法令上の制限 土地区画整理法 重要度 ★★★★☆


今回は「土地区画整理法」についてお話いたします。

覚えることが多く、しかも複雑で大変です。かなり広い範囲から1問しか出題されません。しかしここを捨てるのは賢明とは言えません。どこから出題されるか分からない都市計画法や建築基準法と違い、土地区画整理法を確実に押さえておけば1点を拾えるからです。

ここは軽くで済ませて宅建業法などに力をいれる!という方でも、最低限ポイントは覚え、「仮換地」と「換地処分」は押さえておいてください。仮換地と換地処分は星5つです。最も出題可能性が高いのはこの2つでしょう。

土地区画整理事業の流れとしては、施行者の決定 → 事業計画の決定・認可等の公告 → 換地計画 → 知事の計画認可→ 施行 → 換地処分の公告となります。では、順番に見ていきます!

土地区画整理事業とは

都市計画区域内の土地について、公共施設の整備改善、宅地の利用増進を図るために行われる土地の区画形質の変更および公共施設の新設・変更に関する事業をいう。つまり道路や公園のような公共施設の整備や改善、袋地の解消、不整形な宅地を形の良い宅地にするなどの事業を土地区画整理事業といいます。土地区画整理事業は、都市計画区域内でしか施行できないという点は重要です。

土地区画整理事業の施行者

土地区画整理事業を施行することができる者は以下の7種類です。

1.個人(宅地の所有者および借地権者またはこれらの者から同意を得た者)
2.
土地区画整理組合(宅地の所有者および借地権者の7人以上が共同して設立)
3.土地区画整理会社(地権者と民間事業者が共同で設立する株式会社または有限会社)
4.地方公共団体(都道府県、市町村)
5.国土交通大臣
6.独立行政法人都市再生機構
7.地方住宅供給公社

1〜3の
民間施行、4〜7の公的施行があるということを覚えておいてください。

土地区画整理事業の手法

土地区画整理事業は、
減歩(げんぷ)と換地処分という手法で行われます。

1.減歩
施行区域内の各筆の土地所有者から一定の割合(減歩率)で土地を提供させること。この土地を公共用施設の用地と保留地にあてる。減歩は通常、土地の無償提供によってなされる。

2.換地処分(下でより詳しく)
減歩によって生み出された土地は各地に分散しているので、これを公共用施設の用地や保留地に集めなければならず、道路や公園を新しく作る場合はその用地にあたる宅地は他の場所へ移さなければならない。このような
場所的移動を換地といい、区画整理事業が終了した後にこの換地を法律的にも従前の宅地とみなすことを換地処分という。

土地区画整理事業の手続き

1.事業計画:土地区画整理事業の基本事項についての方針を示す

2.認可:土地区画整理事業の施行には
都道府県知事または国土交通大臣の認可が必要(土地区画整理組合または区画整理会社が認可の申請をしようとする場合、定款(規準)および事業計画について施行地区となる区域内の宅地所有者3分の2以上、借地権者3分の2以上の同意を得る必要がある)

3.換地計画:施行者は換地処分を行うために、
必ず換地計画を定める(施行者が個人、土地区画整理組合、市町村、地方住宅供給公社である場合、その換地計画について都道府県知事の認可を受けなければならない)

換地照応の原則

換地計画において換地を定める場合には、換地および従前の宅地の位置、地積、土質、水利、利用状況、環境等が照応するように定めなければならない。分かりやすく言うと、土地区画整理事業後に割り当てられる土地は、区画整理をする前の土地と同じような条件のものにする、ということです。

清算金

換地照応の原則の例外として、宅地所有者の申出または同意があった場合には、換地計画でその宅地の全部または一部について換地を定めないとすることができる。この場合、清算金で清算することになります。清算金額に関すること(
清算金明細)は換地計画で定めるという点は重要です。

保留地

宅地の整地費等の土地区画整理事業費用を生み出すため、一定の土地を換地として定めず、その土地を保留地として定めることができる。

保留地を定めることができるケース⇒
個人、組合、整理会社:
施行費用に充てるためor規準・規約・定款で定める目的のため
地方公共団体等:
施行費用に充てるため

地方公共団体等が保留地を定める場合は、
施行後の宅地の総額が施行前の宅地の総額を上回る範囲内においてしか保留地を定めることはできません。換地計画で定められた保留地は、換地処分の公告があった日の翌日において施行者が取得します。

仮換地

土地区画整理事業は換地処分をもって終了しますが、事業の中途で仮換地の指定が行われることがあります。換地処分前に、仮に換地として指定される土地を
仮換地といいます。

仮換地の指定は、
仮換地となるべき土地の所有者および従前の宅地所有者に対し、仮換地の位置および地積ならびに仮換地の指定の効力発生日を通知して行います。なお、仮換地の指定には次の条件が必要となります。

個人:従前の宅地所有者等および仮換地となるべき宅地所有者等の同意
組合:総会もしくはその部会または総代会の同意
会社:所有権者の3分の2以上の同意、借地権者の3分の2以上の同意
地方公共団体等:土地区画整理審議会の意見を聴く

そして仮換地が指定されると、従前の宅地について権原に基づき使用または収益できる者(=所有者、借地権者等)は、仮換地の指定の効力発生日から換地処分にかかる公告の日まで、
仮換地について従前の宅地と同じ内容の使用または収益をすることができるようになります(従前の宅地については使用・収益不可)。使用収益権が仮換地に移るのであり、所有権は従前の宅地のままですので注意です。

また、仮換地上に建物などがあり、その除却のために仮換地の指定の効力発生日とは別に仮換地の使用・収益開始日を定める場合は、
その日以後でなければ仮換地を使用・収益できないという点もご注意ください。

このように、使用収益権は仮換地に移りますが、所有権は従前の宅地のままですので、従前の宅地所有者は、従前の宅地を
売却したり抵当権を設定したりすることができます(登記をすることも可能 ← 逆に仮換地では登記不可)。

また最後に、仮換地に指定されなかった土地の管理についても覚えておいてください。換地計画において換地を定めない場合、施行者は必要に応じて、その換地を定めないこととされる宅地所有者に対し、期日を定めて当該宅地の
使用・収益を停止させることができます(この場合、施行者は損失を補償する)。

条文通りで何を言っているのか分かりにくいですが、要は、換地を定めないこととされた宅地の所有者に対して当該宅地の使用・収益を停止させることができる、ということです。仮換地の指定または上記の使用・収益の停止によって、使用・収益をする者がいなくなった従前の宅地は、換地処分の公告がある日まで
施行者が管理することになります。

換地処分

換地計画にかかる区域の全部について、事業施行者が遅滞なく、土地区画整理事業の工事完了後に従前の宅地所有者に対して換地を交付することを
換地処分といいます。区域の全部についてとありますが、規準・規約・定款・施行規定に別段の定めがあるときは、例外として一部の工事が終わっていない時点で行っても構いません。

換地処分は、
関係権利者(従前の宅地につき登記ある権利者や、未登記だが権利の申告をした権利者)に換地計画において定められた事項を通知して行い、そして、国土交通大臣または都道府県知事は、換地処分があった旨を公告しなければなりません。

換地処分の公告があった場合、施行者は直ちにその旨を換地計画にかかる区域を管轄する登記所に通知し、事業の施行にかかる権利変動があったときは
遅滞なく登記申請を行わなければなりません。施行者が変動の登記を申請するまでは、施行地区内の土地および建物につき他の登記をすることはできません(例外:確定日付ある書類で公告前の登記原因発生を証明した場合)。

また、換地処分が行われると、様々な効果が生じます。この効果発生日はすごく重要です。換地処分にかかる公告日の終了時か、公告日の翌日か、しっかり区別しておいてください。

1.公告日の終了時に効力発生(=消滅系)

仮換地の指定の効力の消滅
換地を定めなかった従前の宅地に存する権利の消滅
事業の施行により行使の利益がなくなった地役権の消滅(※)
建築行為等の制限の消滅

(※)通常の地役権は換地処分の公告日の翌日以後も従前の宅地の上に存する

2.公告日の翌日に効力発生(=確定系)

換地計画で定められた換地が従前の宅地とみなされること
換地計画で定められた清算金の確定
施行者による保留地の取得
土地区画整理事業により設置された公共施設が、所在する市町村の管理に属すること

建築行為等の制限

土地区画整理事業についての各認可等の公告があった日以後、換地処分の公告がある日までに施行区域内において次の行為をしようとする場合には許可を受ける必要があります。

許可を要する行為 ⇒
土地の形質の変更
建築物その他の工作物の新築、改築、増改築
・重量が5トンを超える物件の設置、堆積(たいせき)

許可権者 ⇒
都道府県知事
・市の区域内で個人、組合、区画整理会社、市が施行する場合は
市長(H24法改正)

[ 平成8年 宅建試験 問27 ]

 土地区画整理事業の施行地区において仮換地の指定がされた場合に関する次の記述のうち、土地区画整理法の規定によれば、正しいものはどれか。

1.仮換地の指定を受けて、その使用収益をすることができる者が、当該仮換地上で行う建築物の新築については、都道府県知事の許可が必要となる場合はない。
2.従前の宅地の所有者は、仮換地の指定により従前の宅地に抵当権を設定することはできなくなり、当該仮換地について抵当権を設定することができる。
3.従前の宅地の所有者は、換地処分の公告がある日までの間において、当該宅地を売却することができ、その場合の所有権移転登記は、従前の宅地について行うこととなる。
4.仮換地の指定を受けた者は、その使用収益を開始できる日が仮換地指定の効力発生日と別に定められている場合、その使用収益を開始できる日まで従前の宅地を使用収益することができる。


1 誤
:仮換地であっても、建築物の新築は建築行為等の制限にかかる場合がある
2 誤:従前の宅地の所有者であることには変わりないので抵当権の設定可(逆に仮換地不可)
3 正:2番と同様(登記も従前の宅地について行う)
4 誤:仮換地の指定を受けた者は、仮換地指定の効力が発生する日から仮換地を使用収益できる日まで、仮換地のみならず従前の宅地も使用収益できない。

[ 平成3年 宅建試験 問26 ]
 土地区画整理事業の換地処分に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1.換地処分は、換地計画において定められた関係事項を公告することにより行われる。
2.換地処分は、原則として換地計画に係る区域の全部について土地区画整理事業の工事が完了した後において行わなければならない。
3.土地区画整理事業の施行により行使する利益がなくなった地役権は、換地処分に係る公告があった日が終了した時において消滅する。
4.換地計画において定められた清算金は、換地処分に係る公告があった日の翌日において確定する。


1 誤
:換地計画において定められた事項を関係権利者に通知して行う
2 正:土地区画整理事業の工事完了後に遅滞なく行う
3 正:利益が残る地役権は従前の宅地の上に存続する点にも注意
4 正:確定=翌日と覚えておくと便利

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