平成25年-2013年の宅建試験問題と解説

とても役立つ年度別の解説付き宅建試験問題です。宅地建物取引業法=宅建業法などスッキリ略し、解説も要点だけに絞っています。要点を一気にチェックしながら平成25年(2013年)の通し問題を見ていきましょう。

平成25年(2013年)宅建試験問題と解説
平成25年(2013年)宅建試験問題
1.権利関係の問題 問1~14
 2.宅建業法の問題 問26~45
  3.法令制限の問題 問15~22
 4.税その他の問題 問23~25
5.税その他の問題 問46~50


【問 1】 次の記述のうち、民法の条文に規定されているものはどれか。

1 意思表示に法律行為の重要な錯誤があった場合は、表意者は、その意思表示を取り消すことができる旨
2 贈与者は、贈与の目的である物又は権利の瑕疵(かし)又は不存在を知りながら受贈者に告げなかった場合は、その物又は権利の瑕疵(かし)又は不存在の責任を負う旨
3 売買契約の目的物に隠れた瑕疵(かし)がある場合には、買主は、その程度に応じて代金の減額を請求することができる旨
4 多数の相手方との契約の締結を予定してあらかじめ準備される契約条項の総体であって、それらの契約の内容を画一的に定めることを目的とするものを約款と定義する旨

⇒正解() 条文で定められているかどうか問題。何となく分かりそうですが…。
1:そもそも要素の錯誤は無効なので、条文に規定されているかどうか以前の問題です。改正民法により取消事由として条文化されました。「要素の錯誤」も「重要な錯誤」となっています。
2:むしろこの条文が改正民法により削除されました(負担付き贈与の場合は責任を負う)。
3:改正民法により契約不適合がある場合は代金減額請求ができる旨が条文化されています。



【問 2】 未成年者に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 父母とまだ意思疎通することができない乳児は、不動産を所有することができない。
2 営業を許可された未成年者が、その営業のための商品を仕入れる売買契約を有効に締結するには、父母双方がいる場合、父母のどちらか一方の同意が必要である。
3 男は18歳に、女は16歳になれば婚姻することができるが、父母双方がいる場合には、必ず父母双方の同意が必要である。
4 Aが死亡し、Aの妻Bと嫡出でない未成年の子CとDが相続人となった場合に、CとDの親権者である母EがCとDを代理してBとの間で遺産分割協議を行っても、有効な追認がない限り無効である。

⇒正解(4)
1:法的権利の主体となるためには権利能力(出生時に取得)があれば足ります(不動産の売却等を行うには行為能力が必要となります)。
2:許可された営業に関しては成年者として扱われるため、法定代理人の同意は不要です。
3:未成年者は、父母の一方の同意があれば婚姻をすることができます。男女共に婚姻が可能な年齢は18歳となり、父母の同意制度はなくなりました。
4:親権者が複数の子を代理して遺産分割協議を行うことは利益相反行為となり、追認がない限り無効です。



【問 3】 甲土地の所有者Aが、他人が所有している土地を通行することに関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 甲土地が他の土地に囲まれて公道に通じない場合、Aは、公道に出るために甲土地を囲んでいる他の土地を自由に選んで通行できるわけではない。
2 甲土地が共有物分割によって公道に通じなくなった場合、Aは、公道に出るために、通行のための償金を支払うことなく、他の分割者の土地を通行することができる。
3 甲土地が公道に通じているか否かにかかわらず、他人が所有している土地を通行するために当該土地の所有者と賃貸借契約を締結した場合、Aは当該土地を通行することができる。
4 甲土地の隣接地の所有者が自らが使用するために当該隣接地内に通路を開設し、Aもその通路を利用し続けると、甲土地が公道に通じていない場合には、Aは隣接地に関して時効によって通行地役権を取得することがある。

⇒正解(4)
1:必要かつ最も損害が少ないルートを通行することを要します。
3:通行地役権や囲繞地通行権の問題ではありませんね。賃借した土地を通れるのは当然です。
4:通行地役権は時効取得できますが、自ら通路を開設していることが必要です。



【問 4】 留置権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 建物の賃借人が賃貸人の承諾を得て建物に付加した造作の買取請求をした場合、賃借人は、造作買取代金の支払を受けるまで、当該建物を留置することができる。
2 不動産が二重に売買され、第2の買主が先に所有権移転登記を備えたため、第1の買主が所有権を取得できなくなった場合、第1の買主は、損害賠償を受けるまで当該不動産を留置することができる。
3 建物の賃貸借契約が賃借人の債務不履行により解除された後に、賃借人が建物に関して有益費を支出した場合、賃借人は、有益費の償還を受けるまで当該建物を留置することができる。
4 建物の賃借人が建物に関して必要費を支出した場合、賃借人は、建物所有者ではない第三者が所有する敷地を留置することはできない。

⇒正解(4)
1:造作買取請求権で建物を留置することはできません。
2:損害賠償請求権の債務者は売主、引渡請求権者は第二買主であり、債務者に債務の履行を強制する関係となっていません。
3:占有が不法に始まった場合に留置権は成立しません。
4:建物について留置権を主張できるとしても、当然に土地の留置権を主張できるわけではありません。



【問 5】 抵当権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 債権者が抵当権の実行として担保不動産の競売手続をする場合には、被担保債権の弁済期が到来している必要があるが、対象不動産に関して発生した賃料債権に対して物上代位をしようとする場合には、被担保債権の弁済期が到来している必要はない。
2 抵当権の対象不動産が借地上の建物であった場合、特段の事情がない限り、抵当権の効力は当該建物のみならず借地権についても及ぶ。
3 対象不動産について第三者が不法に占有している場合、抵当権は、抵当権設定者から抵当権者に対して占有を移転させるものではないので、事情にかかわらず抵当権者が当該占有者に対して妨害排除請求をすることはできない。
4 抵当権について登記がされた後は、抵当権の順位を変更することはできない。

⇒正解(2) 細かい1番でつまづきますが、次の正解肢が簡単すぎます。
1:賃料債権に物上代位をする場合も、被担保債権の弁済期が到来していることを要します。
2:借地上の建物に設定した抵当権の効力は、特段の事情がない限り借地権にも及びます
3:抵当権者は、不法占有者に対して妨害排除請求権を代位行使することができます。
4:抵当権の登記後も、順位変更登記は可能です(利害関係人がいるときは承諾必要)。



【問 6】 A銀行のBに対する貸付債権1,500万円につき、CがBの委託を受けて全額について連帯保証をし、D及びEは物上保証人として自己の所有する不動産にそれぞれ抵当権を設定していた場合、次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 CがA銀行に対して債権全額について保証債務を履行した場合、Cは、D及びEの各不動産に対する抵当権を実行して1,500万円を回収することができる。
2 A銀行がDの不動産の抵当権を実行して債権全額を回収した場合、DはCに対して、1,000万円を限度として求償することができる。
3 第三者がDの所有する担保不動産を買い受けた後、CがA銀行に対して債権全額を弁済した場合、Cは代位の付記登記をしなければ、当該第三者に対してA銀行に代位することができない。
4 Eの担保不動産を買い受けた第三者がA銀行に対して債権全額を弁済した場合、当該第三者は、Cに対して、弁済した額の一部を求償することができる。

⇒正解(4) あまり気にしないほうがいい問題ですね。
1:自らの負担部分500万円を除いた1000万円について代位可能です。
2:Cの負担部分500万円について求償することができます。
3:無視!
4:第三取得者は連帯保証人に対して求償することができます。



【問 7】 次の1から4までの記述のうち、民法の規定及び下記判決文によれば、誤っているものはどれか。

(判決文)
期間の定めのある建物の賃貸借において、賃借人のために保証人が賃貸人との間で保証契約を締結した場合には、反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情のない限り、保証人が更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを負う趣旨で合意がされたものと解するのが相当であり、保証人は、賃貸人において保証債務の履行を請求することが信義則に反すると認められる場合を除き、更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを免れないというべきである。

1 保証人が期間の定めのある建物の賃貸借の賃借人のために保証契約を締結した場合は、賃貸借契約の更新の際に賃貸人から保証意思の確認がなされていなくても、反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情がない限り、更新後の賃借人の債務について保証する旨を合意したものと解される。
2 期間の定めのある建物の賃貸借の賃借人のための保証人が更新後の賃借人の債務についても保証の責任を負う趣旨で合意した場合には、賃借人の未払賃料が1年分に及んだとしても、賃貸人が保証債務の履行を請求することが信義則に反すると認められる事情がなければ、保証人は当該金額の支払義務を負う。
3 期間の定めのある建物の賃貸借の賃借人のための保証人が更新後の賃借人の債務についても保証の責任を負う場合、更新後の未払賃料について保証人の責任は及ぶものの、更新後に賃借人が賃借している建物を故意又は過失によって損傷させた場合の損害賠償債務には保証人の責任は及ばない。
4 期間の定めのある建物の賃貸借の賃借人のための保証人が更新後の賃借人の債務についても保証の責任を負う旨の合意をしたものと解される場合であって、賃貸人において保証債務の履行を請求することが信義則に反すると認められるときには、保証人は更新後の賃借人の債務について保証の責任を負わない。

⇒正解(3) 時間はかかりますが、よく読めば知識がなくても解ける問題。建物賃貸借の保証人は、更新後も保証が続くけど例外もある…といった主旨ですね。



【問 8】 次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 倒壊しそうなA所有の建物や工作物について、Aが倒壊防止の措置をとらないため、Aの隣に住むBがAのために最小限度の緊急措置をとったとしても、Aの承諾がなければ、Bはその費用をAに請求することはできない。
2 建物所有を目的とする借地人は、特段の事情がない限り、建物建築時に土地に石垣や擁壁の設置、盛土や杭打ち等の変形加工をするには、必ず賃貸人の承諾を得なければならない。
3 建物の賃貸人が必要な修繕義務を履行しない場合、賃借人は目的物の使用収益に関係なく賃料全額の支払を拒絶することができる。
4 建物の賃貸人が賃貸物の保存に必要な修繕をする場合、賃借人は修繕工事のため使用収益に支障が生じても、これを拒むことはできない。

⇒正解(4) シンプルなようで細かい知識を問う難問の部類。
1:有益な事務管理費用は償還請求ができます。
2:建物所有のために合致する行為は賃借人の当然の権利として承諾は不要です。
3:賃貸人が修繕義務を履行しないため、住むことが不可能または著しく支障を生ずる場合は賃料全額の支払いを拒むことができますが、そこまでに至ってない場合は賃料全額の支払いを拒むことはできません。
4:賃借人の使用収益に影響があるとしても、賃貸人が行う保存に必要な修繕行為を賃借人が拒むことはできません



【問 9】 Aに雇用されているBが、勤務中にA所有の乗用車を運転し、営業活動のため顧客Cを同乗させている途中で、Dが運転していたD所有の乗用車と正面衝突した(なお、事故についてはBとDに過失がある。)場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 Aは、Cに対して事故によって受けたCの損害の全額を賠償した。この場合、Aは、BとDの過失割合に従って、Dに対して求償権を行使することができる。
2 Aは、Dに対して事故によって受けたDの損害の全額を賠償した。この場合、Aは、被用者であるBに対して求償権を行使することはできない。
3 事故によって損害を受けたCは、AとBに対して損害賠償を請求することはできるが、Dに対して損害賠償を請求することはできない。
4 事故によって損害を受けたDは、Aに対して損害賠償を請求することはできるが、Bに対して損害賠償を請求することはできない。

⇒正解(1) 流行りの使用者責任。今後も出題可能性が高いと思います。
2:使用者は被用者に対して、信義則上相当と認められる額を求償することができます
3:共同不法行為者であるDにも損害賠償請求をすることができます。
4:使用者Aにも加害者Bにも損害賠償請求をすることができます。



【問 10】 婚姻中の夫婦AB間には嫡出子CとDがいて、Dは既に婚姻しており嫡出子Eがいたところ、Dは平成25年10月1日に死亡した。他方、Aには離婚歴があり、前の配偶者との間の嫡出子Fがいる。Aが平成25年10月2日に死亡した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 Aが死亡した場合の法定相続分は、Bが2分の1、Cが5分の1、Eが5分の1、Fが10分の1である。
2 Aが生前、A所有の全財産のうち甲土地についてCに相続させる旨の遺言をしていた場合には、特段の事情がない限り、遺産分割の方法が指定されたものとして、Cは甲土地の所有権を取得するのが原則である。
3 Aが生前、A所有の全財産についてDに相続させる旨の遺言をしていた場合には、特段の事情がない限り、Eは代襲相続により、Aの全財産について相続するのが原則である。
4 Aが生前、A所有の全財産のうち甲土地についてFに遺贈する旨の意思表示をしていたとしても、Fは相続人であるので、当該遺贈は無効である。

⇒正解(2) やや細かい相続問題ですが、正解しておきたいところ。
1:B1/2、CEF各1/6。
3:原則として、遺言者の死亡前に受遺者が死亡していたときは、遺言は効力を生じません(=代襲相続されない)。
4:相続人に対して特定遺贈をすることも可能です。



【問 11】 Aは、A所有の甲建物につき、Bとの間で期間を10年とする借地借家法第38条第1項の定期建物賃貸借契約を締結し、Bは甲建物をさらにCに賃貸(転貸)した。この場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。

1 BがAに無断で甲建物をCに転貸した場合には、転貸の事情のいかんにかかわらず、AはAB間の賃貸借契約を解除することができる。
2 Bの債務不履行を理由にAが賃貸借契約を解除したために当該賃貸借契約が終了した場合であっても、BがAの承諾を得て甲建物をCに転貸していたときには、AはCに対して甲建物の明渡しを請求することができない。
3 AB間の賃貸借契約が期間満了で終了する場合であっても、BがAの承諾を得て甲建物をCに転貸しているときには、BのCに対する解約の申入れについて正当な事由がない限り、AはCに対して甲建物の明渡しを請求することができない。
4 AB間の賃貸借契約に賃料の改定について特約がある場合には、経済事情の変動によってBのAに対する賃料が不相当となっても、BはAに対して借地借家法第32条第1項に基づく賃料の減額請求をすることはできない。

⇒正解(4)
1:無断転貸に背信的行為が認められれば解除することができます。
2:元の賃貸借が賃借人の債務不履行により終了した場合、転貸借も当然に終了します(AはBにのみ催告)。
3:定期建物賃貸借契約は、期間満了により正当事由の有無に関係なく終了します(AはCに通知しなければ対抗不可)。
4:定期建物賃貸借契約で、借賃の増減額請求をしない特約も有効です(普通賃貸借で減額しない特約は効力を生じない点と比較)。



【問 12】 賃貸借契約に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。

1 ゴルフ場経営を目的とする土地賃貸借契約については、対象となる全ての土地について地代等の増減額請求に関する借地借家法第11条の規定が適用される。
2 借地権の存続期間が満了する際、借地権者の契約の更新請求に対し、借地権設定者が遅滞なく異議を述べた場合には、借地契約は当然に終了する。
3 二筆以上ある土地の借地権者が、そのうちの一筆の土地上に登記ある建物を所有し、登記ある建物がない他方の土地は庭として使用するために賃借しているにすぎない場合、登記ある建物がない土地には、借地借家法第10条第1項による対抗力は及ばない。
4 借地権の存続期間が満了する前に建物が滅失し、借地権者が残存期間を超えて存続すべき建物を建築した場合、借地権設定者が異議を述べない限り、借地権は建物が築造された日から当然に20年間存続する。

⇒正解(3) 正解肢は常識的にも簡単ですが、全体的に細かい問題。
1:ゴルフ場経営目的は建物所有を目的とする土地賃貸借とはいえないので、借地権は適用されません。
2:「正当事由があり」遅滞なく意義を述べると終了します。
4:20年の存続には借地権設定者の承諾が必要で、承諾があった日または築造日のどちらか早い日から20年間存続することになります。尚、借地権者の通知に対して借地権設定者が2ヶ月以内に異議を述べなかった場合は承諾とみなされるという点も重要です。



【問 13】 建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して議決権を行使することができる。
2 区分所有者の請求によって管理者が集会を招集した際、規約に別段の定めがある場合及び別段の決議をした場合を除いて、管理者が集会の議長となる。
3 管理者は、集会において、毎年一回一定の時期に、その事務に関する報告をしなければならない。
4 一部共用部分は、区分所有者全員の共有に属するのではなく、これを共用すべき区分所有者の共有に属する。

⇒正解(1)2秒で解くべき問題。
1:意見を述べることができるだけで、議決権はありません。
4:共用部分は区分所有者全員の共有で、一部共用部分はそれを共用する区分所有者が共有します。



【問 14】 不動産の登記に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 所有権の登記名義人が表示に関する登記の申請人となることができる場合において、当該登記名義人について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人は、当該表示に関する登記を申請することができる。
2 共有物分割禁止の定めに係る権利の変更の登記の申請は、当該権利の共有者である全ての登記名義人が共同してしなければならない。
3 敷地権付き区分建物の表題部所有者から所有権を取得した者は、当該敷地権の登記名義人の承諾を得ることなく、当該区分建物に係る所有権の保存の登記を申請することができる。
4 所有権に関する仮登記に基づく本登記は、登記上の利害関係を有する第三者がある場合には、当該第三者の承諾があるときに限り、申請することができる。

⇒正解(3)
2:原則である権利者と義務者による共同申請や、例外である単独申請とはまた別に、共有物不分割特約や抵当権の順位変更の登記は合同申請となります。
3:敷地権付き区分建物の表題部所有者から所有権を取得した者が所有権保存登記を申請するには、当該敷地権の登記名義人の承諾を要します。
4:所有権の仮登記に基づく本登記をするには利害関係人の承諾が必要です。



【問 15】 都市計画法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 都市計画施設の区域又は市街地開発事業の施行区域内において建築物の建築をしようとする者であっても、当該建築行為が都市計画事業の施行として行う行為である場合には都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長)の許可は不要である。
2 用途地域の一つである特定用途制限地域は、良好な環境の形成又は保持のため当該地域の特性に応じて合理的な土地利用が行われるよう、制限すべき特定の建築物等の用途の概要を定める地域とする。
3 都市計画事業の認可の告示があった後においては、当該事業地内において、当該都市計画事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更又は建築物の建築その他工作物の建設を行おうとする者は、都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長)の許可を受けなければならない。
4 一定の条件に該当する土地の区域における地区計画については、劇場、店舗、飲食店その他これらに類する用途に供する大規模な建築物の整備による商業その他の業務の利便の増進を図るため、一体的かつ総合的な市街地の開発整備を実施すべき区域である開発整備促進区を都市計画に定めることができる。

⇒正解(2)
1:都市計画施設区域または市街地開発事業施行区域内において建築物の建築をしようとする場合でも、都市計画事業の施行として行う行為、軽易な行為、非常災害のため応急措置として行う行為は例外として許可不要となります。
2:特定用途制限地域は、用途地域が定められていない土地の区画内(市街化調整区域を除く)で定められます。出だしで間違えている意外と盲点なレアパターン。



【問 16】 都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 開発行為とは、主として建築物の建築の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更を指し、特定工作物の建設の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更は開発行為には該当しない。
2 市街化調整区域において行う開発行為で、その規模が300平方メートルであるものについては、常に開発許可は不要である。
3 市街化区域において行う開発行為で、市町村が設置する医療法に規定する診療所の建築の用に供する目的で行うものであって、当該開発行為の規模が1,500平方メートルであるものについては、開発許可は必要である。
4 非常災害のため必要な応急措置として行う開発行為であっても、当該開発行為が市街化調整区域において行われるものであって、当該開発行為の規模が3,000平方メートル以上である場合には、開発許可が必要である。

⇒正解(3)
1:建築物の建築と、特定工作物の建設の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更を開発行為といいます。
2:市街化調整区域で開発許可が不要となる小規模開発の例外はありません
3:診療所や病院、学校は公益上必要な建築物にあたらず、市街化区域の開発行為で1000㎡以上なので許可が必要です。
4:非常災害のために必要な応急措置として行う場合や、公益上必要な建築物などは区域や面積を問わず開発許可が不要となります。



【問 17】 建築基準法に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア 一室の居室で天井の高さが異なる部分がある場合、室の床面から天井の一番低い部分までの高さが2.1m以上でなければならない。
イ 3階建ての共同住宅の各階のバルコニーには、安全上必要な高さが1.1m以上の手すり壁、さく又は金網を設けなければならない。
ウ 石綿以外の物質で居室内において衛生上の支障を生ずるおそれがあるものとして政令で定める物質は、ホルムアルデヒドのみである。
エ 高さが20mを超える建築物には原則として非常用の昇降機を設けなければならない。

⇒正解(4) 単体規定で全て誤り…難問の部類ですね。
ア:一番低い部分ではなく、平均して2.1m以上。
イ:2階以上の各階に設ける必要があり、1階のバルコニーに手すり壁等は不要です。
ウ:ホルムアルデヒドとクロルピリホス(シロアリ駆除剤)があります。
エ:高さ31mを超える建築物に非常用の昇降機が必要です。高さ20mを超える建築物に必要なのは避雷設備です。



【問 18】 建築基準法(以下この問において「法」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 地方公共団体は、延べ面積が1,000平方メートルを超える建築物の敷地が接しなければならない道路の幅員について、条例で、避難又は通行の安全の目的を達するために必要な制限を付加することができる。
2 建蔽率の限度が10分の8とされている地域内で、かつ、防火地域内にある耐火建築物については、建蔽率の制限は適用されない。
3 建築物が第二種中高層住居専用地域及び近隣商業地域にわたって存する場合で、当該建築物の過半が近隣商業地域に存する場合には、当該建築物に対して法第56条第1項第3号の規定(北側斜線制限)は適用されない。
4 建築物の敷地が第一種低層住居専用地域及び準住居地域にわたる場合で、当該敷地の過半が準住居地域に存する場合には、作業場の床面積の合計が100平方メートルの自動車修理工場は建築可能である。

⇒正解(3)
1:付加はできるが緩和はできないという点にも注意。
3:北側斜線制限は住居専用の4地域で適用され近隣商業地域で適用されませんが、過半が近隣商業に存する場合でも建物の全部について近隣商業の規定が適用されるわけではありません(=第二中高住専部分には北側斜線制限が適用される)。
4:用途制限については、敷地の過半が属する地域の制限に従います(3と比較)。



【問 19】 宅地造成等規制法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び特例市にあってはその長をいうものとする。

1 宅地造成工事規制区域内において宅地造成に関する工事を行う場合、宅地造成に伴う災害を防止するために行う高さ4mの擁壁の設置に係る工事については、政令で定める資格を有する者の設計によらなければならない。
2 宅地造成工事規制区域内において行われる切土であって、当該切土をする土地の面積が600平方メートルで、かつ、高さ1.5mの崖を生ずることとなるものに関する工事については、都道府県知事の許可が必要である。
3 宅地造成工事規制区域内において行われる盛土であって、当該盛土をする土地の面積が300平方メートルで、かつ、高さ1.5mの崖を生ずることとなるものに関する工事については、都道府県知事の許可が必要である。
4 都道府県知事は、宅地造成工事規制区域内の宅地について、宅地造成に伴う災害の防止のため必要があると認める場合においては、その宅地の所有者、管理者、占有者、造成主又は工事施工者に対し、擁壁の設置等の措置をとることを勧告することができる。

⇒正解(1)
1:高さ5mを超える擁壁の設置や、切土または盛土をする土地面積が1,500㎡を超える土地における排水施設の設置をする場合にのみ、一定の資格を有する者の設計を要します。
2:切土による崖の高さは2mを超えていませんが、面積500㎡を超えているため宅地造成に該当します。
3:盛土による崖の高さが1mを超えているため、面積500㎡未満ですが宅地造成に該当します。



【問 20】 土地区画整理法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 個人施行者は、基準又は規約に別段の定めがある場合においては、換地計画に係る区域の全部について土地区画整理事業の工事が完了する以前においても換地処分をすることができる。
2 換地処分は、施行者が換地計画において定められた関係事項を公告して行うものとする。
3 個人施行者は、換地計画において、保留地を定めようとする場合においては、土地区画整理審議会の同意を得なければならない。
4 個人施行者は、仮換地を指定しようとする場合においては、あらかじめ、その指定について、従前の宅地の所有者の同意を得なければならないが、仮換地となるべき宅地の所有者の同意を得る必要はない。

⇒正解(1)
1:規準、規約、定款等に別段の定めがある場合は、工事完了以前でも換地処分ができます
2:公告ではなく、施行者が関係権利者に通知して行います
3:保留地を定めるのに土地区画整理審議会の同意が必要なのは、施行者が都道府県・市町村・国土交通大臣である場合で、個人施行で同意は不要です。
4:仮換地を指定するには、個人施行…従前の宅地所有者および仮換地となる宅地所有者の同意、組合施行…総会の同意、都道府県・市町村・国土交通大臣施行…土地区画整理審議会の意見聴取が必要となります。



【問 21】 農地法(以下この問において「法」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 農地の賃貸借について法第3条第1項の許可を得て農地の引渡しを受けても、土地登記簿に登記をしなかった場合、その後、その農地について所有権を取得した第三者に対抗することができない。
2 雑種地を開墾し、現に畑として耕作されている土地であっても、土地登記簿上の地目が雑種地である限り、法の適用を受ける農地には当たらない。
3 国又は都道府県が市街化調整区域内の農地(1ヘクタール)を取得して学校を建設する場合、都道府県知事との協議が成立しても法第5条第1項の許可を受ける必要がある。
4 農業者が相続により取得した市街化調整区域内の農地を自己の住宅用地として転用する場合でも、法第4条第1項の許可を受ける必要がある。

⇒正解(4)
1:農地賃貸借の対抗要件は引渡しで、登記は不要です。
2:登記簿上の地目に関係なく、現況で判断します。
3:国または都道府県による転用目的の農地取得は、知事との協議をもって5条許可があったものとみなされます
4:4条許可であるため相続による農地法3条許可不要の例外は適用されず、また市街化調整区域内であるため市街化区域の例外も適用されません。



【問 22】 次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 地すべり等防止法によれば、地すべり防止区域内において、地表水を放流し、又は停滞させる行為をしようとする者は、一定の場合を除き、市町村長の許可を受けなければならない。
2 国土利用計画法によれば、甲県が所有する都市計画区域内の7,000平方メートルの土地を甲県から買い受けた者は、事後届出を行う必要はない。
3 土壌汚染対策法によれば、形質変更時要届出区域内において土地の形質の変更をしようとする者は、非常災害のために必要な応急措置として行う行為であっても、都道府県知事に届け出なければならない。
4 河川法によれば、河川区域内の土地において工作物を新築し、改築し、又は除却しようとする者は、河川管理者と協議をしなければばらない。

⇒正解(2) 細かめの肢が並んでいますが、正解肢がすごく簡単ですね。
1:市町村長ではなく、知事の許可が必要です。
2:当事者の一方または双方が国、都道府県等である場合は事後届出を要しません
3:非常災害のために必要な応急措置として行う行為であれば届出不要です。
4:河川管理者と協議ではなく、その許可が必要です。



【問 23】 印紙税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 土地譲渡契約書に課税される印紙税を納付するため当該契約書に印紙をはり付けた場合には、課税文書と印紙の彩紋とにかけて判明に消印しなければならないが、契約当事者の従業者の印章又は署名で消印しても、消印したことにはならない。
2 土地の売買契約書(記載金額2,000万円)を3通作成し、売主A,買主B及び媒介した宅建業者Cがそれぞれ1通ずつ保存する場合、Cが保存する契約書には、印紙税は課されない。
3 一の契約書に土地の譲渡契約(譲渡金額4,000万円)と建物の建築請負契約(請負金額5,000万円)をそれぞれ区分して記載した場合、印紙税の課税標準となる当該契約書の記載金額は、5,000万円である。
4 「建物の電気工事に係る請負金額は2,200万円(うち消費税額及び地方消費税額が200万円)とする」旨を記載した工事請負契約書について、印紙税の課税標準となる当該契約書の記載金額は、2,200万円である。

⇒正解(3)
1:自己または代理人、使用人、従業者…などの印章または署名で消印とすることができます。
2:同一文書を複数作成した場合、原則として全てに印紙税が課税されます。
3:異なる契約で複数の記載金額がある場合、大きい金額が記載金額となります(同じ種類の契約で複数の記載金額がある場合は合計額が記載金額)。
4:消費税は含まず2000万円が記載金額です。



【問 24】 固定資産税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 国会議員及び地方団体の議会の議員は、固定資産評価員を兼ねることができる。
2 登記所は、土地又は建物の表示に関する登記をしたときは、30日以内に、その旨を当該土地又は家屋の所在地の市町村長に通知しなければならない。
3 住宅用地のうち小規模住宅用地に対して課する固定資産税の課税標準は、当該小規模住宅用地に係る固定資産税の課税標準となるべき価格の3分の1の額である。
4 固定資産税に係る徴収金について滞納者が督促を受け、その督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに、その督促に係る固定資産税の徴収金について完納しないときは、市町村の徴税吏員は、滞納者の財産を差し押さえなければならない。

⇒正解(4) 全体的にやや難問。
1:国会議員と地方団体の議会の議員は、固定資産評価員を兼ねることができません。
2:30日ではなく、10日以内に通知します。
3:200㎡以下の住宅用地に対して課税する固定資産税の課税標準は、価格の3分の1ではなく6分の1となります。
4:督促状を発した日から10日以内に完納しないときは、滞納者の財産を差し押さえる必要があります。



【問 25】 地価公示法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 地価公示法の目的は、都市及びその周辺の地域等において、標準地を選定し、その周辺の土地の取引価格に関する情報を公示することにより、適正な地価の形成に寄与することである。
2 標準地は、土地鑑定委員会が、自然的及び社会的条件からみて類似の利用価値を有すると認められる地域において、土地の利用状況、環境等が通常と身と認められ、かつ、当該土地の使用又は収益を制限する権利が存しない一団の土地について選定する。
3 公示価格を基準とするとは、対象土地の価格を求めるに際して、当該対象土地とこれに類似する利用価値を有すると認められる1又は2以上の標準地との位置、地積、環境等の土地の客観的価値に作用する諸要因についての比較を行い、その結果に基づき、当該標準地の公示価格と当該対象土地の価格との間に均衡を保たせることをいう。
4 不動産鑑定士は、土地鑑定委員会の求めに応じて標準地の鑑定評価を行うに当たっては、近傍類地の取引価格から算定される推定の価格、近傍類地の地代等から算定される推定の価格又は同等の効用を有する土地の造成に要する推定の費用の額のいずれかを勘案してこれを行わなければならない。

⇒正解(3)
1:取引価格に関する情報ではなく、正常な価格を公示します。
2:土地の使用または収益を制限する権利が存しないことは要件ではありません
3:公示価格の効力としての規準を記した条文通りの文章。
4:いずれかを勘案するのではなく、3種の価格を総合的に勘案します。



【問 26】 宅建業の免許(以下この問において「免許」という。)に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 宅建業者A社の代表取締役が、道路交通法違反により罰金の刑に処せられたとしても、A社の免許は取り消されることはない。
2 宅建業者B社の使用人であって、B社の宅建業を行う支店の代表者が、刑法第222条(脅迫)の罪により罰金の刑に処せられたとしても、B社の免許は取り消されることはない。
3 宅建業者C社の非常勤役員が、刑法第208条の3(凶器準備集合及び結集)の罪により罰金の刑に処せられたとしても、C社の免許は取り消されることはない。
4 宅建業者D社の代表取締役が、法人税法違反により懲役の刑に処せられたとしても、執行猶予が付されれば、D社の免許は取り消されることはない。

⇒正解(1)
1:道路交通法違反での罰金刑で宅建免許は取り消されません。
2:支店の代表者=政令で定める使用人が脅迫罪で罰金刑に処せられたときは、免許欠格事由に該当します。
3:非常勤でも役員が凶器準備集合罪で罰金刑に処せられたときは、免許欠格事由に該当します。
4:執行猶予期間が満了すればその翌日から免許を受けることができます。



【問 27】 宅建業者の営業保証金に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 宅建業者は、不正の手段により宅建業法第3条第1項の免許を受けたことを理由に免許を取り消された場合であっても、営業保証金を取り戻すことができる。
2 信託業法第3条の免許を受けた信託会社で宅建業を営むものは、国土交通大臣の免許を受けた宅建業者とみなされるため、営業保証金を供託した旨の届出を国土交通大臣に行わない場合は、国土交通大臣から免許を取り消されることがある。
3 宅建業者は、本店を移転したためその最寄りの供託所が変更した場合、国債証券をもって営業保証金を供託しているときは、遅滞なく、従前の本店の最寄りの供託所に対し、営業保証金の保管換えを請求しなければならない。
4 宅建業者は、その免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事から、営業保証金の額が政令で定める額に不足することとなった旨の通知を受けたときは、供託額に不足を生じた日から2週間以内に、その不足額を供託しなければならない。

⇒正解(1)
1:免許の取消処分を受けたことは「営業保証金の供託理由がなくなった場合」に該当します。
2:信託業法第3条の免許を受けた信託会社は、国土交通大臣に届け出るだけで宅建業を営むことができ、そもそも宅建業の免許の免許を受けていないため免許取消処分を受けることがありません。
3:保管替えができるのは、金銭のみで営業保証金を供託している場合に限られます。
4:不足した日から2週間ではなく、免許権者から不足額を供託すべき旨の通知を受けた日から2週間以内です。



【問 28】 宅建業者A社が、Bから自己所有の甲宅地の売却の媒介を依頼され、Bと媒介契約を締結した場合における次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

ア 宅建業者A社が、Bとの間に専任媒介契約を締結し、甲宅地の売買契約を成立させたときは、A社は、遅滞なく、登録番号、取引価格、売買契約の成立した年月日、売主及び買主の氏名を指定流通機構に通知しなければならない。
イ 宅建業者A社は、Bとの間に媒介契約を締結し、Bに対して甲宅地を売買すべき価額又はその評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない。
ウ 宅建業者A社がBとの間に締結した専任媒介契約の有効期間は、Bからの申出により更新することができるが、更新の時から3月を超えることができない。

⇒正解(2) 正しいのはイウ
ア:売主および買主の氏名は指定流通機構への通知事項に含まれていません。



【問 29】 宅建業法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 宅建業者でない売主と宅建業者である買主が、媒介業者を介さず宅地の売買契約を締結する場合、宅建業法第35条の規定に基づく重要事項の説明義務を負うのは買主の宅建業者である。
2 建物の管理が管理会社に委託されている当該建物の賃貸借契約の媒介をする宅建業者は、当該建物が区分所有建物であるか否かにかかわらず、その管理会社の商号又は名称及びその主たる事務所の所在地を、借主に説明しなければならない。
3 区分所有建物の売買において、売主及び買主が宅建業者である場合、当該売主は当該買主に対し、当該一棟の建物に係る計画的な維持修繕のための修繕積立金積立総額及び売買の対象となる専有部分に係る修繕積立金額の説明をすれば、滞納があることについては説明をしなくてもよい。
4 区分所有建物の売買において、売主及び買主が宅建業者である場合でも、当該売主は当該買主に対し、宅建業法第35条の2に規定する供託所等の説明をする必要がある。

⇒正解(2)
1:売主が宅建業者ではなく宅建業者の媒介もないため、重要事項の説明義務者は存在しません。
3:規約に維持修繕積立金に関する定めがある場合、内容、既に積み立てられた額、滞納があるときはその額について説明することを要します。
4:買主が宅建業者の場合、供託所等の説明は不要です(H29法改正)。



【問 30】 宅建業者が行う宅建業法第35条に規定する重要事項の説明(以下この問において「重要事項説明」という。)及び同条の規定により交付すべき書面(以下この問において「35条書面」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 宅建業者は、宅地又は建物の売買について売主となる場合、買主が宅建業者であっても、重要事項説明は行わなければならないが、35条書面の交付は省略してよい。
2 宅建業者が、宅建士をして取引の相手方に対し重要事項説明をさせる場合、当該宅建士は、取引の相手方から請求がなくても、宅建士証を相手方に提示しなければならず、提示しなかったときは、20万円以下の罰金に処せられることがある。
3 宅建業者は、貸借の媒介の対象となる建物(昭和56年5月31日以前に新築)が、指定確認検査機関、建築士、登録住宅性能評価機関又は地方公共団体による耐震診断を受けたものであっても、その内容を重要事項説明において説明しなくてもよい。
4 宅建業者は、重要事項説明において、取引の対象となる宅地又は建物が、津波防災地域づくりに関する法律の規定により指定された津波災害警戒区域内にあるときは、その旨を説明しなければならない。

⇒正解(4)
1:買主が宅建業者の場合、重要事項の説明は不要ですが交付は必要です(H29法改正)。
2:20万円以下の罰金ではなく10万円以下の過料です。
3:昭和56年5月31日以前に新築された建物は、売買でも貸借でも耐震診断の内容を説明する必要があります。
4:安全性に関する事項は全取引で説明が必要と覚えておきましょう。



【問 31】 宅建業者A社が宅建業法第37条の規定により交付すべき書面(以下この問において「37条書面」という。)に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものの組合せはどれか。

ア 宅建業者A社は、建物の貸借に関し、自ら貸主として契約を締結した場合に、その相手方に37条書面を交付しなければならない。
イ 宅建業者A社は、建物の売買に関し、その媒介により契約が成立した場合に、当該売買契約の各当事者のいずれに対しても、37条書面を交付しなければならない。
ウ 宅建業者A社は、建物の売買に関し、その媒介により契約が成立した場合に、天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがあるときは、その内容を記載した37条書面を交付しなければならない。
エ 宅建業者A社は、建物の売買に関し、自ら売主として契約を締結した場合に、その相手方が宅建業者であれば、37条書面を交付する必要はない。

⇒正解(2)正しいものはイウ
ア:自ら貸借は、そもそも宅建業に該当しません
ウ:天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めは、全契約で37条の任意的記載事項ですが、35条の重要事項には含まれない点に注意。
エ:37条書面の交付は、宅建業者間取引でも省略することはできません。



【問 32】 次の記述のうち、宅建業法の規定に違反しないものの組合せとして、正しいものはどれか。なお、この問において「建築確認」とは、建築基準法第6条第1項の確認をいうものとする。

ア 宅建業者A社は、建築確認の済んでいない建築工事完了前の賃貸住宅の貸主Bから当該住宅の貸借の媒介を依頼され、取引態様を媒介と明示して募集広告を行った。
イ 宅建業者C社は、建築確認の済んでいない建築工事完了前の賃貸住宅の貸主Dから当該住宅の貸借の代理を依頼され、代理人として借主Eとの間で当該住宅の賃貸借契約を締結した。
ウ 宅建業者F社は、建築確認の済んだ建築工事完了前の建売住宅の売主G社(宅建業者)との間で当該住宅の売却の専任媒介契約を締結し、媒介業務を行った。
エ 宅建業者H社は、建築確認の済んでいない建築工事完了前の建売住宅の売主I社(宅建業者)から当該住宅の売却の媒介を依頼され、取引態様を媒介と明示して当該住宅の販売広告を行った。

⇒正解(2)違反しないものはイウ
アエ:広告を開始できるのは建築確認を受けた後に限られます(イ:賃貸借契約締結の媒介や代理は可能であることと比較)。
ウ:建築確認後であれば、工事完了前でも広告や契約は可能です。



【問 33】 宅建業法第35条に規程する重要事項の説明に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 宅建業者は、自ら売主として分譲マンションの売買を行う場合、管理組合の総会の議決権に関する事項について、管理規約を添付して説明しなければならない。
2 宅建業者は、分譲マンションの売買の媒介を行う場合、建物の区分所有等に関する法律第2条第4項に規定する共用部分に関する規約の定めが案の段階であっても、その案の内容を説明しなければならない。
3 宅建業者は、マンションの1戸の貸借の媒介を行う場合、建築基準法に規定する容積率及び建蔽率に関する制限があるときは、その制限内容を説明しなければならない。
4 宅建業者は、マンションの1戸の貸借の媒介を行う場合、借賃以外に授受される金銭の定めがあるときは、その金銭の額、授受の目的及び保管方法を説明しなければならない。

⇒正解(2)
1:管理組合の総会の議決権に関する事項は重要説明事項ではありません。
2:供用部分に関しては、規約となる可能性の高い規約案も説明します。
3:容積率と建蔽率は、建物貸借以外の全契約(宅地貸借も含む点に注意)で重要説明事項です。
4:代金、交換差金、借賃以外に授受される金銭の額と授受目的は重要説明事項ですが、保管方法は重要説明事項に含まれません。



【問 34】 宅建業者A社が、自ら売主として宅建業者でない買主Bとの間で締結した宅地の売買契約について、Bが宅建業法第37条の2の規定に基づき、いわゆるクーリング・オフによる契約の解除をする場合における次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 Bは、自ら指定した喫茶店において買受けの申込みをし、契約を締結した。Bが翌日に売買契約の解除を申し出た場合、A社は、既に支払われている手付金及び中間金の全額の返還を拒むことができる。
2 Bは、月曜日にホテルのロビーにおいて買受けの申込みをし、その際にクーリング・オフについて書面で告げられ、契約を締結した。Bは、翌週の火曜日までであれば、契約の解除をすることができる。
3 Bは、宅地の売買契約締結後に速やかに建物請負契約を締結したいと考え、自ら指定した宅建業者であるハウスメーカー(A社より当該宅地の売却について代理又は媒介の依頼は受けていない。)の事務所において買受けの申込みをし、A社と売買契約を締結した。その際、クーリング・オフについてBは書面で告げられた。その6日後、Bが契約の解除の書面をA社に発送した場合、Bは売買契約を解除することができる。
4 Bは、10区画の宅地を販売するテント張りの案内所において、買受けの申込みをし、2日後,A社の事務所で契約を締結した上で代金全額を支払った。その5日後、Bが、宅地の引渡しを受ける前に契約の解除の書面を送付した場合、A社は代金全額が支払われていることを理由に契約の解除を拒むことができる。

⇒正解(3)
1:買主自らが指定したために事務所等として扱われるのは、買主の自宅または勤務先のみです。
2:書面で告げられた日から8日目が翌週月曜日、火曜日では「8日を経過」しています。
3:宅建業者でない買主が指定したハウスメーカーは、宅建業者であるものの当該契約について依頼を受けている宅建業者ではないので、事務所等には当たりません。
4:代金の全額を支払っていても、物件の引渡しを受けていないためクーリング・オフが可能です。



【問 35】 宅建業者が媒介により建物の貸借の契約を成立させた場合、宅建業法第37条の規定により当該貸借の契約当事者に対して交付すべき書面に必ず記載しなければならない事項の組合せとして、正しいものはどれか。

ア 保証人の氏名及び住所
イ 建物の引渡しの時期
ウ 借賃の額並びにその支払の時期及び方法
エ 媒介に関する報酬の額
オ 借賃以外の金銭の授受の方法

⇒正解(2) 記載事項はイウ。一目瞭然のイを基準に1か2の2択…にもならずにウも明らかですね。
ア:当事者の氏名や住所は37条の必要的記載事項ですが、媒介業者や保証人の記載は不要です。
ウ:報酬額を必ず記載するのは、売買と交換の媒介契約書面です(貸借では媒介契約書面の作成義務なし)。
オ:借賃以外に授受する金銭の額、授受目的、授受の時期は37条の必要的記載事項ですが、授受の方法は記載事項に含まれていません(代金や借賃自体の支払方法は記載事項であることとのひっかけ)。



【問 36】 宅建業者A社が行う業務に関する次の記述のうち、宅建業法の規定に違反しないものはどれか。なお、この問において「37条書面」とは、宅建業法第37条の規定により交付すべき書面をいうものとする。

1 宅建業者A社は、宅地の売買の媒介に際して、売買契約締結の直前に、当該宅地の一部に私道に関する負担があることに気付いた。既に買主に重要事項説明を行った後だったので、A社は、私道の負担に関する追加の重要事項説明は行なわず、37条書面にその旨記載し、売主及び買主の双方に交付した。
2 宅建業者A社は、営業保証金を供託している供託所及びその所在地を説明しないままに、自らが所有する宅地の売買契約が成立したので、買主に対し、その供託所等を37条書面に記載の上、説明した。
3 宅建業者A社は、媒介により建物の貸借の契約を成立させ、37条書面を借主に交付するに当たり、37条書面に記名押印をした宅建士が不在であったことから、宅建士ではない従業員に37条書面を交付させた。
4 宅建業者A社は、宅建業者間での宅地の売買の媒介に際し、当該売買契約に不適合担保に関する特約はあったが、宅建業者間の取引であったため、当該特約の内容について37条書面への記載を省略した。

⇒正解(3)
1:35条と37条の共通記載事項を、一方だけで行い他方は省略するということはできません。
2:供託所等の説明は契約成立までに行います(宅建士が説明する必要なし。書面も必要なし)
3:宅建士の記名押印は必要ですが、交付は宅建士である必要はありません
4:37条書面記載事項を宅建業者間だからと省略することはできません。



【問 37】 宅建業者A社(消費税課税事業者)は売主Bから土地付建物の売却の代理の依頼を受け、宅建業者C社(消費税課税事業者)は買主Dから戸建住宅の購入の媒介の依頼を受け、BとDの間で売買契約を成立させた。この場合における次の記述のうち、宅建業法の規定に違反しないものはいくつあるか。なお、土地付建物の代金は5,500万円(うち、土地代金は2,200万円)で消費税額及び地方消費税額を含むものとする。

ア 宅建業者A社はBから3,600,000円の報酬を受領し、宅建業者C社はDから1,790,000円の報酬を受領した。
イ 宅建業者A社はBから2,200,000円の報酬を受領し、宅建業者C社はA社及びDの了承を得た上でDから1,370,000円の報酬を受領した。
ウ 宅建業者A社はBから1,660,000円の報酬を受領し、宅建業者C社はDから1,669,500円を報酬として受領したほか、Dの特別の依頼に基づき行った遠隔地への現地調査に要した特別の費用について、Dが事前に負担を承諾していたので、50,000円を受領した。

⇒正解(1) 違反しないものはウのみ
アイウ:C社の報酬額上限は、本体価格5,200万×3%+6万=1,620,000円に消費税を加えた1,782,000円。代理のA社は倍の3,564,000円。AC合計でも3,564,000円。依頼された遠隔地への現地調査費を受け取ることは可能です。



【問 38】 宅建業者A社が、自ら売主として宅建業者でない買主Bとの間で締結した売買契約に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、誤っているものはいくつあるか。

ア 宅建業者A社は、Bとの間で締結した中古住宅の売買契約において、引渡後2年以内に発見された雨漏り、シロアリの害、建物の構造耐力上主要な部分の不適合についてのみ責任を負うとする特約を定めることができる。
イ 宅建業者A社は、Bとの間における新築分譲マンションの売買契約(代金3,500万円)の締結に際して、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額と違約金の合計額を700万円とする特約を定めることができる。
ウ 宅建業者A社は、Bとの間における土地付建物の売買契約の締結に当たり、手付金100万円及び中間金200万円を受領する旨の約定を設けた際、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、売主は買主に受領済みの手付金及び中間金の倍額を支払い、また、買主は売主に支払済みの手付金及び中間金を放棄して、契約を解除できる旨の特約を定めた。この特約は有効である。

⇒正解(2) 誤っているものは、アウの2つ。ちょっと難しめの個数問題。
ア:不適合の内容の限定や「通知期間を引渡しの日から2年以上」とする以外の買主に不利な特約は無効です。
イ:損害賠償の予定額と違約金を合算して代金の2/10を超えていないため有効です。
ウ:売主が受領済みの手付金および中間金の倍額を支払うことは買主に有利ですが、買主が支払済みの手付金および中間金を放棄することは原則よりも買主に不利となるため無効です。



【問 39】 宅建業保証協会(以下この問において「保証協会」という。)に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 保証協会は、社員の取り扱った宅建業に係る取引に関する苦情について、宅建業者の相手方等からの解決の申出及びその解決の結果を社員に周知させなければならない。
2 保証協会に加入した宅建業者は、直ちに、その旨を免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に報告しなければならない。
3 保証協会は、弁済業務保証金の還付があったときは、当該還付に係る社員又は社員であった者に対し、当該還付額に相当する額の還付充当金をその主たる事務所の最寄りの供託所に供託すべきことを通知しなければならない。
4 宅建業者で保証協会に加入しようとする者は、その加入の日から2週間以内に、弁済業務保証金分担金を保証協会に納付しなければならない。

⇒正解(1) 正解肢は細かい知識ですが、消去法で正解したいところ。
2:宅建業者ではなく、保証協会が免許権者に報告します。
3:宅建業者が直接供託するのではなく、保証協会が、還付充当金を保証協会に納付するよう通知し、これを受けた社員が保証協会に還付充当金を納付します。
4:加入の日から2週間ではなく、加入しようとする日までに弁済業務保証金分担金を納付します。



【問 40】 宅建業者Aが、自ら売主として買主との間で締結する売買契約に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、この問において「保全措置」とは、宅建業法第41条に規定する手付金等の保全措置をいうものとする。

1 宅建業者Aは、宅建業者でない買主Bとの間で建築工事完了前の建物を4,000万円で売却する契約を締結し300万円の手付金を受領する場合、銀行等による連帯保証、保険事業者による保証保険又は指定保管機関による保管により保全措置を講じなければならない。
2 宅建業者Aは、宅建業者Cに販売代理の依頼をし、宅地建物取引業者でない買主Dと建築工事完了前のマンションを3,500万円で売却する契約を締結した。この場合、A又はCのいずれかが保全措置を講ずることにより、Aは、代金の額の5%を超える手付金を受領することができる。
3 宅建業者Aは、宅建業者である買主Eとの間で建築工事完了前の建物を5,000万円で売却する契約を締結した場合、保全措置を講じずに、当該建物の引渡前に500万円を手付金として受領することができる。
4 宅建業者Aは、宅建業者でない買主Fと建築工事完了前のマンションを4,000万円で売却する契約を締結する際、100万円の手付金を受領し、さらに200万円の中間金を受領する場合であっても、手付金が代金の5%以内であれば保全措置を講ずる必要はない。

⇒正解(3)
1:指定保管期間による保管により保全措置を講ずることができるのは完成物件に限られます
2:保全措置の義務を負うのは、自ら売主となる宅建業者のみです。
3:宅建業者間取引なので、保全措置を講じずに手付金を受領できます
4:中間金200万円の受領により代金の5%を超えるため、中間金を受領する前に保全措置が必要です(手付金100万円の時点では保全措置不要)。



【問 41】 宅建業法の規定によれば、次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 宅建業者は、その事務所ごとにその業務に関する帳簿を備えなければならないが、当該帳簿の記載事項を事務所のパソコンのハードディスクに記録し、必要に応じ当該事務所においてパソコンやプリンターを用いて紙面に印刷することが可能な環境を整えていたとしても、当該帳簿への記載に代えることができない。
2 宅建業者は、その主たる事務所に、宅建業者免許証を掲げなくともよいが、国土交通省令で定める標識を掲げなければならない。
3 宅建業者は、その事務所ごとに、その業務に関する帳簿を備え、宅建業に関し取引のあった月の翌月1日までに、一定の事項を記載しなければならない。
4 宅建業者は、その業務に従事させる者に、従業者証明書を携帯させなければならないが、その者が宅建士で宅建士証を携帯していれば、従業者証明書は携帯させなくてもよい。

⇒正解(2)
1:電磁的方法による帳簿の作成も可能です。
2:事務所に標識の掲示は必要ですが、宅建免許証を掲示する必要はありません。
3:帳簿には宅建業に関する取引があったつど記載することを要します。
4:宅建士証を従業者証明書の代わりとすることはできません。



【問 42】 甲県知事の宅建士資格登録(以下この問において「登録」という。)を受けている宅建士Aへの監督処分に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 宅建士Aは、乙県内の業務に関し、他人に自己の名義の使用を許し、当該他人がその名義を使用して宅建士である旨の表示をした場合、乙県知事から必要な指示を受けることはあるが、宅建士として行う事務の禁止の処分を受けることはない。
2 宅建士Aは、乙県内において業務を行う際に提示した宅建士証が、不正の手段により交付を受けたものであるとしても、乙県知事から登録を消除されることはない。
3 宅建士Aは、乙県内の業務に関し、乙県知事から宅建士として行う事務の禁止の処分を受け、当該処分に違反したとしても、甲県知事から登録を消除されることはない。
4 宅建士Aは、乙県内の業務に関し、甲県知事又は乙県知事から報告を求められることはあるが、乙県知事から必要な指示を受けることはない。

⇒正解(2)
14:指示処分や事務禁止処分、報告要求は業務地の知事も行うことができます。
23:登録消除処分は登録知事のみが行うことができます。



【問 43】 宅建業法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 甲県に事務所を設置する宅建業者(甲県知事免許)が、乙県所在の物件を取引する場合、国土交通大臣へ免許換えの申請をしなければならない。
2 宅建業者(甲県知事免許)は、乙県知事から指示処分を受けたときは、その旨を甲県知事に届け出なければならない。
3 免許を受けようとする法人の政令で定める使用人が、覚せい剤取締法違反により懲役刑に処せられ、その刑の執行を終わった日から5年を経過していない場合、当該使用人が取締役に就任していなければ当該法人は免許を受けることができる。
4 宅建業に関し不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者は、宅建業法の規定に違反し罰金の刑に処せられていなくても、免許を受けることができない。

⇒正解(4)
1:他県で取引をする度に毎回免許を換えていたら・・面倒すぎますね。
2:宅建業者が届け出るのではなく、処分を行った知事が免許権者に通知します。
3:免許欠格事由の対象となる役員等に政令で定める使用人も含まれます
4:宅建業に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者は、それだけで免許欠格事由に該当し、罰金刑に処せられていなくても免許を受けることができません。



【問 44】 宅建業法に規定する宅建士資格登録(以下この問において「登録」という。)、宅建士及び宅建士証に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア 登録を受けている者は、登録事項に変更があった場合は変更の登録申請を、また、破産者となった場合はその旨の届出を、遅滞なく、登録している都道府県知事に行われなければならない。
イ 宅建士証の交付を受けようとする者(宅建士資格試験合格日から1年以内の者又は登録の移転に伴う者を除く。)は、都道府県知事が指定した講習を、交付の申請の90日前から30日前までに受講しなければならない。
ウ 宅建業法第35条に規定する事項を記載した書面への記名押印及び同法第37条の規定により交付すべき書面への記名押印については、専任の宅建士でなければ行ってはならない。
エ 宅建士は、事務禁止処分を受けた場合、宅建士証をその交付を受けた都道府県知事に速やかに提出しなければならないが、提出しなかったときは10万円以下の過料に処せられることがある。

⇒正解(1) 正しいのはエのみ。難しくはありませんが、正確な知識を問われる個数問題。
ア:変更の登録は遅滞なくですが、破産の届出は破産した日から30日以内となります。
イ:90日前から30日前まで(← 免許の有効期間の更新)ではなく、交付申請前6ヶ月以内に行われる講習です。
ウ:宅建士でさえあれば、専任である必要はありません。
エ:業務地の知事から処分を受けたとしても、登録知事に提出するという点に注意。



【問 45】 宅建業者Aが自ら売主として、宅建業者でない買主Bに新築住宅を販売する場合における次の記述のうち、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律の規定によれば、正しいものはどれか。(令和2年の法改正により「瑕疵」→「不適合」となりましたが、当規定では瑕疵の定義を明記することで瑕疵という文言が存置されています)

1 Bが建設業者である場合、宅建業者Aは、Bに引き渡した新築住宅について、住宅販売瑕疵(かし)担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵(かし)担保責任保険契約の締結を行う義務を負わない。
2 宅建業者Aは、基準日に係る住宅販売瑕疵(かし)担保保証金の供託及び住宅販売瑕疵(かし)担保責任保険契約の締結の状況について届出をしなければ、当該基準日から3週間を経過した日以後、新たに自ら売主となる新築住宅の売買契約を締結してはならない。
3 宅建業者Aは、住宅販売瑕疵(かし)担保保証金の供託をする場合、Bに対する供託所の所在地等について記載した書面の交付及び説明を、Bに新築住宅を引き渡すまでに行えばよい。
4 宅建業者Aが住宅販売瑕疵(かし)担保保証金を供託する場合、当該住宅の床面積が55㎡以下であるときは、新築住宅の合計戸数の算定に当たって、2戸をもって1戸と数えることになる。

⇒正解(4)
1:買主が宅建業者の場合に資力確保措置は不要ですが、買主が建設業者であるときは資力確保措置が必要です。
2:基準日から3週間を経過した日以後ではなく、基準日の翌日から起算して50日を経過した日以後は契約締結ができなくなります。
3:新築住宅を引き渡すまでではなく、売買契約を締結するまでに書面を交付して説明することを要します。
4:新築住宅の床面積が55㎡以下の場合の特例です。



【問 46】 独立行政法人住宅金融支援機構(以下この問において「機構」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 機構は、住宅の建設又は購入に必要な資金の貸付けに係る金融機関の貸付債権の譲受けを業務として行っているが、当該住宅の建設又は購入に付随する土地又は借地権の取得に必要な資金の貸付けに係る貸付債権については、譲受けの対象としていない。
2 機構は、災害により、住宅が滅失した場合において、それに代わるべき建築物の建設又は購入に必要な資金の貸付けを業務として行っている。
3 機構は、貸付けを受けた者とあらかじめ契約を締結して、その者が死亡した場合に支払われる生命保険の保険金を当該貸付けに係る債務の弁済に充当する団体信用生命保険に関する業務を行っている。
4 機構が証券化支援事業(買取型)により譲り受ける貸付債権は、自ら居住する住宅又は自ら居住する住宅以外の親族の居住の用に供する住宅を建設し、又は購入する者に対する貸付けに係るものでなければならない。

⇒正解(1)
1:住宅の建設または購入に付随する土地または借地権の取得に必要な資金の貸付けにかかる貸付債権についても、譲受けの対象となります。



【問 47】 宅建業者が行う広告に関する次の記述のうち、不当景品類及び不当表示防止法(不動産の表示に関する公正競争規約を含む。)の規定によれば、正しいものはどれか。

1 新築分譲マンションの販売広告で完成予想図により周囲の状況を表示する場合、完成予想図である旨及び周囲の状況はイメージであり実際とは異なる旨を表示すれば、実際に所在しない箇所に商業施設を表示するなど現況と異なる表示をしてもよい。
2 宅地の販売広告における地目の表示は、登記簿に記載されている地目と現況の地目が異なる場合には、登記簿上の地目のみを表示すればよい。
3 住戸により管理費が異なる分譲マンションの販売広告を行う場合、全ての住戸の管理費を示すことが広告スペースの関係で困難なときには、1住戸当たりの月額の最低額及び最高額を表示すればよい。
4 完成後8か月しか経過していない分譲住宅については、入居の有無にかかわらず新築分譲住宅と表示してもよい。

⇒正解(3)
1:イメージアップに繋がる架空の商業施設などを表示してはいけません。
2:登記簿上の地目+現況の地目を併記する必要があります。
3:全ての住宅の管理費を示すことが困難であるときは、最低額および最高額のみを表示すれば足ります。
4:新築とは、建築後1年未満+居住の用に供されたことがないものをいいます。



【問 48】 宅地建物の統計等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 平成23年度法人企業統計年報(平成24年9月公表)によれば、平成23年度における不動産業の経常利益は約3兆3,000億円となっており、前年度比0.5%減となった。
2 平成25年度地価公示(平成25年3月公表)によれば、平成24年の1年間の地価は、全国的に依然として下落を示したが、下落率は縮小し、上昇又は横ばいの地点が大幅に増加している。
3 建築着工統計(平成25年1月公表)によれば、平成24年の持家戸数は3年連続で増加しているものの、貸家戸数は3年ぶりに減少している。
4 平成25年版土地白書(平成25年6月公表)によれば、土地取引について、売買による所有権移転登記の件数でその動向を見ると、平成24年の全国の土地取引件数は120.4万件となり、9年ぶりに増加に転じた。

⇒正解(3) 例年通りの簡単な統計問題。



【問 49】 日本の土地に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1 国土を山地と平地に大別すると、山地の占める比率は、国土面積の約75%である。
2 火山地は、国土面積の約7%を占め、山林や原野のままの所も多く、水利に乏しい。
3 台地・段丘は、国土面積の約12%で、地盤も安定し、土地利用に適した土地である。
4 低地は、国土面積の約25%であり、洪水や地震による液状化などの災害危険度は低い。

⇒正解(4)
4:低地は国土面積の13%ほどである上、液状化も起きやすくなっています。



【問 50】 建築の構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1 耐震構造は、建物の柱、はり、耐震壁などで剛性を高め、地震に対して十分耐えられるようにした構造である。
2 免震構造は、建物の下部構造と上部構造との間に積層ゴムなどを設置し、揺れを減らす構造である。
3 制震構造は、制震ダンバーなどを設置し、揺れを制御する構造である。
4 既存不適格建築物の耐震補強として、制震構造や免震構造を用いることは適していない。

⇒正解(4)
4:耐震補強として、制震構造や免震構造を用いることは有効です。既存不適格建築物を耐震構造化するよりも効果的です。


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