農地法のひっかけ問題対策

法令上の制限で最も落とせない『農地法』から、絶対役立つ法令制限スタートです。尚、前提知識の補足は「実はかんたん法令制限」の農地法でご確認ください。空欄の問題を含む完全版は、宅建インプリご注文者様への付属となっています(1問ごとに問題の下に解説を置き、より見やすく、より覚えやすくなっています)。

宅建ひっかけ問題!農地法

(2018年1月のメルマガより)

今回より「絶対役立つ法令制限」を開始します。宅建業法や権利関係の民法から勉強を始める方は多いと思います。法令上の制限からやっつけるか~という受験生は皆無でしょう。

まだ1月、初めての宅建受験なら法令上の制限には手を付けていない方がほとんどだと思いますので、ゆっくりと配信していきます。宅建業法や民法の勉強がだいぶ進んだ頃に、「法令上の制限も片づいていた!」という状態に持っていきますので、遅れずについてきてください。

ゆっくりと杉山が個人的に「覚えておいて欲しい順」でお送りしていきます。出題順やテキストの並び順は無視です。闇雲に勉強するのではなく、覚えるべきところから覚え、「間違えやすいひっかけ知識」を押さえ、法令上の制限で「最低でも6点」以上、6~8点を取っていただきます(出題数は8問)。「絶対役立つ宅建業法」より基本問題も多めに、重要なひっかけ問題をできるだけシンプルに出題していきます。初受験の方にも、リベンジを誓う2回目3回目・・の受験生にも、法令制限を網羅する内容となっています。

では、ものすごく重要なので少し多めですが、宅建合格のために法令上の制限で絶対に1点を確保すべき第1位、「農地法」から見ていきましょう!とても簡単です。


【問1】土地区画整理事業の施行地区内にある農地で、耕作の用に供されているものは、仮換地の指定処分があっても農地法上の農地である。

【問2】農業者が山林原野を取得するには農地法3条の許可を要し、当該山林原野を農地として造成するときには農地法4条の許可を要する。

【問3】農地について賃貸借契約を締結するには農地法3条の許可を要するが、無償契約である使用貸借契約を締結するには農地法3条の許可を要しない。

【問4】ー

【問5】ー

【問6】ー

【問7】宅地に転用するため農地の売買契約を締結する場合、「農地の所有権移転時期は契約から1年後」と定めていれば、売買契約締結時に農地法5条の許可を要しない。

【問8】土地収用法第3条に規定する事業(土地を収用し、または使用することができる事業)の用に供するための農地取得について、農地法5条の許可を要しない。

【問9】国や都道府県または市町村が転用目的で農地を取得する場合、原則として農地法5条の許可を要しない。

【問10】ー

【問11】ー

【問12】ー

【問13】相続により農地を取得する場合は農地法3条の許可を要しないが、特定遺贈により農地を取得する相続人は農地法3条の許可を要する。

【問14】ー

【問15】ー

【問16】農業者が、農業用倉庫として利用する目的で自己所有の2アールの農地を転用する場合、農地法4条の許可を要する。

【問17】ー

宅建合格
基本の基本ですが、3条許可=権利移動4条許可=転用5条許可=転用目的で権利移となります。宅地に転用するため農地を取得するには、3条許可+4条許可ではなく5条許可となりますね。農地の一部を資材置き場にするなら4条許可、その資材置き場を誰かに貸すつもりで取得するなら5条許可が必要となります。

以下、解答です。これで1点ゲットです!


【1…〇】法令制限がいきなり嫌いになりそうな難しい言葉を並べてみましたが、土地区画整理事業だろうと仮換地だろうと登記簿上は山林だろうと、「現況が農地」ならば農地法上の農地です。

【2…×】農業者でもサラリーマンでも、現に農地ではない山林原野を取得するのに農地法3条許可は不要です。そして、農地でないものを農地に転用するのに農地法4条許可(=農地を転用するのに必要)も不要です。

【3…×】使用貸借のような無償契約であっても使用収益権が移転すると言えますよって、使用貸借契約も農地法3条の許可が必要となります(使用収益権が移転しない抵当権の設定などは農地法3条許可不要)。本試験でもよく見られますが、「無償契約である使用貸借契約」のように、あたかも正しいかのように理由付けをしている記述は誤りであることが多いですね。正解肢に自信がないときは、解答テクニックの一つとして覚えておきましょう。

【4】ー

【5】ー

【6】

【7…〇】農地法3条および5条許可が必要となるのは、「権利を設定し、または移転する」時点です。所有権が移転する1年後までに許可を得れば問題ありません。

【8…×】土地収用法により農地が収用される場合は許可不要となりますが、本肢の場合は「土地収用事業の用に供する」としかありませんので、土地収用法に基づく収用ではなく、単に任意買収かもしれません。よって許可不要とは言い切れず誤りとなります。30年近く前に出題された意地悪問題ですが、念のため。

【9…×】国や都道府県が転用目的で農地を取得する場合は、原則として農地法5条の許可は不要(協議が成立すればよい。解答10参照)ですが、市町村は原則として許可が必要となります。

【10】ー

【11】ー

【12】ー

【13…×】相続人でない者が特定遺贈により農地を取得するには許可が必要となりますが、相続人が、遺産分割、包括遺贈、特定遺贈により農地を取得する場合に農地法3条の許可は不要です(遅滞なく農業委員会に届け出る)。また、4条5条許可に相続で不要となる例外はありませんので注意してください。

【14】ー

【15】ー

【16…〇】耕作を行う者が、「2アール未満の自己所有農地」を農作物の育成または養畜事業のための農業用施設に転用する場合、農地法4条の許可は不要となります。本肢は2アール「未満」ではないので許可が必要です。他人の農地を農業用施設に供するため取得するには2アール未満でも5条許可が必要ですので注意してください。

【17】ー


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