですが、使用のみで収益不可である点に注意)。よって誤りです。

【問】配偶者居住権の存続期間中にBが死亡した場合、Bの相続人CはBの有していた配偶者居住権を相続する。

配偶者の死亡により配偶者居住権は消滅し、相続の対象とはなりません。よって誤りです。

【問】Bが配偶者居住権に基づいて居住している建物が第三者Dに売却された場合、Bは、配偶者居住権の登記がなくてもDに対抗することができる。

居住建物の所有者は、配偶者居住権を取得した配偶者に対して配偶者居住権の設定登記を備えさせる義務を負い、配偶者居住権は、登記をしなければ第三者に対抗できません配偶者短期居住権に対抗要件はありません)。よって誤りです。



甲建物を所有するAが死亡し、Aの配偶者Bが甲建物の配偶者居住権を、Aの子Cが甲建物の所有権をそれぞれ取得する旨の遺産分割協議が成立した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。(2023年の宅建過去問 問-7)

【問】遺産分割協議において、Bの配偶者居住権の存続期間が定められなかった場合、配偶者居住権の存続期間は20年となる。

配偶者居住権の存続期間を定めなかった場合、その期間は配偶者の終身の間となります(配偶者短期居住権は、①配偶者を含む遺産分割が行われる場合は「遺産分割の確定日」または「相続開始から6ヶ月を経過する日」のいずれか遅い日、②配偶者を含む遺産分割が行われない場合は建物取得者からの消滅申入れから6ヶ月経過した日まで)。よって誤りです。

【問】Cは、甲建物の通常の必要費を負担しなければならない。

配偶者居住権を取得した配偶者が、居住建物の通常必要費を負担します。よって誤りです。



甲マンションの 102 号室にAとBが同居し、AがBと同居したまま令和2年7月1日に死亡した場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、AにはBのほかに相続人がいるものとする。(2020年のマンション管理士過去問 問-17)

【問】Aが配偶者Bに対し令和2年6月1日に配偶者居住権を遺贈した場合でも、甲マンションの 102 号室がAとBとの共有であったときには、Bは配偶者居住権を取得しない。

居住建物を相続開始時に配偶者以外の者と共有していた場合には配偶者居住権を取得できないが、夫婦の共有なので配偶者居住権を取得でき、誤りとなります。

【問】甲マンションの 102 号室がAの所有であり、BがAの配偶者であっても、配偶者居住権を遺産分割によってBが取得するものとされず、また、配偶者居住権が遺贈あるいは死因贈与の目的とされていない場合には、Bは配偶者居住権を取得しない。

配偶者居住権を取得するには、遺産分割によって配偶者居住権を取得するものとされるか、配偶者居住権が遺贈の目的(=遺言)とされたときのいずれかに該当する必要があります(配偶者短期居住権は法律上当然に発生)。よって正しい肢となります。

【問】甲マンションの 102 号室がAの所有であり、Aが配偶者Bに対し令和2年6月1日に配偶者居住権を遺贈した場合でも、BがAの内縁の配偶者であったときには、Bは配偶者居住権を取得しない。

配偶者居住権の配偶者は法律上の配偶者に限られ、内縁の配偶者は配偶者居住権を取得できません。よって正しい肢となります。

【問】甲マンションの 102 号室がAの所有であり、BがAの配偶者であっても、AがBに対し令和元年6月1日に配偶者居住権を遺贈あるいは死因贈与した場合には、配偶者居住権を遺産分割によってBが取得するものとされない限り、Bは配偶者居住権を取得しない。

2つ上の解説の通り、配偶者居住権の取得には遺産分割または遺贈が必要となりますが、令和2年4月1日前にされた配偶者居住権の遺贈は無効(経過措置)とされているので、本肢では遺産分割によって取得しない限り、Bは配偶者居住権を取得できません。よって正しい肢となります。


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