借地借家法(難問対策版)  重要度 ★★★★★


今回は「借地借家法」について少し掘り下げてお話します。

借地借家法とは、建物と土地について定めた特別な賃貸借契約の規定です。賃貸人に比べ立場も弱く、経済的にも不利がある借家人や借地人を保護するために、民法の規定を修正したり補った法律が借地借家法です。

借地借家法で保護される「借家」とは、建物賃貸借に適用されます。一時使用や、無料で建物を借りる場合には、借地借家法は適用されません。借地借家法で保護される「借地」とは、土地を借りて建物を建て、そこで生活する場合に適用されます。建物所有を目的とする地上権、土地の賃借権も借地権として適用されます

借地権を持つ(土地を借りた)者を「借地権者」といい、
借地権を設定した(土地を貸した)者を「借地権設定者」といいます。
建物の場合は、通常通り、「賃貸人」「賃借人」です。

借地借家法は丸々2問出題されますので、最低1点、できれば2点をここで確保しておきましょう。さすがに2問出題されるだけあってボリュームもありますが、決して難しくはありません。深入りは禁物でコツコツと覚えていってください。
では、借家権と借地権の出題ポイントを見ていきます!

■借家権

1.建物賃貸借の存続期間については、存続期間を定める場合と、期間の定めのない場合がある。

存続期間を定める場合、最短期間・最長期間について制限はありません。ただし、期間を1年未満とした場合は、期間の定めがないものとなります。

2.期間の定めがある建物賃貸借をする場合、公正証書等の書面によって契約をすれば、その存続期間を1年未満とすることもできる。

契約の更新をしない旨の特約を定めることもできます。賃貸人は賃借人に対して書面を交付し、賃貸借契約は更新されず期間の満了により終了する旨をあらかじめ説明しなければなりません。

3.建物賃貸借に存続期間の定めがある場合、賃貸人または賃借人のどちらかが、期間満了の1年前から6ヶ月前までに、相手方に対して更新拒絶の通知をしなければ、その借家契約は、前の借家契約と同じ条件で更新したものとみなされる。

賃貸人から更新拒絶の通知をする場合は、正当事由が必要です。正当事由ある更新拒絶の通知がなされたにも関わらず、賃借人が期間満了後もそのまま建物の使用を継続している場合、賃貸人は遅滞なく異議を述べなければ、借家権は更新されてしまいます。この意義に正当事由は必要ありません

4.建物賃貸借に存続期間の定めがない場合、賃貸人または賃借人は、いつでも解約の申入れができ、賃貸人からの解約申入れの場合は6ヶ月後、賃借人からの解約申入れの場合は3ヶ月後に、それぞれ賃貸借契約は終了する。

賃貸人から解約を申し入れる場合は、正当事由が必要です。正当事由ある解約申入れがなされ6ヶ月が経過したにも関わらず、賃借人がそのまま建物の使用を継続している場合、賃貸人は遅滞なく異議を述べなければ、借家権は更新されてしまいます。この意義に正当事由は必要ありません

5.賃借人は、賃貸人の同意を得て付加した造作物(畳やふすまなど建物から分離できるもの)を、賃貸借契約終了時に、賃貸人に対して時価で買い取るよう請求することができる(造作買取請求権)。

造作買取請求権を認めない旨の特約も有効です。造作買取請求権の行使による建物明渡義務と代金支払義務は同時履行の関係に立ちません(建物の明渡しが先)。

6.民法の賃貸借契約と同様、賃貸人の承諾を得れば、借家を転貸したり、借家権を譲渡することができる。賃貸人に無断で転貸・譲渡した場合は、原則として、賃貸人は賃貸借契約を解除することができる。

賃貸人と賃借人の賃貸借契約が終了した場合、転貸借契約も終了します。
以下、例外です。

賃貸借契約が「期間満了」または「解約申入れ」により終了した場合は、賃貸人が転借人に対してそのことを通知しないと、賃貸人は、賃貸借契約の終了を転借人に対抗することができません。賃貸借契約が「賃借人の債務不履行」を理由に解除された場合は、賃貸借契約の終了とともに転貸借契約も当然に終了し、賃貸人はその効果を転借人に対抗することができます。また、賃貸借契約が「合意解除」により終了した場合は、賃貸人はその効果を転借人に対抗することができません。

7.租税価格の増減や地価高騰などにより、現在の借賃が不相当となった場合、当事者(賃貸人または賃借人)は、借賃の増額・減額を請求することができる。

増額をしない特約がある場合、その特約期間内の増額請求は認められません(減額しない旨の特約は無効)。10万円の家賃が高値であるとして1月に賃借人が8万円にするよう借賃減額請求をし、賃貸人がそれに応じず裁判となり、5月に賃料を9万円とする決定が出た場合、賃借人は5月からではなく、1月以降の賃料を9万円で支払えばよいことになります。1〜4月は、お互いに自己が相当と認める額を請求するなり、支払っておけば債務不履行などの問題は生じません。

8.期限が到来すれば必ず賃貸借が終了する定期借家契約として、定期建物賃貸借、取壊し予定建物の期限付き賃貸借の2種類がある。

どちらも書面(書面の種類は問わない)で行う必要があります。1年未満の定めをした場合でも、その期間がそのまま有効となります。期間1年以上の契約をした場合、賃貸人は、期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に、賃借人に対して期間満了により契約が終了する旨の通知をする必要があります。通知を忘れた場合でも、その後の通知から6ヶ月後に賃貸借は終了します。

床面積200u未満の居住用建物の定期建物賃貸借において、やむを得ない事情で自己の本拠としての使用が困難になったときに限り、賃借人から1ヶ月の予告期間で中途解約の申入れをすることが認められています。

借地権

1.借地権の存続期間は30年以上でなければならない。

通常の借地契約の存続期間は、最短でも30です。存続期間を30年未満と約定した場合、その存続期間は30年とされます。30年以上を定めた場合は、その期間が存続期間となります。借家とは異なり期間の定めのない契約は認められず、契約期間を特に定めなかった場合は30年となります。

2.存続期間の満了後、建物を有する借地権者が契約の更新を請求した場合、原則として前の契約と同じ条件で更新されたものとみなされる。

借地権設定者が遅滞なく異議を述べた場合は、契約の更新はなされません。この意義を述べるには正当事由が必要です。借地権者が契約の更新を請求しなくても、土地の使用を継続し、土地上に建物がある場合は、借地権設定者が異議を述べない限り、借地契約は更新されます。この意義を述べるにも正当事由が必要です。

更新後の存続期間→ 最初の更新:最短20 2回目以降:最短10
更新後の期間を定めなかったときは自動的に最初の更新20年、2回目以降10

3.借地権の存続期間満了前に借地上の建物が滅失した場合でも、借地権は消滅しない。

残存期間を超えて存続する建物を再築した場合、借地権の期間は延長されます。ただし、借地権設定者の承諾が必要です。借地権者が承諾を求めたのに2ヶ月以内に異議を述べなかったときは承諾があったものとみなされます。延長される借地権の期間は、承諾の日、または建物が築造された日の、いずれか早い日から20となります。

4.借地契約が更新されない場合、借地権者は、借地権設定者に対して建物を時価で買い取るよう請求することができる(建物買取請求権)。

借地権者の債務不履行により借地権契約が解除された場合は、建物買取請求権は認められません。建物買取請求権の行使による土地明渡義務と代金支払義務は同時履行の関係に立ちます(造作買取請求権と比較)。

5.借地権の登記をしなくても、借地上の建物が登記されていれば、借地権を第三者に対抗することができる。

建物の登記は、借地権者本人名義でしなければなりません。建物が滅失した場合、建物の登記により第三者に借地権を対抗できなくなります。そこで、建物が滅失した場合は、当該建物を特定するために必要な事項など一定の掲示を借地上の見やすい場所にすることにより、建物滅失の日から2年間に限り借地権の対抗力を持続させることができます。対抗力を継続させるには、その2年が経過するまでに、建物を再築してその建物の登記をする必要があります。

6.第三者に借地権を譲渡したり借地を転貸するには、借地権設定者の承諾が必要である。

借地権者の申立てにより、裁判所は借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができます。借家権の譲渡・建物の転貸の場合は、裁判所の許可はありませんので区別しておいてください。

借地上の建物賃貸 → 借地権設定者の承諾不要
借地権者が借地上の自己の所有建物を譲渡 → 借地権設定者の承諾必要

7.定期借地権という、期間の更新がない特殊な借地権を3つ覚えておいてください。

長期定期借地権
期間50年以上(利用目的制限なし)、建物買取請求権なし、書面必要(種類問わない)。期間満了により終了し、建物を収去して更地で返還します。

建物譲渡特約付き借地権
期間30年以上(利用目的制限なし)、建物譲渡特約あり、書面不要。建物買取により終了し、建物は借家契約として継続されます。

事業用借地権
期間10年以上50年未満(事業用に限る)、建物買取請求権なし、書面必要(公正証書)。期間満了により終了し、建物を収去して更地で返還します。

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