贈与税の概要から特例を解説

宅建試験の税その他解説:「贈与税」についてお話します。出題可能性が低い割に複雑なのが贈与税です。深追いすると難しいですが、宅建試験ではシンプルな出題が多いので、(所得税より出題可能性は低いですが)所得税より力を入れてもいいかもしれません。ここは解説文よりも問題形式で見た方が分かりやすいと思いますので、分野別過去問の贈与税で押さえておくことをおすすめします。

贈与税の宅建解説

贈与税とは

贈与税とは、個人から財産(土地や建物など)を贈与によりタダでもらった場合に、そのもらった個人に課される税金です。
贈与者 受贈者 税の種類
個人 個人 贈与税
法人 個人 所得税
個人または法人 法人 法人税


贈与税の課税方法

1.課税主体:国

2.暦年課税(一暦年中に贈与を受けた全ての財産に対し、受贈者に課されるもの)

贈与者:制限なし
受贈者:制限なし

贈与税額:{1年間(1/1~12/31)の受贈財産合計額-年110万円基礎控除}×10%~55%

3.相続時精算課税(親や祖父母から贈与を受けた財産に対し、相続と贈与を一体化して課すもの)

贈与者:親または祖父母住宅取得資金は年齢不問。一般財産は60歳以上)
受贈者:将来の相続人である子(18歳以上

取得家屋:床面積40㎡以上、一定の耐震基準に適合または昭和57年1月1日以後に建築された家屋で、床面積の2分の1以上を居住用とし、贈与の翌年3月15日までに新築または取得し居住すること

贈与税額:{1年間(1/1~12/31)の受贈財産合計額-累計2500万円の特別控除}×20%

2500万円までは非課税とし、2500万円を超えた部分について20%を課税するという制度ですね。相続時精算課税は暦年課税に代えて選択適用する課税方法で、その選択適用は、受贈者が贈与者である者ごとに行い、一度選択した場合は一生撤回することができなくなります。

4.物納・延納

相続税には物納または延納の制度がありますが、贈与税に物納制度はありません。頭の片隅に。


贈与税の特例

1.住宅取得資金の贈与の特例

親または祖父母から住宅資金贈与を受けた場合に、贈与者の年齢制限なしで相続時精算課税の適用が受けられる特例があります。ここが最も出題可能性高いと思います。住宅資金の贈与を受けた場合の特例で、家屋を直接贈与された場合には適用されませんので注意してください。

贈与者:親または祖父母(年齢制限なし
受贈者:将来の相続人である子(18歳以上で年間所得2000万円以下

取得家屋:床面積50㎡以上240㎡以下(所得金額が1,000万円以下であれば40 ㎡以上240 ㎡以下)、一定の耐震基準に適合または昭和57年1月1日以後に建築された家屋で、床面積の2分の1以上を居住用とし、贈与の翌年3月15日までに新築または取得し居住すること

増改築の場合:検査済証の写し等の書類が必要で、工事費用100万円以上

非課税限度額:一般住宅=500万円、省エネ・耐震・バリアフリー性能を有する良質住宅=1,000万円(R4法改正)

尚、受贈者は過去にこの特例の適用を受けていたことがあっても構いません。

2.配偶者控除の特例

夫婦間で居住用不動産(その購入資金)を贈与した場合、配偶者控除の特例があります。

婚姻期間:20年以上
控除額:暦年課税110万円基礎控除+2000万円(=合計2110万円)

この特例の適用を受けるためには、当該不動産について贈与年の翌年3月15日まで居住の用に供し、その後も居住の用に供する見込みがあることが必要です。また、贈与する配偶者1人につき1回しか使えません。

3.住宅取得資金の贈与の特例比較
70条の2特例 70条の3特例
18歳以上(※1) 18歳以上(※1)
親または祖父母から(贈与者の年齢制限なし 親または祖父母から(贈与者の年齢制限なし ※2
住宅取得資金のみ 住宅取得資金のみ
50㎡以上240㎡以下(1/2以上が居住用で、
年間所得1000万円以下なら40㎡以上)
40㎡以上(1/2以上が居住用) 
受贈者の年間所得2000万円以下 所得制限なし
70条の2特例=直系尊属から住宅取得金等の贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度
70条の3特例=相続税と贈与税を一体化して計算する相続時精算課税の特例

※1 住宅取得資金の贈与を受けた日の属する年の1月1日において18歳以上の者であることを要します
※2 住宅取得資金ではなく、家屋自体など資産一般の贈与の場合は60歳以上が要件となる点に注意


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登録免許税 不動産鑑定評価基準
【宅建試験問題 平成16年ー問27】特定の贈与者から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税の特例(60歳未満の親又は祖父母からの贈与についても相続時精算課税の選択を可能とする措置)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1.増改築のために金銭の贈与を受けた場合には、増築による床面積の増加が50㎡以上であるか、その工事に要した費用の額が1,000万円以上でなければこの特例の対象とはならない。
2.住宅取得等資金の贈与を受けた者が、その贈与を受けた日前5年以内に、その者又はその者の配偶者の所有する住宅用家屋に居住したことがある場合には、この特例の適用を受けることはできない。
3.住宅取得等資金の贈与を受けた者について、その贈与を受けた年の所得税法に定める合計所得金額が2,000万円を超えている場合でも、この特例の適用を受けることができる。
4.この特例の対象となる既存住宅用家屋は、マンション等の耐火建築物である場合には築後30年以内、耐火建築物以外の建物である場合には築後25年以内のものに限られる
1 誤:増改築等の工事に要した費用が100万円以上であれば適用される(面積要件なし)
2 誤:このような規定なし
3 正:受贈者の年間所得2000万円以下という所得要件があるのは、住宅取得等資金の贈与税の非課税制度
4 誤:一定の耐震基準(新耐震基準)に適合、または登記簿上の建築日付が昭和57年以降であれば住宅の構造や築年数は関係なし
【宅建試験問題 平成19年ー問27】住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税の特例(「65歳未満の親からの贈与についても相続時精算課税の選択を可能とする措置」及び「住宅取得等資金の贈与に限り相続時精算課税の特別控除(2,500万円)に加え、1,000万円の住宅資金特別控除が認められる措置」)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1.自己の配偶者から住宅用の家屋を取得した場合には、この特例の適用を受けることはできない。
2.住宅用の家屋の新築又は取得に要した費用の額が2,500万円以上でなければ、この特例の適用を受けることはできない。
3.床面積の3分の1を店舗として使用し、残りの部分は資金の贈与を受けた者の住宅として使用する家屋を新築した場合には、この特例の適用を受けることはできない。
4.住宅取得のための資金の贈与を受けた年の12月31日までに住宅用の家屋を新築若しくは取得又は増改築等をしなければ、この特例の適用を受けることはできない。
1 正:親や祖父母からの贈与に適用(住宅取得資金は贈与者である親の年齢制限がない点に注意)
2 誤:新築や取得にかかった費用制限の規定はない
3 誤:床面積の2分の1以上を居住の用に供しているので特例の適用可
4 誤:贈与を受けた翌年3月15日までに新築、取得、増改築等を行えばよい