とても役立つ年度別の解説付き宅建試験問題です。宅地建物取引業法=宅建業法などスッキリ略し、解説も要点だけに絞っています。要点を一気にチェックしながら平成19年(2007年)の通し問題を見ていきましょう。
- 平成19年(2007年)宅建試験問題と解説
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- 平成19年(2007年)宅建試験問題
- 1.権利関係の問題 問1~16
2.宅建業法の問題 問30~45
3.法令制限の問題 問17~25
4.税その他の問題 問26~29
5.税その他の問題 問46~50
【問 1】A所有の甲土地についてのAB間の売買契約に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
(1)Aは甲土地を「1,000万円で売却する」という意思表示を行ったが当該意思表示はAの真意ではなく、Bもその旨を知っていた。この場合、Bが「1,000万円で購入する」という意思表示をすれば、AB間の売買契約は有効に成立する。
(2)AB間の売買契約が、AとBとで意を通じた仮装のものであったとしても、Aの売買契約の動機が債権者からの差押えを逃れるというものであることをBが知っていた場合には、AB間の売買契約は有効に成立する。
(3)Aが第三者Cの強迫によりBとの間で売買契約を締結した場合、Bがその強迫の事実を知っていたか否かにかかわらず、AはAB間の売買契約に関する意思表示を取り消すことができる。
(4)AB間の売買契約が、Aが泥酔して意思無能力である間になされたものである場合、Aは、酔いから覚めて売買契約を追認するまではいつでも売買契約を取り消すことができ、追認を拒絶すれば、その時点から売買契約は無効となる。
⇒正解(3)
1:心裡留保についてBは悪意なので、当該契約は無効となります。
2:理由は関係なく、通謀虚偽表示は無効です。
3:相手方の善意悪意に関係なく、第三者の強迫による意思表示は常に取り消すことができます(第三者の詐欺による取消しは善意の相手方に対抗できない点と比較)
4:意思能力のない状態でした契約は、取消しや追認以前に初めから無効です。
【問 2】Aは不動産の売却を妻の父であるBに委任し、売却に関する代理権をBに付与した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
(1)Bは、やむを得ない事由があるときは、Aの許諾を得なくとも、復代理人を選任することができる。
(2)Bが、Bの友人Cを復代理人として選任することにつき、Aの許諾を得たときは、Bはその選任に関し過失があったとしても、Aに対し責任を負わない。
(3)Bが、Aの許諾及び指名に基づき、Dを復代理人として選任したときは、Bは、Dの不誠実さを見抜けなかったことに過失があった場合、Aに対し責任を負う。
(4)Bが復代理人Eを適法に選任したときは、EはAに対して、代理人と同一の権利を有し、義務を負うため、Bの代理権は消滅する。
⇒正解(1)
1:任意代理人は、やむを得ない事由があるとき、または本人の許諾をを得たときに復代理人を選任することができます。
2:本人の許諾があっても、債務不履行責任に基づき代理人は責任を負います。
3:本人の指名であれば、復代理人の選任および監督について代理人は責任を負いませんが、復代理人が不誠実であることなどを知りながら本人に告げなかった場合は責任を負います(過失で見抜けなかったのはセーフ)。
4:復代理人を選任しても、代理人の代理権は消滅しません。
【問 3】Aが所有者として登記されている甲土地の売買契約に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
(1)Aと売買契約を締結したBが、平穏かつ公然と甲土地の占有を始め、善意無過失であれば、甲土地がAの土地ではなく第三者の土地であったとしても、Bは即時に所有権を取得することができる。
(2)Aと売買契約を締結したCが、登記を信頼して売買契約を行った場合、甲土地がAの土地ではなく第三者Dの土地であったとしても、Dの過失の有無にかかわらず、Cは所有権を取得することができる。
(3)Aと売買契約を締結して所有権を取得したEは、所有権の移転登記を備えていない場合であっても、正当な権原なく甲土地を占有しているFに対し、所有権を主張して甲土地の明渡しを請求することができる。
(4)Aを所有者とする甲土地につき、AがGとの間で10月1日に、Hとの間で10月10日に、それぞれ売買契約を締結した場合、G、H共に登記を備えていないときには、先に売買契約を締結したGがHに対して所有権を主張することができる。
⇒正解(3)
1:10年後に時効取得します(不動産を即時取得するということはあり得ません)。
2:登記に公信力はありませんので、Dに過失があった場合のみCは保護されます。
3:本来は登記がなければ第三者に所有権を主張することはできませんが、単なる不法占拠者であるFは登記を必要とする第三者にはあたらず、所有権を主張することができます。
4:契約日の先後は関係なく、GH共に所有権を主張することはできません(この先、早く登記したほうの勝ち)。
【問 4】A、B及びCが、持分を各3分の1とする甲土地を共有している場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
(1)共有者の協議に基づかないでAから甲土地の占有使用を承認されたDは、Aの持分に基づくものと認められる限度で甲土地を占有使用することができる。
(2)A、B及びCが甲土地について、Eと賃貸借契約を締結している場合、AとBが合意すれば、Cの合意はなくとも、賃貸借契約を解除することができる。
(3)A、B及びCは、5年を超えない期間内は甲土地を分割しない旨の契約を締結することができる。
(4)Aがその持分を放棄した場合には、その持分は所有者のない不動産として、国庫に帰属する。
⇒正解(4)
2:賃貸借は管理行為にあたり、共有者の持分価格の過半数で決します。
4:他の共有者がいるので、他の共有者に帰属します。
【問 5】不法行為による損害賠償に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
(1)不法行為による損害賠償の支払債務は、催告を待たず、損害発生と同時に遅滞に陥るので、その時以降完済に至るまでの遅延損害金を支払わなければならない。
(2)不法行為によって名誉を毀損された者の慰謝料請求権は、被害者が生前に請求の意思を表明しなかった場合でも、相続の対象となる。
(3)加害者数人が、共同不法行為として民法第719条により各自連帯して損害賠償の責任を負う場合、その1人に対する履行の請求は、他の加害者に対してはその効力を有しない。
(4)不法行為による損害賠償の請求権の消滅時効の期間は、権利を行使することができることとなった時から10年である。
⇒正解(4) 細かい肢もありますが、正解肢は簡単です。
2:それとは別に、相続人自身が受けた精神的苦痛に対して慰謝料を合わせて請求することも可能です。
3:共同不法行為による連帯責任は、通常の連帯債務とは異なり不真正連帯債務となります。
4:被害および加害者を知ったときから3年、または不法行為から20年経過で時効消滅します(権利を行使できるときから10年は債権の消滅時効)。
【問 6】不動産の物権変動の対抗要件に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。なお、この問において、第三者とはいわゆる背信的悪意者を含まないものとする。
(1)不動産売買契約に基づく所有権移転登記がなされた後に、売主が当該契約に係る意思表示を詐欺によるものとして適法に取り消した場合、売主は、その旨の登記をしなければ、当該取消後に当該不動産を買主から取得して所有権移転登記を経た第三者に所有権を対抗できない。
(2)不動産売買契約に基づく所有権移転登記がなされた後に、売主が当該契約を適法に解除した場合、売主は、その旨の登記をしなければ、当該契約の解除後に当該不動産を買主から取得して所有権移転登記を経た第三者に所有権を対抗できない。
(3)甲不動産につき兄と弟が各自2分の1の共有持分で共同相続した後に、兄が弟に断ることなく単独で所有権を相続取得した旨の登記をした場合、弟は、その共同相続の登記をしなければ、共同相続後に甲不動産を兄から取得して所有権移転登記を経た第三者に自己の持分権を対抗できない。
(4)取得時効の完成により乙不動産の所有権を適法に取得した者は、その旨を登記しなければ、時効完成後に乙不動産を旧所有者から取得して所有権移転登記を経た第三者に所有権を対抗できない。
⇒正解(3) 正解肢はやや細かいですが、消去法で余裕の問題ですね。
1:取消後の第三者とは対抗関係。
2:解除後の第三者とは対抗関係。
3:登記に公信力はありませんので、弟の持分について無権利者である兄から譲渡を受けた第三者に対し、弟は登記なくして自己の持分を主張することができます。
4:時効完成後の第三者とは対抗関係。
【問 7】担保物権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
(1)建物の建築工事の費用について、当該工事の施工を行った者が先取特権を行使するためには、あらかじめ、債務者である建築主との間で、先取特権の行使について合意しておく必要がある。
(2)建物の賃借人が賃貸人に対して造作買取代金債権を有している場合には、造作買取代金債権は建物に関して生じた債権であるので、賃借人はその債権の弁済を受けるまで、建物を留置することができる。
(3)質権は、占有の継続が第三者に対する対抗要件と定められているため、動産を目的として質権を設定することはできるが、登記を対抗要件とする不動産を目的として質権を設定することはできない。
(4)借地人が所有するガソリンスタンド用店舗建物に抵当権を設定した場合、当該建物の従物である地下のタンクや洗車機が抵当権設定当時に存在していれば、抵当権の効力はこれらの従物に及ぶ。
⇒正解(4)
1:先取特権は、当事者の合意なしで成立する法定担保物権です。
2:造作買取請求権を理由に建物を留置することはできません。
3:質権は、動産と不動産に設定することができます。どちらも成立要件は引渡しですが、対抗要件が不動産は登記なのに対し、動産は占有の継続となりますので注意してください。
【問 8】Aは、自己所有の甲不動産につき、B信用金庫に対し、極度額を3,000万円、被担保債権の範囲を「信用金庫取引による債権」とする第1順位の根抵当権を設定し、その旨の登記をした。なお、担保すべき元本の確定期日は定めなかった。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
(1)元本の確定前に、被担保債権の範囲を変更するには、後順位の抵当権者がいる場合は、その者の承諾を得なければならない。
(2)元本の確定前に、B信用金庫から、被担保債権の範囲に属する個別債権の譲渡を受けた者は、確定日付のある証書でAに対し債権譲渡通知を行っておけば、その債権について根抵当権を行使できる。
(3)B信用金庫は、確定した元本が極度額以下であれば、その元本に係る最後の2年分の約定金利については、極度額を超えても、根抵当権を行使できる。
(4)Aが友人CのためにB信用金庫との間で保証契約を締結し保証債務を負担した場合、B信用金庫のAに対するこの保証債権は、「信用金庫取引による債権」に含まれ、この根抵当権で担保される。
⇒正解(4)
1:極度額の変更は承諾が必要ですが、被担保債権の範囲を変更しても後順位抵当権者に影響はありません。
2:元本確定前の根抵当権に随伴性はなく、譲受人は根抵当権のない債権を譲り受けることになります。
3:根抵当権は、極度額の範囲内であれば利息も上限なく担保されます(普通の抵当権は最後の2年分)が、逆に極度額を超えた分は全く担保されません。
【問 9】債権の譲渡に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
(1)指名債権が二重に譲渡され、確定日付のある各債権譲渡通知が同時に債務者に到達したときは、各債権譲受人は、債務者に対し、債権金額基準で按分した金額の弁済請求しかできない。
(2)指名債権の性質を持つ預託金会員制ゴルフクラブの会員権の譲渡については、ゴルフ場経営会社が定める規定に従い会員名義書換えの手続を完了していれば、確定日付のある債権譲渡通知又は確定日付のある承諾のいずれもない場合でも、ゴルフ場経営会社以外の第三者に対抗できる。
(3)契約時点ではまだ発生していない将来債権でも、発生原因や金額などで目的債権を具体的に特定することができれば、譲渡することができ、譲渡時点でその債権発生の可能性が低かったことは譲渡の効力を直ちに否定するものではない。
(4)指名債権譲渡の予約契約を締結し、この予約契約締結の事実を確定日付のある証書により債務者に通知していれば、予約の完結によりなされる債権譲渡の効力を債務者以外の第三者に対抗することができる。
⇒正解(3) 難問ですね。深入り禁物。
1:確定日付ある通知が同時に債務者に到達した場合、各債券譲受人が債権全額の弁済を請求することができます(債務者は1人に弁済すればよい)。確定日付ある通知または承諾のある者とない者とではある者が勝ち、確定日付ある通知が複数になされている場合は通知到達日の先後(発信日の先後ではない点に注意)で優劣を決します。
【問 10】平成19年9月1日にA所有の甲建物につきAB間で売買契約が成立し、当該売買契約において同年9月30日をもってBの代金支払と引換えにAは甲建物をBに引き渡す旨合意されていた。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
(1)甲建物が同年8月31日時点でAB両者の責に帰すことができない火災により滅失していた場合、甲建物の売買契約は有効に成立するが、Aの甲建物引渡し債務も、Bの代金支払債務も共に消滅する。
(2)甲建物が同年9月15日時点でAの責に帰すべき火災により滅失した場合、有効に成立していた売買契約は、Aの債務不履行によって無効となる。
(3)甲建物が同年9月15日時点でBの責に帰すべき火災により滅失した場合、Aの甲建物引渡し債務も、Bの代金支払債務も共に消滅する。
(4)甲建物が同年9月15日時点で自然災害により滅失しても、AB間に「自然災害による建物滅失の危険は、建物引渡しまでは売主が負担する」との特約がある場合、Aの甲建物引渡し債務も、Bの代金支払債務も共に消滅する。
⇒正解(4)
1:改正民法により原始的不能でも契約は有効に成立することとなりましたが、当事者に責任はありませんので、売主は建物を引き渡す必要はなく、買主は代金の支払いを拒むことができます。
2:契約は9月1日に成立しているため後発的不能となり、Aは債務不履行責任を負い、Bは損害賠償請求および契約解除をすることができます。
3:後発的不能として危険負担の問題となり、Aの引渡債務は消滅しますが、Bの代金支払債務は消滅しません。
4:危険負担に関する特約も可能です。
【問 11】宅建業者でも事業者でもないAB間の不動産売買契約における売主Aの責任に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
(1)売買契約に、隠れた瑕疵についてのAの瑕疵担保責任を全部免責する旨の特約が規定されていても、Aが知りながらBに告げなかった瑕疵については、Aは瑕疵担保責任を負わなければならない。
(2)Bが不動産に隠れた瑕疵があることを発見しても、当該瑕疵が売買契約をした目的を達成することができないとまではいえないような瑕疵である場合には、Aは瑕疵担保責任を負わない。
(3)Bが不動産に瑕疵があることを契約時に知っていた場合や、Bの過失により不動産に瑕疵があることに気付かず引渡しを受けてから瑕疵があることを知った場合には、Aは瑕疵担保責任を負わない。
(4)売買契約に、瑕疵担保責任を追及できる期間について特約を設けていない場合、Bが瑕疵担保責任を追及するときは、隠れた瑕疵があることを知ってから1年以内に行わなければならない。
⇒正解(2)
1:売主が宅建業者の場合、宅建業法の規定により「通知期間を引渡しから2年以上」とする特約のみが買主に不利となっても許されますが、民法では「契約不適合責任を負わない」とする特約も有効となりますので注意してください。
2:契約の目的を達することができないときのみ契約解除が可能ですが、軽微な不適合でも履行追完請求や代金減額請求、損害賠償請求は可能です(解除は不可)。
4:不適合を知ったときから1年以内に通知します。
【問 12】AがBに対して1,000万円の貸金債権を有していたところ、Bが相続人C及びDを残して死亡した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
(1)Cが単純承認を希望し、Dが限定承認を希望した場合には、相続の開始を知った時から3か月以内に、Cは単純承認を、Dは限定承認をしなければならない。
(2)C及びDが相続開始の事実を知りながら、Bが所有していた財産の一部を売却した場合には、C及びDは相続の単純承認をしたものとみなされる。
(3)C及びDが単純承認をした場合には、法律上当然に分割されたAに対する債務を相続分に応じてそれぞれが承継する。
(4)C及びDが相続放棄をした場合であっても、AはBの相続財産管理人の選任を請求することによって、Bに対する貸金債権の回収を図ることが可能となることがある。
⇒正解(1) 3秒で解けるサービス問題ですね。
1:限定承認は、共同相続人の全員が共同して行います。
【問 13】Aが所有者として登記されている甲土地上に、Bが所有者として登記されている乙建物があり、CがAから甲土地を購入した場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。
(1)Bが甲土地を自分の土地であると判断して乙建物を建築していた場合であっても、Cは、Bに対して建物を収去して土地を明け渡すよう請求できない場合がある。
(2)BがAとの間で甲土地の使用貸借契約を締結していた場合には、Cは、Bに対して建物を収去して土地を明け渡すよう請求できる。
(3)BがAとの間で甲土地の借地契約を締結しており、甲土地購入後に借地権の存続期間が満了した場合であっても、Cは、Bに対して建物を収去して土地を明け渡すよう請求できない場合がある。
(4)BがAとの間で期間を定めずに甲土地の借地契約を締結している場合には、Cは、いつでも正当事由とともに解約を申し入れて、Bに対して建物を収去して土地を明け渡すよう請求できる。
⇒正解(4)
13:「場合がある」というユルすぎる聞き方は例外がある可能性大です。
4:期間の定めのない借地契約の期間は30年となり、正当事由があればいつでも解約申入れができるということはありません。
【問 14】借地借家法第38条の定期建物賃貸借(以下この問において「定期建物賃貸借」という。)と同法第40条の一時使用目的の建物の賃貸借(以下この問において「一時使用賃貸借」という。)に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。
(1)定期建物賃貸借契約は書面(電子交付可)によって契約を締結しなければ有効とはならないが、一時使用賃貸借契約は書面ではなく口頭で契約しても有効となる。
(2)定期建物賃貸借契約は契約期間を1年以上とすることができるが、一時使用賃貸借契約は契約期間を1年以上とすることができない。
(3)定期建物賃貸借契約は契約期間中は賃借人から中途解約を申し入れることはできないが、一時使用賃貸借契約は契約期間中はいつでも賃借人から中途解約を申し入れることができる。
(4)賃借人が賃借権の登記もなく建物の引渡しも受けていないうちに建物が売却されて所有者が変更すると、定期建物賃貸借契約の借主は賃借権を所有者に主張できないが、一時使用賃貸借の借主は賃借権を所有者に主張できる。
⇒正解(1)
1:一時使用に限らず、通常の建物賃貸借契約も書面によるという規定はありませんので、口頭での契約も有効となります。
2:定期建物賃貸借は最長も最短も制限がありません(期間は定める)。一時使用賃貸借は最長20年で最短の制限はありません(期間の定めがない契約も可)。ちなみに、通常の建物賃貸借は最長の制限はなく最短1年ですね(1年未満は期間の定めなしとなります)。
3:定期建物賃貸借も、やむを得ない事情があり一定の要件を満たせば中途解約が可能です。一時使用賃貸借は、契約期間の定めがないときはいつでも中途解約が可能ですが、期間の定めがあるときは解約する権利を留保すれば中途解約が可能となります。
4:定期建物賃貸借は登記または引渡し、一時使用賃貸借は登記が対抗要件となります。
【問 15】建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)規約は、管理者が保管しなければならない。ただし、管理者がないときは、建物を使用している区分所有者又はその代理人で規約又は集会の決議で定めるものが保管しなければならない。
(2)最初に建物の専有部分の全部を所有する者は、公正証書により、建物の共用部分を定める規約を設定することができる。
(3)規約を保管する者は、利害関係人の請求があったときは、正当な理由がある場合を除いて、規約の閲覧を拒んではならない。
(4)規約の保管場所は、各区分所有者に通知するとともに、建物内の見やすい場所に掲示しなければならない。
⇒正解(4) 微妙にヤラシイ肢が並んでいますね。
4:建物内の見やすい場所に掲示すれば、通知までする必要はありません。
【問 16】不動産の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法の規定によれば、誤っているものはどれか。
(1)表題部所有者であるAから土地を買い受けたBは、Aと共同してBを登記名義人とする所有権の保存の登記の申請をすることができる。
(2)共有物分割禁止の定めに係る権利の変更の登記の申請は、当該権利の共有者であるすべての登記名義人が共同してしなければならない。
(3)権利が法人の解散によって消滅する旨の登記がされている場合において、当該権利がその法人の解散によって消滅したときは、登記権利者は、単独で当該権利に係る権利に関する登記の抹消を申請することができる。
(4)遺贈を登記原因とする所有権の移転の登記は、遺言執行者が指定されているか否かにかかわらず、登記権利者及び登記義務者が共同してしなければならない。
⇒正解(1) 1番を見た時点で1番に決めたい問題。
1:表題部所有者Aが所有権保存登記を行い、AからBへ所有権移転登記を行います。区分建物の場合は、表題部所有者から所有権を取得した者も保存登記ができるという点と比較。
4:受贈者が登記権利者、遺言執行者または遺言執行者が指定されていないときは相続人全員が登記義務者となります。
【問 17】国土利用計画法第23条の届出(以下この問において「事後届出」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)宅建業者であるAとBが、市街化調整区域内の6,000㎡の土地について、Bを権利取得者とする売買契約を締結した場合には、Bは事後届出を行う必要はない。
(2)宅建業者であるCとDが、都市計画区域外の2haの土地について、Dを権利取得者とする売買契約を締結した場合には、Dは事後届出を行わなければならない。
(3)事後届出が必要な土地売買等の契約により権利取得者となった者が事後届出を行わなかった場合には、都道府県知事から当該届出を行うよう勧告されるが、罰則の適用はない。
(4)事後届出が必要な土地売買等の契約により権利取得者となった者は、その契約の締結後、1週間以内であれば市町村長を経由して、1週間を超えた場合には直接、都道府県知事に事後届出を行わなければならない。
⇒正解(2)
1:市街化調整区域内で事後届出不要となるのは5,000㎡未満の取引です。
2:都市計画区域外で事後届出不要となるのは10,000㎡未満の取引です。
3:事後届出を行わないと6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。また、事後届出の内容についての勧告はありますが、事後届出を行うよう勧告されることはありません。
4:事後届出は、当該土地所在地の市町村長を経由して都道府県知事に届け出ます。1週間を超えた場合云々の規定はありません。
【問 18】都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)高度地区は、用途地域内において市街地の環境を維持し、又は土地利用の増進を図るため、建築物の高さの最高限度又は最低限度を定める地区である。
(2)都市計画区域については、無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため、市街化区域と市街化調整区域との区分を必ず定めなければならない。
(3)地区計画の区域のうち、地区整備計画が定められている区域内において、土地の区画形質の変更又は建築物の建築を行おうとする者は、当該行為に着手した後、遅滞なく、行為の種類、場所及び設計又は施行方法を市町村長に届け出なければならない。
(4)都市計画の決定又は変更の提案をすることができるのは、当該提案に係る都市計画の素案の対象となる土地の区域について、当該土地の所有権又は建物の所有を目的とする対抗要件を備えた地上権若しくは賃借権を有する者に限られる。
⇒正解(1)
2:定めることができるのであって、義務ではありません。
3:着手後遅滞なくではなく、行為に着手する日の30日前までに届け出ます。
4:まちづくり推進目的の特定非営利活動法人等も、都市計画の決定や変更を提案することができます。
【問 19】都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、この問における都道府県知事とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び特例市にあってはその長をいうものとする。
(1)開発許可を受けた開発区域内において、当該開発区域内の土地について用途地域等が定められていないとき、都道府県知事に届け出れば、開発行為に関する工事完了の公告があった後、当該開発許可に係る予定建築物以外の建築物を建築することができる。
(2)開発許可を受けた土地において、地方公共団体は、開発行為に関する工事完了の公告があった後、都道府県知事との協議が成立すれば、当該開発許可に係る予定建築物以外の建築物を建築することができる。
(3)都道府県知事は、市街化区域内における開発行為について開発許可をする場合、当該開発区域内の土地について、建築物の建蔽率に関する制限を定めることができる。
(4)市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内において、公民館を建築する場合は、都道府県知事の許可を受けなくてよい。
⇒正解(4)
1:工事完了公告後に予定建築物以外の建築物を建てられるのは、知事が支障なしと許可した場合または用途地域に合う建築物を建築する場合のみです。
2:都道府県知事との協議により許可があったものとみなされるのは、国が建築する場合のみです。地方公共団体にこの例外は適用されませんので注意してください。
3:当道府県知事は、用途地域が定められていない区域内において建蔽率等を定めることができます(市街化区域には元々用途地域が定められている)。
4:市街化調整区域において、開発許可を受けた区域外では知事の許可を受けないと建築はできないのが原則ですが、公益上必要な建築物は許可不要です。
【問 20】土地の区画形質の変更に関する次の記述のうち、都市計画法による開発許可を受ける必要のないものの組合せとして、正しいものはどれか。
ア 市街化調整区域内における庭球場の建設の用に供する目的で行う5,000㎡の土地の区画形質の変更
イ 市街化調整区域内における図書館の建築の用に供する目的で行う3,000㎡の土地の区画形質の変更
ウ 市街化区域内における農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行う1,500㎡の土地の区画形質の変更
⇒正解(1)許可が不要なのはアイ
1:区域に関係なく、10,000㎡未満の庭球場や墓園等を建設する目的では開発行為に該当しません。
2:区域や面積に関係なく、公益上必要な建築物で開発許可は不要です(病院や学校は公益上必要な建築物に該当しない点に注意)。
3:農林漁業用の建築物について開発許可が不要となるのは、市街化区域以外の区域の場合です。市街化区域で1000㎡以上なので原則通り許可を要します。
【問 21】建築基準法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)建築主は、共同住宅の用途に供する建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が280㎡であるものの大規模の修繕をしようとする場合、当該工事に着手する前に、当該計画について建築主事の確認を受けなければならない。
(2)居室を有する建築物の建築に際し、飛散又は発散のおそれがある石綿を添加した建築材料を使用するときは、その居室内における衛生上の支障がないようにするため、当該建築物の換気設備を政令で定める技術的基準に適合するものとしなければならない。
(3)防火地域又は準防火地域において、延べ面積が1,000㎡を超える建築物は、すべて耐火建築物としなければならない。
(4)防火地域又は準防火地域において、延べ面積が1,000㎡を超える耐火建築物は、防火上有効な構造の防火壁で有効に区画し、かつ、各区画の床面積の合計をそれぞれ1,000㎡以内としなければならない。
⇒正解(1)
1:共同住宅(特殊建築物)の用途に供する部分が200㎡を超える場合の大規模修繕は、建築確認が必要です。
2:そもそも石綿を添加した建築材料を使用することができません。
3:防火地域は100㎡超、準防火地域は1,500㎡超で耐火建築物とすることを要します(法改正により、厳密には耐火建築物と同等以上の延焼防止性能を有する建築物=延焼防止建築物でも可能となっています)。
4:耐火建築物または準耐火建築物の場合は防火壁で区画する必要はありません。
【問 22】第二種低層住居専用地域に指定されている区域内の土地(以下この問において「区域内の土地」という。)に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、正しいものはどれか。ただし、特定行政庁の許可については考慮しないものとする。
(1)区域内の土地においては、美容院の用途に供する部分の床面積の合計が100㎡である2階建ての美容院を建築することができない。
(2)区域内の土地においては、都市計画において建築物の外壁又はこれに代わる柱の面から敷地境界線までの距離の限度を2m又は1.5mとして定めることができる。
(3)区域内の土地においては、高さが9mを超える建築物を建築することはできない。
(4)区域内の土地においては、建築物を建築しようとする際、当該建築物に対する建築基準法第56条第1項第2号のいわゆる隣地斜線制限の適用はない。
⇒正解(4) 細かい肢もありますが、正解肢が簡単です。
1:店舗の用途に供する部分が150㎡以内で2階以下なら建築可。
2:2mではなく、1.5mまたは1m。
3:第一第二低層住専、田園住居の高さ制限は10mまたは12mです。
4:第一第二低層住専、田園住居で隣地斜線制限は適用されません。
【問 23】宅地造成及び特定盛土等規制法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問における都道府県知事とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び特例市にあってはその長をいうものとする。
(1)都道府県知事は、宅地造成等工事規制区域内においても、宅地造成等に伴う災害で相当数の居住者に危害を生ずるもの(以下この問において「災害」という。)の発生のおそれが大きい一団の造成宅地の区域を造成宅地防災区域に指定することができる。
(2)都道府県知事は、造成宅地防災区域について、当該区域の指定の事由がなくなったと認めるときは、その指定を解除することができる。
(3)造成宅地防災区域内の造成宅地の所有者等は、災害が生じないよう、その造成宅地について擁壁の設置等の措置を講ずるよう努めなければならない。
(4)都道府県知事は、造成宅地防災区域内の造成宅地について、災害の防止のため必要があると認める場合は、当該造成宅地の所有者等に対し、擁壁の設置等の措置をとることを勧告することができる。
⇒正解(1)
1:宅地造成等工事規制区域内において、重ねて造成宅地防災区域に指定することはできません。
【問 24】土地区画整理法における土地区画整理組合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)土地区画整理組合を設立しようとする者は、事業計画の決定に先立って組合を設立する必要があると認める場合においては、5人以上共同して、定款及び事業基本方針を定め、その組合の設立について都道府県知事の認可を受けることができる。
(2)土地区画整理組合は、当該組合が行う土地区画整理事業に要する経費に充てるため、賦課金として参加組合員以外の組合員に対して金銭を賦課徴収することができるが、その場合、都道府県知事の認可を受けなければならない。
(3)宅地について所有権又は借地権を有する者が設立する土地区画整理組合は、当該権利の目的である宅地を含む一定の区域の土地について土地区画整理事業を施行することができる。
(4)土地区画整理組合の設立の認可の公告があった日から当該組合が行う土地区画整理事業に係る換地処分の公告がある日までは、施行地区内において、事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更や建築物の新築等を行おうとする者は、当該組合の詐可を受けなければならない。
⇒正解(3)
1:土地区画整理組合を設立するには7人以上が必要です。
2:土地区画整理組合は、知事の認可不要で賦課金を徴収することができます。
4:土地区画整理組合の許可ではなく、都道府県知事の許可を受けなければなりません。
【問 25】農地法(以下この問において「法」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)農業者が相続により取得した市街化調整区域内の農地を自己の住宅用地として転用する場合には、法第4条第1項の許可を受ける必要はない。
(2)住宅を建設する目的で市街化区域内の農地の所有権を取得するに当たって、あらかじめ農業委員会に届け出た場合には、法第5条第1項の許可を受ける必要はない。
(3)耕作する目的で原野の所有権を取得し、その取得後、造成して農地にする場合には、法第3条第1項の許可を受ける必要がある。
(4)市街化調整区域内の農地を駐車場に転用するに当たって、当該農地がすでに利用されておらず遊休化している場合には、法第4条第1項の許可を受ける必要はない。
⇒正解(2)
1:相続で許可不要となるのは3条許可で、市街化調整区域なので届出で足りる例外も適用されません。
3:原野を取得することも、造成して農地にすることも、農地法は適用されません。
4:遊休化していても農地です。
【問 26】租税特別措置法第36条の2の特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)譲渡資産とされる家屋については、その譲渡に係る対価の額が5,000万円以下であることが、適用要件とされている。
(2)買換資産とされる家屋については、譲渡資産の譲渡をした日からその譲渡をした日の属する年の12月31日までに取得をしたものであることが、適用要件とされている。
(3)譲渡資産とされる家屋については、その譲渡をした日の属する年の1月1日における所有期間が5年を超えるものであることが、適用要件とされている。
(4)買換資産とされる家屋については、その床面積のうち自己の居住の用に供する部分の床面積が50㎡以上のものであることが、適用要件とされている。
⇒正解(4) 易しめ所得税。
1:5000万円以下ではなく、1億円以下が適用要件です。
2:譲渡資産を譲渡した年の前年、譲渡年、翌年までに取得した家屋が適用要件です。
3:5年超ではなく、10年を超える家屋が適用要件です。
4:居住の用に供する床面積50㎡以上、敷地面積500㎡以下であることが適用要件です。
【問 27】住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税の特例(「60歳未満の親からの贈与についても相続時精算課税の選択を可能とする措置」及び「住宅取得等資金の贈与に限り相続時精算課税の特別控除(2,500万円)に加え、1,000万円の住宅資金特別控除が認められる措置」)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)自己の配偶者から住宅用の家屋を取得した場合には、この特例の適用を受けることはできない。
(2)住宅用の家屋の新築又は取得に要した費用の額が2,500万円以上でなければ、この特例の適用を受けることはできない。
(3)床面積の3分の1を店舗として使用し、残りの部分は資金の贈与を受けた者の住宅として使用する家屋を新築した場合には、この特例の適用を受けることはできない。
(4)住宅取得のための資金の贈与を受けた年の12月31日までに住宅用の家屋を新築若しくは取得又は増改築等をしなければ、この特例の適用を受けることはできない。
⇒正解(1) 正解肢が易しすぎる贈与税。
1:相続時精算課税の特例とは、親や祖父母から子や孫への贈与に関する特例です。
2:贈与金額2500万円以下の部分について非課税という問題でもなく…変な問題です。
3:床面積の1/2以上が居住の用に供されていれば適用されます。
4:贈与の年の12月31日ではなく、贈与の年の翌年の3月15日までです。
【問 28】不動産取得税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)平成19年4月に土地を取得した場合に、不動産取得税の課税標準となるべき額が30万円に満たないときには不動産取得税は課税されない。
(2)平成10年4月に建築された床面積200㎡の中古住宅を法人が取得した場合の当該取得に係る不動産取得税の課税標準の算定については、当該住宅の価格から1,200万円が控除される。
(3)平成19年4月に商業ビルの敷地を取得した場合の不動産取得税の標準税率は、100分の3である。
(4)不動産取得税は、不動産の取得に対して課される税であるので、相続により不動産を取得した場合にも課税される。
⇒正解(3)
1:不動産取得税の土地取得に関する免税点は10万円です(固定資産税は30万円であることとのひっかけ)。
2:中古住宅の1200万円控除が適用されるのは個人が取得した場合のみです(新築住宅なら法人も適用対象)。
3:不動産所得税の課税標準は4%ですが、土地または住宅の取得は軽減税率が適用されて3%となります。「商業ビルの敷地」ではなく、商業ビル(=住宅ではない)の取得であれば4%であった点に注意してください。
4:相続や合併、共有物分割による取得に不動産取得税は課されません。
【問 29】不動産の鑑定評価に関する次の記述のうち、不動産鑑定評価基準によれば、誤っているものはどれか。
(1)不動産の価格を求める鑑定評価の基本的な手法は、原価法、取引事例比較法及び収益還元法に大別され、原価法による試算価格を積算価格、取引事例比較法による試算価格を比準価格、収益還元法による試算価格を収益価格という。
(2)取引事例比較法の適用に当たって必要な取引事例は、取引事例比較法に即応し、適切にして合理的な計画に基づき、豊富に秩序正しく収集し、選択すべきであり、投機的取引であると認められる事例等適正さを欠くものであってはならない。
(3)再調達原価とは、対象不動産を価格時点において再調達することを想定した場合において必要とされる適正な原価の総額をいう。
(4)収益還元法は、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在価値の総和を求めることにより対象不動産の試算価格を求める手法であり、このうち、一期間の純収益を還元利回りによって還元する方法をDCF(Discounted Cash Flow)法という。
⇒正解(4)
4:DCF法ではなく、直接還元法といいます。
【問 30】宅建士の設置に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか。
(1)宅建業者Aは、1棟100戸のマンションを分譲するために案内所を設置し、当該案内所においては売買契約の申込みの受付のみを行うこととした。この場合、Aは、当該案内所に成年者である専任の宅建士を置く必要はない。
(2)宅建業者B(甲県知事免許)は、その事務所において、成年者である宅建士Cを新たに専任の宅建士として置いた。この場合、Bは、30日以内に、その旨を甲県知事に届け出なければならない。
(3)宅建業者Dは、その事務所の専任の宅建士Eが3か月間入院したため、宅建業法第15条に規定する専任の宅建士の設置要件を欠くこととなったが、その間、同条の規定に適合させるために必要な措置を執らなかった。この場合、Dは指示処分の対象になるが、業務停止処分の対象にはならない。
(4)宅建業者である法人Fの取締役Gは宅建士であり、本店において専ら宅建業に関する業務に従事している。この場合、Fは、Gを本店の専任の宅建士の数のうちに算入することはできない。
⇒正解(2)
1:契約締結のみならず、契約の申込みだけを行う案内所にも専任宅建士を設置することを要します。
2:宅建業者名簿の登載事項(専任宅建士や役員の氏名、事務所の名称や所在地など)に変更があれば、30日以内に免許権者に届け出ます。
3:2週間以内に補充しなければ業務停止処分まであり得ます。
4:法人の役員である宅建士は、その者が主として従事する事務所において専任宅建士とみなされます。
【問 31】宅建士資格登録(以下この問において「登録」という。)及び宅建士証に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか。
(1)甲県知事の登録を受けて、甲県に所在する宅建業者Aの事務所の業務に従事する者が、乙県に所在するAの事務所の業務に従事することとなったときは、速やかに、甲県知事を経由して、乙県知事に対して登録の移転の申請をしなければならない。
(2)登録を受けている者で宅建士証の交付を受けていない者が重要事項説明を行い、その情状が特に重いと認められる場合は、当該登録の消除の処分を受け、その処分の日から5年を経過するまでは、再び登録を受けることができない。
(3)丙県知事から宅建士証の交付を受けている宅建士が、宅建士証の有効期間の更新を受けようとするときは、丙県知事に申請し、その申請前6月以内に行われる国土交通大臣の指定する講習を受講しなければならない。
(4)丁県知事から宅建士証の交付を受けている宅建士が、宅建士証の亡失によりその再交付を受けた後において、亡失した宅建士証を発見したときは、速やかに、再交付された宅建士証をその交付を受けた丁県知事に返納しなければならない。
⇒正解(2)
1:登録の移転をすることができます(任意)。
3:宅建士証の交付は知事の指定する講習を受けます(免許は国土交通大臣の指定する講習)。
4:返納するのは、亡失した方の古い宅建士証です。
【問 32】宅建業の免許(以下この問において「免許」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)Aが、競売により取得した宅地を10区画に分割し、宅建業者に販売代理を依頼して、不特定多数の者に分譲する場合、Aは免許を受ける必要はない。
(2)Bが、自己所有の宅地に自ら貸主となる賃貸マンションを建設し、借主の募集及び契約をCに、当該マンションの管理業務をDに委託する場合、Cは免許を受ける必要があるが、BとDは免許を受ける必要はない。
(3)破産管財人が、破産財団の換価のために自ら売主となって、宅地又は建物の売却を反復継続して行い、その媒介をEに依頼する場合、Eは免許を受ける必要はない。
(4)不特定多数の者に対し、建設業者Fが、建物の建設工事を請け負うことを前提に、当該建物の敷地に供せられる土地の売買を反復継続してあっせんする場合、Fは免許を受ける必要はない。
⇒正解(2)
1:競売により取得しても、宅建業者に販売代理を依頼しても、免許を受ける必要がなくなるわけではありません。
3:破産管財人が宅建業を行うのに免許は不要ですが、それらから媒介依頼を受けた者は話が別です。
4:建設業者であっても、請負が前提にあっても、免許を受ける必要がなくなるわけではありません。
【問 33】宅建業の免許(以下「免許」という。)に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか。
(1)甲県に本店を、乙県に支店をそれぞれ有するA社が、乙県の支店でのみ宅建業を営もうとするときは、A社は、乙県知事の免許を受けなければならない。
(2)宅建業者B社の取締役が、刑法第209条(過失傷害)の罪により罰金の刑に処せられた場合、B社の免許は取り消される。
(3)宅建業者C社が業務停止処分に違反したとして、免許を取り消され、その取消しの日から5年を経過していない場合、C社は免許を受けることができない。
(4)D社の取締役が、かつて破産宣告を受けたことがある場合で、復権を得てから5年を経過しないとき、D社は免許を受けることができない。
⇒正解(3)
1:支店で宅建業を営むならば、宅建業を営まない本店も事務所となるので国土交通大臣免許が必要です。
2:傷害罪で罰金はアウトですが、過失傷害(=事故)はセーフです。
4:破産者は、復権を得たらすぐに免許を受けることができます。
【問 34】宅建業者Aが、自ら売主となって宅建業者でない買主Bに建築工事完了前のマンションを1億円で販売する場合において、AがBから受領する手付金等に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、誤っているものはどれか。なお、この問において「保全措置」とは、宅建業法第41条第1項の規定による手付金等の保全措置をいう。
(1)宅建業者Aが当該マンションの売買契約締結時に、手付金として500万円をBから受領している場合において、Bが契約の履行に着手していないときは、Aは、Bに500万円を償還すれば、当該売買契約を解除することができる。
(2)宅建業者AがBから手付金として1,500万円を受領するに当たって保全措置を講ずる場合、Aは、当該マンションの売買契約を締結するまでの間に、Bに対して、当該保全措置の概要を説明しなければならない。
(3)宅建業者AがBから手付金として1,500万円を受領しようとする場合において、当該マンションについてBへの所有権移転の登記がされたときは、Aは、保全措置を講じなくてもよい。
(4)宅建業者Aが1,000万円の手付金について銀行との間に保全措置を講じている場合において、Aが資金調達に困り工事請負代金を支払うことができず、当該マンションの引渡しが不可能となったときは、Bは、手付金の全額の返還を当該銀行に請求することができる。
⇒正解(1) 4番が細かいですが、1番が明らかに誤りなので関係ありませんね。択一試験という利点を活かし、基本的な問題を確実に押さえていきましょう。
1:売主から手付解除を行うには、手付金の倍額の償還が必要です。
【問 35】宅建業者が宅建業法第35条に規定する重要事項について説明する場合における次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)建物の貸借の媒介において、当該建物について石綿が使用されていない旨の調査結果が記録されているときは、その旨を借主に説明しなくてもよい。
(2)建物の貸借の媒介において、当該建物が宅地造成等規制法の規定により指定された造成宅地防災区域内にあるときは、その旨を借主に説明しなければならない。
(3)平成19年10月に新築の工事に着手した建物の売買において、当該建物が指定確認検査機関、建築士、登録住宅性能評価機関又は地方公共団体による耐震診断を受けたものであるときは、その内容を買主に説明しなければならない。
(4)宅地の売買の媒介において、当該宅地の不適合を担保すべき責任の履行に関し保証保険契約の締結等の措置を講じないときは、その旨を買主に説明しなくてもよい。
⇒正解(2)
1:記録されていれば、調査結果の記録を説明します(記録がなければ調査までする必要はなし)。
3:耐震診断の内容説明を要するのは、昭和56年5月31日以前に着工された建物のみです。
4:措置を講ずるかどうか(=講じないなら講じないと説明)、措置を講ずる場合はその概要を説明します。
【問 36】法人である宅建業者A(甲県知事免許)に関する監督処分及び罰則に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、誤っているものはどれか。
(1)宅建業者Aが、建物の売買において、当該建物の将来の利用の制限について著しく事実と異なる内容の広告をした場合、Aは、甲県知事から指示処分を受けることがあり、その指示に従わなかったときは、業務停止処分を受けることがある。
(2)宅建業者Aが、乙県内で行う建物の売買に関し、取引の関係者に損害を与えるおそれが大であるときは、Aは、甲県知事から指示処分を受けることはあるが、乙県知事から指示処分を受けることはない。
(3)宅建業者Aが、正当な理由なく、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他人に漏らした場合、Aは、甲県知事から業務停止処分を受けることがあるほか、罰則の適用を受けることもある。
(4)宅建業者Aの従業者Bが、建物の売買の契約の締結について勧誘をするに際し、当該建物の利用の制限に関する事項で買主の判断に重要な影響を及ぼすものを故意に告げなかった場合、Aに対して1億円以下の罰金刑が科せられることがある。
⇒正解(2)
2:指示処分と業務停止処分は、業務地の知事も行うことができます(免許取消処分は免許権者のみ)。
3:50万円以下の罰金。
4:違反をした者に対して2年以下の懲役およびまたは300万円以下の罰金に加え、法人業者に1億円以下の罰金が科されることがあります。
【問 37】宅建業者A(甲県知事免許)の営業保証金に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、誤っているものはどれか。なお、Aは、甲県内に本店と一つの支店を設置して事業を営んでいるものとする。
(1)宅建業者Aが販売する新築分譲マンションの広告を受託した広告代理店は、その広告代金債権に関し、Aが供託した営業保証金からその債権の弁済を受ける権利を有しない。
(2)宅建業者Aは、免許の有効期間の満了に伴い、営業保証金の取戻しをするための公告をしたときは、遅滞なく、その旨を甲県知事に届け出なければならない。
(3)宅建業者Aは、マンション3棟を分譲するための現地出張所を甲県内に設置した場合、営業保証金を追加して供託しなければ、当該出張所でマンションの売買契約を締結することはできない。
(4)宅建業者Aの支店でAと宅地建物取引業に関する取引をした者は、その取引により生じた債権に関し、1,500万円を限度として、Aが供託した営業保証金からその債権の弁済を受ける権利を有する。
⇒正解(3)
1:営業保証金から還付を受けられるのは、宅建業に関する取引だけです。宅建業に該当しないひっかけとして、広告代金や内装工事代金などはよく出題されますね。
3:営業保証金の供託が必要なのは、支店も含め事務所だけです。
4:支店の取引でも、当該支店の500万円分に限られるわけではありません。
【問 38】宅建業者Aの業務に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか。
(1)宅建業者Aは、実在しない宅地について広告又は虚偽の表示を行ってはならないが、実在する宅地については、実際に販売する意思がなくても、当該宅地の広告の表示に誤りがなければ、その広告を行うことができる。
(2)宅建業者Aは、新築分譲マンションを建築工事の完了前に売却する場合、建築基準法第6条第1項の確認を受ける前において、当該マンションの売買の広告及び売買契約の締結のいずれもすることはできない。
(3)都市計画法第29条第1項の許可を必要とする宅地について、Bが開発行為を行い貸主として貸借をしようとする場合、宅建業者Aは、Bがその許可を受ける前であっても、Bの依頼により当該宅地の貸借の広告をすることができるが、当該宅地の貸借の媒介をすることはできない。
(4)宅建業者Aは、都市計画法第29条第1項の許可を必要とする宅地について開発行為を行いCに売却する場合、Cが宅建業者であれば、その許可を受ける前であっても当該宅地の売買の予約を締結することができる。
⇒正解(2)
3:工事完了前の貸借については、広告はできませんが契約締結は可能です。
4:宅建業者間だからと開発許可前に売買契約が締結できるとする規定はありません。
【問 39】宅建業者Aは、BからB所有の宅地の売却について媒介の依頼を受けた。この場合における次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、誤っているものはどれか。
(1)宅建業者Aは、Bとの間に媒介契約を締結したときは、当該契約が国土交通大臣が定める標準媒介契約約款に基づくものであるか否かの別を、宅建業法第34条の2第1項の規定に基づき交付すべき書面に記載しなければならない。
(2)宅建業者Aは、Bとの間で媒介契約を締結し、Bに対して当該宅地を売却すべき価額又はその評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない。
(3)宅建業者Aは、Bとの間に専属専任媒介契約を締結したときは、当該契約の締結の日から5日以内(休業日を除く。)に、所定の事項を当該宅地の所在地を含む地域を対象として登録業務を現に行っている指定流通機構に登録しなければならない。
(4)宅建業者Aは、Bとの間で有効期間を2か月とする専任媒介契約を締結する際、「Bが媒介契約を更新する旨を申し出ない場合は、有効期間満了により自動更新するものとする」旨の特約を定めることができる。
⇒正解(4)
2:相手方から請求がなくても根拠を明示します。書面で根拠を明らかにする必要はありません。
4:契約終了時に依頼者の申出があった場合に更新され、自動更新はできません(一般媒介は自動更新可)。
【問 40】宅建業者Aが売主Bと買主Cの間の建物の売買について媒介を行う場合に交付する「35条書面」又は「37条書面」に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、35条書面とは、宅建業法第35条の規定に基づく重要事項を記載した書面を、37条書面とは、宅建業法第37条の規定に基づく契約の内容を記載した書面をいうものとする。
(1)Aは、35条書面及び37条書面のいずれの交付に際しても、宅建士をして、当該書面への記名押印及びその内容の説明をさせなければならない。
(2)Bが宅建業者でその承諾がある場合、Aは、Bに対し、35条書面及び37条書面のいずれの交付も省略することができる。
(3)Cが宅建業者でその承諾がある場合、Aは、Cに対し、35条書面の交付を省略することができるが、37条書面の交付は省略することができない。
(4)Aが、宅建業者Dと共同で媒介を行う場合、35条書面にAが調査して記入した内容に誤りがあったときは、Aだけでなく、Dも業務停止処分を受けることがある。
⇒正解(4)
1:37条書面の交付に説明は不要です。
2:承諾以前に、売主や貸主に35条書面の交付は不要です(交付すべき者へは承諾があっても省略不可)。
3:買主が宅建業者の場合は重要事項の説明を省略することができます(H29法改正)が、35条・37条書面の交付を省略することはできません。
【問 41】宅建業者Aが、自ら売主として、宅建業者でないBと建物の売買契約を締結しようとし、又は締結した場合に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか。
(1)Aは、自己の所有に属しない建物を売買する場合、Aが当該建物を取得する契約を締結している場合であっても、その契約が停止条件付きであるときは、当該建物の売買契約を締結してはならない。
(2)売買契約の締結に際し、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める場合において、これらを合算した額が売買代金の2割を超える特約をしたときは、その特約はすべて無効となる。
(3)「建物に契約不適合があった場合、その不適合がAの責に帰すことのできるものでないときは、Aは契約不適合責任を負わない」とする特約は有効である。
(4)Bがホテルのロビーで買受けの申込みをし、3日後にBの自宅で売買契約を締結した場合、Bは、当該建物の引渡しを受け、かつ、その代金の全部を支払っているときでも、当該売買契約の解除をすることができる。
⇒正解(1)
1:停止条件が付いているのであれば取得できると限りませんので、「宅建業者は、自己の所有に属しない宅地建物について、自ら売主となる売買契約を締結することができない」の原則通り、当該宅地建物について売買契約を締結することはできません。
2:2割を超える部分についてのみ無効。
3:売主に帰責性があるときのみ責任を負う特約は、民法の原則より買主に不利な特約として無効です。
4:引渡しを受けて代金全額を支払っているのでクーリング・オフはできません。
【問 42】宅建業者A(消費税課税事業者)は、B所有の建物について、B及びCから媒介の依頼を受け、Bを貸主、Cを借主とする定期借家契約を成立させた。この場合における次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、1か月分の借賃は13万円、保証金(Cの退去時にCに全額返還されるものとする。)は300万円とする。
(1)建物が店舗用である場合、AがCから受け取ることができる報酬の限度額は、154,000円である。
(2)Aは、媒介報酬の限度額のほかに、Bの依頼によらない通常の広告の料金に相当する額を報酬に合算して、Bから受け取ることができる。
(3)建物が居住用である場合、AがB及びCから受け取ることができる報酬の限度額は、B及びCの承諾を得ているときを除き、それぞれ71,500円である。
(4)定期借家契約の契約期間が終了した直後に、AがBC間の定期借家契約の再契約を成立させた場合にAが受け取る報酬については、宅建業法の規定は適用されない。
⇒正解(3)
1:居住用以外なので、貸主BCから合わせて借賃1ヶ月分+消費税。
2:宅建業者が報酬と別に受け取ることができるのは、依頼された広告費や遠隔地への現地調査費用だけです。
3:貸主BC双方から賃料半月分ずつ+消費税。
4:宅建業法が適用され、新規契約と同様に計算します。
【問 43】次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか。
(1)宅建業者Aは、都市計画法第29条第1項の許可を必要とする宅地の造成工事着手前において、当該許可を受けていない場合であっても、当該許可を受けることを停止条件とする特約を付ければ、当該宅地の売買契約を締結することができる。
(2)宅建業者Bが自ら売主となって、宅建業者でないCと1億円のマンションの売買契約(手付金1,500万円、中間金1,500万円、残代金7,000万円)を建築工事完了前に締結し、その引渡し及び登記の移転を残代金の支払と同時に行う場合、Bは、手付金の受領前及び中間金の受領前それぞれについて、保全措置を講じなければならない。
(3)宅建業者Dは、取引態様の明示がある広告を見た宅建業者Eから建物の売買の注文を受けた場合、Eから取引態様の問い合わせがなければ、Eに対して、取引態様を明示する必要はない。
(4)宅建業者Fが自ら売主となって、宅建業者でないGと宅地の売買契約を締結するに際して手付金を受領する場合において、その手付金が解約手付である旨の定めがないときは、Fが契約の履行に着手していなくても、Gは手付金を放棄して契約の解除をすることができない。
⇒正解(2)
1:許可を受けることを停止条件に売買の広告や契約締結はできません。
2:工事完了前物件について代金の5%(500万円)を超えているので、手付金を受領するの時点で保全措置が必要。もちろん中間金についても必要。残代金は所有権移転登記後(同時)なので保全措置不要。
3:広告時と契約時ともに取引態様の別を明示する必要があり、宅建業者間でも省略不可。
4:宅建業者自らが売主となる場合、定めがなくても解約手付とされます。売主が履行に着手していないので、買主は手付放棄により契約を解除することができます。
【問 44】宅建業保証協会(以下この問において「保証協会」という。)に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか。
(1)保証協会に加入することは宅建業者の任意であるが、一の保証協会の社員となった後に、重ねて他の保証協会の社員となることはできない。
(2)宅建業者で保証協会に加入しようとする者は、その加入の日から2週間以内に、弁済業務保証金分担金を保証協会に納付しなければならない。
(3)宅建業者で保証協会に加入しようとする者は、その加入に際して、加入前の宅建業に関する取引により生じたその者の債務に関し、保証協会から担保の提供を求められることはない。
(4)保証協会に加入した宅建業者は、直ちに、その旨を免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に報告しなければならない。
⇒正解(1) 0.5秒で解ける超サービス問題。
2:保証協会に加入しようとする日までに現金で納付します。弁済業務保証金分担金の現金納付を受けた保証協会は、その日から1週間以内に現金や有価証券で弁済業務保証金を供託します。また、社員である宅建業者が支店を設置したときは、その日から2週間以内に納付なので注意してください。
4:社員となった旨を報告するのは保証協会であって、宅建業者ではありません。
【問 45】宅建業法に規定する宅建士証、従業者証明書、従業者名簿、帳簿及び標識に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)宅建業者の従業者は、宅建業者が発行する従業者証明書をその業務に従事する間、常に携帯し、取引の関係者から請求があったときは、従業者証明書を提示しなければならないが、従業者が宅建士である場合は、宅建士証の提示をもってこれに代えることができる。
(2)宅建業者は、その事務所ごとに従業者名簿を備え、取引の関係者から請求があったときは、当該名簿をその者の閲覧に供しなければならないが、当該名簿を事務所のパソコンのハードディスクに記録し、ディスプレイの画面に表示する方法で閲覧に供することもできる。
(3)宅建業者は、その事務所ごとにその業務に関する帳簿を備え、取引のあったつど、所定の事項を記載しなければならないが、当該帳簿の記載事項を事務所のパソコンのハードディスクに記録し、必要に応じ当該事務所においてパソコンやプリンタを用いて紙面に印刷することが可能な環境を整えることで、当該帳簿への記載に代えることができる。
(4)宅建業者は、売主として一団の宅地建物の分譲を当該物件から約500m離れた駅前に案内所を設置して行う場合、当該物件の所在する場所及び案内所のそれぞれに、免許証番号、主たる事務所の所在地等の所定の事項を記載した標識を掲示しなければならない。
⇒正解(1) 1.5秒で解けるサービス問題。
1:従業者証明書に代えて宅建士証を提示することはできません。
3:帳簿は請求があっても閲覧に供する必要がないという点にも注意。
4:標識には、免許証番号や主たる事務所の所在地などを記載します。
【問 46】平成19年4月1日に住宅金融公庫(以下この問において「公庫」という。)は廃止され、独立行政法人住宅金融支援機構(以下この問において「機構」という。)が設立された。機構の業務に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)機構は、住宅の建設、購入、改良若しくは移転(以下この問において「建設等」という。)をしようとする者又は住宅の建設等に関する事業を行う者に対し、必要な資金の調達又は良質な住宅の設計若しくは建設等に関する情報の提供、相談その他の援助を業務として行う。
(2)機構は、子どもを育成する家庭又は高齢者の家庭に適した良好な居住性能及び居住環境を有する賃貸住宅の建設に必要な資金の貸付けを業務として行う。
(3)機構は、事業主又は事業主団体から独立行政法人雇用・能力開発機構の行う転貸貸付に係る住宅資金の貸付けを受けることができない勤労者に対し、財形住宅貸付業務を行う。
(4)機構は、公庫が機構の設立前に受理した申込みに係る資金の貸付けのうち、機構の設立から半年以内に実行するものに限り、資金の貸付けを業務として行う。
⇒正解(4)
4:設立から半年以内に実行するものに限りません。
【問 47】宅建業者が行う広告に関する次の記述のうち、不当景品類及び不当表示防止法(不動産の表示に関する公正競争規約を含む。)の規定によれば、正しいものはどれか。
(1)新築分譲マンションの広告に住宅ローンについて記載する場合、返済例を表示すれば、当該住宅ローンを扱っている金融機関の名称や融資限度額等について表示する必要はない。
(2)マンションの広告を行う場合、当該マンションが建築後2年経過していたとしても、居住の用に供されたことがなければ「新築分譲マンション」と表示することができる。
(3)1枚の新聞折込みチラシに多数の新築分譲住宅の広告を掲載する場合には、物件ごとの表示スペースが限られてしまうため、各物件の所在地を表示すれば、交通の利便に関する表示は省略することができる。
(4)残戸数が1戸の新築分譲住宅の広告を行う場合、建物の面積は延べ面積を表示し、これに車庫の面積を含むときには、車庫の面積を含む旨及びその面積を表示する必要がある。
⇒正解(4)
1:金融機関名や融資限度額なども表示します。
2:新築とは、建築後1年未満+居住の用に供されたことがないものをいいます。
【問 48】宅地建物の統計等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)平成19年地価公示(平成19年3月公表)によれば、平成18年の1年問の地価変動率は、全国平均で住宅地がマイナス1.5%、商業地がプラス2.3%となり、住宅地は引き続き下落しているが、商業地は平成3年以来16年ぶりにわずかな上昇となった。
(2)建築着工統計(国土交通省)によれば、平成17年度の新設住宅着工戸数は約115万戸で、対前年度比では約1.7%減となり、2年連続の減少となった。
(3)平成18年版土地自書(平成18年6月公表)によれば、平成17年の売買による土地所有権移転登記の件数は全国で約158万件となっており、2年連続の増加となった。
(4)平成17年度法人企業統計年報(財務省)によれば、平成17年度における不動産業の売上高は約34兆5,000億円で、全産業の売上高の約2.3%を占めている。
⇒正解(4) 統計は最新資料を覚えておきましょう。
【問 49】地盤の特徴に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)谷底平野は、周辺が山に囲まれ、小川や水路が多く、ローム、砂礫等が堆積した良質な地盤であり、宅地に適している。
(2)後背湿地は、自然堤防や砂丘の背後に形成される軟弱な地盤であり、水田に利用されることが多く、宅地としての利用は少ない。
(3)三角州は、河川の河口付近に見られる軟弱な地盤であり、地震時の液状化現象の発生に注意が必要である。
(4)旧河道は、沖積平野の蛇行帯に分布する軟弱な地盤であり、建物の不同沈下が発生しやすい。
⇒正解(1)
1:谷底平野は地盤が緩く、液状化の危険もあります。
【問 50】建築物の構造に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)防火地域内に建築する仮設建築物の基礎に木ぐいを用いる場合、その木ぐいは、平家建ての木造の建築物に使用する場合を除き、常水面下にあるようにしなければならない。
(2)建築物に近接してその建築物を風の方向に対して有効にさえぎる他の建築物、防風林その他これらに類するものがある場合においては、その方向における速度圧は、一定程度まで減らすことができる。
(3)積雪荷重の計算に当たり、雪下ろしを行う慣習のある地方においては、その地方における垂直積雪量が1mを超える場合においても、積雪荷重は、雪下ろしの実況に応じて垂直積雪量を1mまで減らして計算することができる。
(4)高さが60mを超える建築物を建築する場合、国土交通大臣の認定を受ければ、その構造方法を耐久性等関係規定に適合させる必要はない。
⇒正解(4)
4:国土交通大臣の認定+関係規定に適合している必要があります。
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