2015年(平成27年)の宅建改正情報

平成27年の宅建士法改正情報

平成27年(2015年)の宅建試験で出題される法改正情報をお送りします。

今年は変更よりも追加がメインでした。とても重要なものから少しでも出題可能性があるもの、宅建試験で出題される可能性がある法改正をまとめてみました。それぞれの重要度を★印で表しておきますので、★印が多いもの(最高5つ)は絶対に覚えておいてください!では、順番に見ていきましょう!


権利関係の法改正

特になし


宅建業法の法改正

・名称の変更( - )

宅地建物取引主任者の呼び名が宅地建物取引士と変更になりました。宅地建物取引士証など、「主任者」が「」になっただけですね。過去問が主任者で出題されているから誤りということもなく、今後は主任者で出題されることもないでしょう。

・宅建士の役割についての追加規定(★★★★)

1.宅建士は、購入者等の利益保護および円滑な宅地建物の流通のため、公正かつ誠実に宅建業法に定める事務を行うとともに、宅建業に関連する業務に従事する者との連携に努めなければならない

2.宅建士は、その信用または品位を害するような行為をしてはならない

3.宅建士は、宅地または建物の取引に係る事務に必要な知識および能力の維持向上に努めなければならない

上記3つの条文が追加されました。常識的に当然なものばかりですね。出題されるとしたら条文通りのイージー問題かと思いますので確実に得点してください。少し盲点を衝くとしたら、1番は購入者の利益のためであって宅建業者の利益と出題されたら誤り、2番は宅建業についてと限定していませんので業務に限らず信用または品位を害する行為はダメということでしょうか。

・従業員の教育についての追加規定(★★★★)

宅建業者は、その従業者に対し、その業務を適正に実施させるため、必要な教育を行うよう努めなければならない。

上記条文が追加されました。「従業者に対して教育を行う必要はない」→「誤り」などというどうしようもない問題は出題されないでしょう。ここで問題を作るとしたら、教育を怠った宅建業者に罰則はあるかどうか…といった問題でしょうか。特に罰則についての規定はありませんので、違反しても罰則はありません。また、上記3つの宅建士の役割についても罰則規定はありませんので、違反しても宅建士に罰則が科されることはありません(罰則が科されることはありませんが、もちろん宅建業法違反ですので免許権者から指示処分等の監督処分を受ける可能性はあります)。

・免許と登録の追加基準(★★★★)

暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員または同号に規定する暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者は宅建業の免許、宅建士の登録を受けることができない。

暴力団員、暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者はダメってことですが、ここで少し突っ込むとしたら、暴力団員でなくても、暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者に事業を支配されていた者も免許や登録を受けることができないということでしょうか。また、宅建士が暴力団員となった場合は、暴力団員となったその日から30日以内に、本人が、登録を受けている都道府県知事に届け出なければなりません。

・重要事項の説明の追加事項(★★)

マンションの建替え等の円滑化に関する法律が追加されました。建物賃借には不要と頭の片隅に入れておきましょう。

・報酬計算の変更(★★★★★)

消費税の免税事業者の報酬計算において、加算金額が4%から3.2%に変更されました。免税事業者の報酬計算で、最後にかける部分を0.04から0.032としてください。昨年の消費税改正時に8%のところを5%、4%のところを2.5%で出題して誤りとするような問題は出ないとお伝えしましたが、この3.2%を4%で引っかけは出題可能性ありです。


法令上の制限の法改正

・建築基準法の容積率(★★)

建築物の容積率の算定の基礎となる延べ面積には、政令で定める昇降機の昇降路の部分の床面積は算入しないものとする。エレベーターの箱は延べ面積に算入しない。2秒で覚えられますね。


税その他の法改正

・不動産鑑定評価基準

今年の法改正の目玉と言いますか、大量に改正されました。例年、地価公示法または不動産鑑定評価基準がほぼ交互に出題されますが、ここ2年連続で地価公示法が出題されており、今年は法改正も重なり不動産鑑定評価基準が激アツです。条文通りに出題されることが多いので長文となってしまいますが、赤文字部分に特に注目してください。

1.対象不動産について、依頼目的に応じ対象不動産に係る価格形成要因のうち地域要因または個別的要因について想定上の条件を設定する場合がある。この場合には、設定する想定上の条件が鑑定評価書の利用者の利益を害するおそれがないかどうかの観点に加え、特に実現性および合法性の観点から妥当なものでなければならない。(改正 ★★)

2.不動産鑑定士の通常の調査の範囲では、対象不動産の価格への影響の程度を判断するための事実の確認が困難な特定の価格形成要因が存する場合、鑑定評価書の利用者の利益を害するおそれがないときは、当該価格形成要因について調査の範囲に係る条件を設定することができる。(新設 ★★★★)

3.証券化対象不動産の鑑定評価および会社法上の現物出資の目的となる不動産の鑑定評価等、鑑定評価が鑑定評価書の利用者の利益に重大な影響を及ぼす可能性がある場合には、原則として、鑑定評価の対象とする不動産の現実の利用状況と異なる対象確定条件、地域要因または個別的要因についての想定上の条件および調査範囲等条件の設定をしてはならない。ただし、証券化対象不動産の鑑定評価で、各論第3章第2節に定める要件を満たす場合には未竣工建物等鑑定評価を行うことができる。(新設 ★★)

4.条件設定をする場合、依頼者との間で当該条件設定に係る鑑定評価依頼契約上の合意がなくてはならない。条件設定が妥当ではないと認められる場合には、依頼者に説明した上で妥当な条件に改定しなければならない。(新設 ★★★★)

5.不動産鑑定評価によって求める価格は、依頼目的に対応した条件を踏まえて価格の種類を適切に判断し、明確にすべきである。(改正 ★★★★)

6.特定価格とは、市場性を有する不動産について、法令等による社会的要請を背景とする鑑定評価目的の下で、正常価格の前提となる諸条件を満たさないことにより正常価格と同一の市場概念の下において形成されるであろう市場価値と乖離することとなる場合における不動産の経済価値を適正に表示する価格をいう。(改正 ★★★)

7.減価額を求めるには、対象不動産の価格時点における経過年数および経済的残存耐用年数の和として把握される耐用年数を基礎として減価額を把握する耐用年数に基づく方法と、対象不動産に係る個別分析の結果を踏まえた代替、競争等の関係にある不動産と比べた優劣および競争力の程度等を適切に反映すべきである観察減価法があり、これらを併用するものとする。(改正 ★★)

8.収益還元法は、文化財の指定を受けた建造物等の一般的に市場を有しない不動産以外のものには本的にすべて適用すべきものであり、自用の不動産といえども賃貸を想定することにより適用されるものである。市場における不動産の取引価格の上昇が著しいときはこの手法が活用されるべきである。(改正 ★★★)

9.鑑定評価の手法の適用に当たっては、鑑定評価の手法を当該案件に即して適切に適用し、地域分析および個別分析により把握した対象不動産に係る市場の特性等を適切に反映した複数の鑑定評価の手法を適用すべきであり、それが困難な場合においても、その考え方をできるだけ参酌するように努めるべきである。(改正 ★★★★★)

従来は、原価方式・比較方式・収益方式の三方式を併用すべきとされていた9番の改正は頻出問題でしたので特に要注意です。

・直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置(★)

平成27年中に住宅取得等資金の贈与を受けた場合、良質な住宅用家屋で1,500万円、その他の住宅で1,000万円を限度に非課税となります。

・住宅取得等資金の贈与に係る相続時精算課税制度の特例(★)

子等の推定相続人のみだった受贈者の範囲に「20歳以上である孫」が追加され、贈与者の年齢要件も65歳以上から「60歳以上」に引き下げられました。また、適用対象となる増改築等の範囲に、一定の省エネ改修工事、バリアフリー改修工事等が加わりました。


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