不当景表法(景品表示法)の宅建過去問

宅建士過去問:「不当景表法」の重要過去問を見ていきます。不動産を店頭に並べることはできません。よって、宅建業者が不動産を効率よく販売するには広告に頼ることになります。しかし、誤った情報や曖昧な表現の広告が提供された場合、一般消費者が不測の損害を被るおそれがあります。これを防ぐための法律が不当景表法(景品表示法)です。とても覚えやすくて簡単で、宅建試験における絶対の得点源ですので、確実に1点を確保しておきましょう。毎年1問出題され、5点免除対象科目です。

不当景表法の宅建過去問

以下、不当景表法=不当景品類及び不当表示防止法 (不動産の表示に関する公正競争規約の規定を含む)

宅建業者が行う広告に関する次の記述のうち、不当景表法の規定によれば、正しいものはどれか。(1998年の宅建士過去問 問-49)

【問】宅建業者は、新築分譲住宅の広告について、広告スペースの関係からすべての住宅の価格を表示することが困難であるときは、1戸当たりの最低価格、最高価格、最多価格帯並びにその価格帯に属する住戸の戸数が表示してあれば、不当表示となることはない。

住宅の価格は全ての住戸の価格を表示しなければなりませんが、新築分譲住宅や新築分譲マンション、一棟リノベーションマンションで、全ての価格を表示することが困難な場合は、パンフレット等の媒体を除き1戸当たりの最低価格、最高価格、最多価格帯ならびにその価格帯に属する住宅または住戸の戸数を表示することができます。よって正しい肢です。

【問】宅建業者は、建築基準法第42条に規定する道路に適法に接していない宅地を販売するときは、「道路位置指定無」と表示していれば、「再建築不可」又は「建築不可」の表示をしていなくても、不当表示となることはない。

宅建業者は、建築基準法で規定する道路に2m以上接していない土地については、原則として、「再建築不可」または「建築不可」と表示しなければなりません。よって誤りです。


宅建業者が行う広告に関する次の記述のうち、不当景表法の規定によれば、正しいものはどれか。(1999年の宅建試験過去問 問-47)

【問】宅建業者は、不動産の販売広告に係る甲物件の取引を顧客が申し出た場合に、甲物件に案内することを拒否したり、甲物件の難点を指摘して取引に応じることなく顧客に他の物件を勧めたときでも、甲物件が存在していれば、その広告は不当表示となるおそれはない。

物件が存在していても、実際に取引する意思がない物件に関する表示を行った場合は、おとり広告に該当します。よって誤りです。

【問】宅建業者は、新聞の折込広告において、分譲住宅40戸の販売を一斉に開始して1年経過後、売れ残った住宅30戸の販売を一時中止し、その6ヵ月後に一般日刊新聞紙の紙面広告で当該住宅を「新発売」と表示して販売したときでも、広告媒体が異なるので、不当表示となるおそれはない。

新発売とは、新たに造成された宅地または新築住宅を、一般消費者に対して初めて購入の申込みの勧誘を行うことをいい、申込みに際して一定の期間を設ける場合には、その期間内の勧誘をいいます。広告媒体が異なっても変わりません。よって誤りです。

【問】宅建業者は、市街化調整区域内に所在する土地(開発許可を受けた開発区域内の土地その他の一定の土地を除く)の販売広告においては、「市街化調整区域」と表示し、このほかに「現在は建築不可」と表示さえすれば、市街化区域への区分の変更が行われる予定がないとしても、不当表示となるおそれはない。

宅建業者は、市街化調整区域内に所在する土地の販売広告においては、都市計画法の開発許可を受けている場合等を除き、「市街化調整区域。宅地の造成および建物の建築はできません」と16ポイント以上の文字で表示しなければなりません。よって誤りです。


宅建業者が行う広告に関する次の記述のうち、不当景表法の規定によれば、正しいものはどれか。(2001年の宅建試験過去問 問-47)

【問】宅建業者は、駅から160mの距離にある宅地を、代理により売却するに当たり、「駅より徒歩2分、立地条件は万全です。 」と販売広告してもよい。

宅建業者は、物件の形質、価格その他の取引条件等について「完全」「絶対」「万全」「日本初」「業界一」「当社だけ」等の用語を、その表示内容を裏付ける合理的な根拠を示す資料を現に有している場合を除いて使用してはなりません。よって誤りです。160m徒歩2分は正しくひっかけ問題です。

【問】宅建業者は、工事中の建物をインターネットを利用する方法で販売広告するに当たり、他の建物の写真であっても当該建物と外観が類似するものであれば、他の建物の写真である旨明示することなく使用してもよい。

宅建業者は、原則として実際に取引する宅地建物の写真を用いなければなりませんが、取引しようとする建物が建築工事完了前などその建物の写真を用いることができない場合は、当該建物と規模や形質、外観が同一の他の建物の写真を用いることができます。ただし、この場合は、当該写真が他の建物である旨を写真に接する位置に明示しなければなりません。よって誤りです。


宅建業者が行う広告に関する次の記述のうち、不当景表法の規定によれば、正しいものはどれか。(2007年の宅建士過去問 問-47)

【問】宅建業者は、新築分譲マンションの広告に住宅ローンについて記載する場合、返済例を表示すれば、当該住宅ローンを扱っている金融機関の名称や融資限度額等について表示する必要はない。

金融機関の名称や種類、借入金の利率及び利息を徴する方式または返済例について表示します。よって誤りです。法改正により提携ローンまたは紹介ローンの別、融資限度額は表示不要となりました。

【問】宅建業者は、マンションの広告を行う場合、当該マンションが建築後2年経過していたとしても、居住の用に供されたことがなければ「新築分譲マンション」と表示することができる。

新築とは、建築後1年未満であって、居住の用に供されたことがないものをいいます。よって誤りです。

【問】宅建業者は、1枚の新聞折込みチラシに多数の新築分譲住宅の広告を掲載する場合には、物件ごとの表示スペースが限られてしまうため、各物件の所在地を表示すれば、交通の利便に関する表示は省略することができる。

いかなる場合でも、交通の利便に関する表示を省略することができる旨の規定はありません。よって誤りです。

【問】宅建業者は、残戸数が1戸の新築分譲住宅の広告を行う場合、建物の面積は延べ面積を表示し、これに車庫の面積を含むときには、車庫の面積を含む旨及びその面積を表示する必要がある。

建物の面積は延べ面積で表示し、これに車庫や地下室等を含む場合は、その旨およびその面積を表示します。よって正しい肢です。


宅建業者が行う広告等に関する次の記述のうち、不当景表法によれば、正しいものはどれか。(2008年の宅建試験過去問 問-47)

【問】宅建業者は、最寄りの駅から特定の勤務地までの電車による通勤時間を表示する場合は、通勤時に電車に乗車している時間の合計を表示し、乗換えを要することや乗換えに要する時間を含んでいないことを表示する必要はない。

電車やバス等の所要時間を表示する場合、乗換えについても表示します。よって誤りです。

【問】宅建業者は、新聞広告や新聞折込チラシにおいては、物件の面積や価格といった、物件の内容等を消費者に知ってもらうための事項を表示するのに併せて、媒介、売主等の取引態様も表示しなければならない。

宅建業者が新聞広告や新聞折込チラシによる広告表示をするときは、物件内容等に併せて取引態様も表示します。よって正しい肢です。

【問】宅建業者は、インターネット広告においては、最初に掲載する時点で空室の物件であれば、その後、成約済みになったとしても、情報を更新することなく空室の物件として掲載し続けてもよい。

インターネット広告でも、実際は成約済みであるのに空室の物件として掲載し続けることは、おとり広告にあたります。よって誤りです。


宅建業者が行う広告等に関する次の記述のうち、不当景表法によれば、正しいものはどれか。(2009年の宅建試験過去問 問-47)

【問】平成元年に4月1日に建築され、平成8年4月1日に増築された既存住宅を平成21年4月1日から販売する場合、宅建業者は、当該増築日を起算点として「築13年」と表示してもよい。

増築日を起算点とすることはできず、建築日が起算点となります。よって誤りです。

【問】宅建業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前であっても、宅建業法第33条に規定する許可等の処分があった後であれば、当該工事に係る宅地又は建物の内容又は取引条件その他取引に関する表示をしてもよい。

条文通り。宅建業者は、宅地の造成または建物の建築に関する工事の完了前であっても、宅建業法33条に規定する許可等の処分があった後であれば、当該工事に係る宅地または建物の内容または取引条件その他取引に関する表示をすることができます。よって正しい肢です。


宅建業者が行う広告等に関する次の記述のうち、不当景表法の規定によれば、正しいものはどれか。(2010年の宅建試験過去問 問-47)

【問】宅建業者は、不動産物件について表示する場合、当該物件の近隣に、現に利用できるデパートやスーパーマーケット等の商業施設が存在することを表示する場合は、当該施設までの徒歩所要時間を明示すれば足り、道路距離は明示せずに表示してもよい。

デパートやスーパーマーケット等の商業施設は、現に利用できるものを物件までの道路距離を明示して表示しなければなりません。よって誤りです。尚、道路距離または所要時間を表示するときは、起点及び着点を明示して表示しなければならず、物件の起点は、物件の区画のうち駅その他施設に最も近い地点(マンション及びアパートにあっては建物の出入口)とし、駅その他の施設の着点は、その施設の出入口(施設の利用時間内において常時利用できるものに限る)とします。また、公共交通機関の新設の路線については、「現に利用できるものと併せて表示する場合に限り、路線の新設に係る国土交通大臣の許可処分または公共交通機関との間に成立している協定の内容を明示して表示することができる」とされました(現に利用できるものと併せて表示する場合に限りが削除)ので区別しておいてください。

【問】宅建業者は、傾斜地を含むことにより当該土地の有効な利用が著しく阻害される場合は、原則として、傾斜地を含む旨及び傾斜地の割合又は面積を明示しなければならないが、マンションについては、これを明示せずに表示してもよい。

宅建業者は、傾斜地を含むことにより当該土地の有効な利用が著しく阻害される場合、傾斜地を含む旨および傾斜地の割合または面積を明示しなければなりません。しかし、マンションは例外となり、マンションについては明示せずに表示することができます。よって正しい肢です。


不当景表法(以下この問において「景品表示法」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。(1994年の宅建士過去問 問-32)

【問】内閣総理大臣は、景品表示法第4条(不当な表示の禁止)の規定に違反する行為があるときは、当該事業者に対して措置命令をすることができるが、当該違反行為が既になくなっているときは、することができない。

違反行為が既になくなっている場合でも措置命令をすることができます。よって誤りです。また、少し細かいですが法改正により、内閣総理大臣はこの権限を消費者庁長官に委任し、消費者庁長官は委任された権限の一部を公正取引委員会に委任することができます。

【問】宅建業者は、不動産の購入者に対して景品を提供をする場合、抽選により提供するものであれば、景品の最高額について制限を受けることはない。

抽選により景品を提供する場合、取引価額の20倍または10万円のいずれか低い価額の範囲内の景品類で、景品類の総額が当該懸賞に係る取引予定総額の100分の2以内のものであることが必要です。よって、最高額の制限がないとする本肢は誤りです。


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