事務所と案内所の宅建過去問

宅建過去問:「事務所や案内所」の重要過去問を見ていきます。宅建業は事務所だけでなく、様々な場所で営業活動が行われています。それぞれの場所でどのような規制があるのでしょうか?事務所等に置かれる従業者名簿や帳簿、標識とは?

事務所と案内所の宅建過去問

宅建業者の従業者名簿に関する次の記述のうち、宅建業法の規定に違反しないものはどれか。(1997年の過去問 問-30)

【問】従業者名簿に、従業者の氏名、住所、生年月日及び主たる職務内容を記載したが、宅地建物取引士 (以下「宅建士」という) であるか否かの別は記載しなかった。

従業者名簿には、従業者の、1氏名、2住所(H29法改正により不要となったので注意)、3従業者証明書番号、4生年月日、5主たる職務の内容、6宅建士であるか否か、7当該事務所の従業者となった年月日、8当該事務所の従業者でなくなったときはその年月日、を記載しなくてはなりません。宅建士であるか否かの別を記載しなかった本肢は宅建業法に違反します。

【問】従業者名簿を、それぞれの事務所ごとに作成して備え付け、主たる事務所に一括して備え付けることはしなかった。

従業者名簿は、それぞれの事務所ごとに作成して備え付ければ足り、主たる事務所に一括して備え付ける必要はありません。よって本肢は宅建業法に違反しません。

【問】取引の関係者から従業者名簿の閲覧を求められたが、宅建業法第45条に規定する秘密を守る義務を理由に、この申出を断った。

宅建業者は、取引関係者から請求があったときは、従業者名簿を閲覧に供しなければなりません。従業者名簿の内容は、宅建業法45条により保護される秘密に該当しません。よって本肢は宅建業法に違反します。帳簿は閲覧させる義務がない点と比較しておいてください。


次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか。(1990年の過去問 問-38)

【問】宅建業者は、従業者名簿を、最終の記載をした日から10年間保存しなければならない。

宅建業者は、従業者名簿を最終の記載をした日から10年間保存しなければなりません。よって正しい肢です。

【問】宅建業者は、その業務に関する帳簿を、取引の終了後5年間保存しなければならない。

宅建業者は、帳簿を各事業年度の末日をもって閉鎖し、閉鎖後5年間保存しなければなりません。取引終了後5年とする本肢は誤りです。また、宅建業者自らが売主となる新築住宅にかかる帳簿は、閉鎖後10年の保存が必要となります。


次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか。(2000年の過去問 問-42)

【問】宅建業者は、その業務に従事する者であっても、アルバイトとして一時的に事務の補助をする者については、従業者名簿に記載する必要はない。

従業者とは業務に従事する者をいい、一時的に事務の補助をするアルバイトも従業者にあたります。よって誤りとなります。

【問】宅建業者は、宅建業法第49条の規定に違反して業務に関する帳簿を備え付けなかったときでも、罰金の刑に処せられることはない。

宅建業者が業務に関する帳簿を備え付けなかったときは、監督処分として指示処分の対象となり、罰則として50万円以下の罰金に処せられます。よって誤りです。


宅建業者Aが一団の宅地建物の分譲を行う案内所に関する次の記述のうち、宅建業法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、この問において、「契約行為等」とは、宅地建物の売買若しくはその代理・媒介の契約 (予約を含む。) を締結し、又はこれらの申込みを受けることをいう。(1997年の過去問 問-42)

【問】Aは、契約行為等を行わない案内所についても、宅建業法第50条に規定する標識(以下この問において「標識」という。)を掲げなければならない。

宅建業者は、事務所、物件の所在する場所、事務所以外の案内所等その業務を行う場所ごとに、公衆の見やすい場所に標識を掲げなければなりません。契約行為を行わない案内所についても標識義務があります。よって正しい肢となります。

【問】Aが、契約行為等を行わない案内所に置かなければならない成年者である専任の宅建士の数は、当該案内所において業務に従事する者の数にかかわらず、1名である。

宅建業者は、案内所等で契約締結または契約の申込みを受ける場合、成年者である専任の宅建士を案内所ごとに少なくとも1名置かなければなりません。しかし、契約行為を行わない案内所については宅建士の設置義務はありません。よって誤りです。

【問】他の宅建業者Bが、Aに対し一団の宅地建物の分譲の販売代理を一括して依頼した場合、Aが契約行為等を行う案内所に、Aの標識とともに、Bも、自己の標識を掲げなければならない。

標識を掲示する必要があるのは当該案内所を設置した宅建業者で、売主である宅建業者ではありません。よってBは標識を掲示する必要はなく、誤りとなります。物件と案内所の場所が異なる場合、物件がある現地には売主Bの標識が必要な点と比較しておいてください。

【問】Aは、その事務所及び契約行為等を行う案内所ごとに、公衆の見やすい場所に、国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなければならない。

宅建業者は、その事務所ごとに、公衆の見やすい場所に報酬額を掲示しなければなりません。案内所等には報酬額の掲示義務はありません。よって誤りです。


甲県内の一団の宅地30区画の分譲について、売主である宅建業者A(乙県知事免許)が宅建業者B(国土交通大臣免許)に販売代理を依頼して、Bが案内所を設けて、売買契約の申込みを受ける場合、宅建業法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。(1993年の過去問 問-48)

【問】Bは、その案内所の設置について国土交通大臣及び甲県知事に届け出る必要があり、Aも、その分譲について届け出る必要がある。

宅建業者は、一団の宅地建物の分譲について代理・媒介を案内所を設置して行い、契約の締結または申込みを受ける場合、その案内所について免許権者および案内所を管轄する都道府県知事に対して届出をする必要があります。この届出を行うのは当該案内所を設置した代理業者のみです。よってAも届け出るとする本肢は誤りとなります。


宅建業者A(甲県知事免許)は、乙県でも新たに宅地分譲と建築請負を行うこととして、宅地分譲については宅建業者B(乙県知事免許)と販売代理契約を締結した上、Bが分譲地(50区画)に案内所を設けて行うこととし、建築請負についてはAが乙県に出張所を設けて行うこととした。この場合、宅建業法の規定によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。(1994年の過去問 問-39)

【問】Aは、国土交通大臣に免許換えの申請をする必要はない。

建築請負についての出張所は事務所にあたりません。よって免許換えは必要なく、正しい肢となります。

【問】Bは、案内所に標識を設置し、売主がAであることを明示しなければならない。

標識には、売主の商号または名称を明示しなければなりません。よって正しい肢です。


宅建業法に規定する標識に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。(1999年の過去問 問-43)

【問】複数の宅建業者が、業務に関し展示会を共同で実施する場合、その実施の場所に、すべての宅建業者が自己の標識を掲示しなければならない。

複数の宅建業者が共同で展示会を実施する場合でも、それぞれの宅建業者の標識掲示義務は変わりません。よって正しい肢となります。

【問】宅建業者は、一団の宅地の分譲を行う案内所で契約の締結を行わない場合、その案内所には標識を掲示しなくてもよい。

契約の締結を行うか否かは問わず、一団の宅地建物の分譲を行う案内所を設けた場合には、標識掲示義務があります。誤りです。

【問】宅建業者は、一団の建物の分譲を、当該建物の所在する場所から約800m離れた駅前に案内所を設置して行う場合で、当該建物の所在する場所に標識を掲示したとき、案内所には標識を掲示する必要はない。

宅地建物の所在場所と、案内所にはそれぞれ標識掲示義務があります。誤りです。

【問】宅建業者の標識の様式及び記載事項は、その掲示する場所が契約の締結を行う案内所であれば、事務所と同一でなければならない。

標識の様式および記載事項は、事務所と案内所等で別に定められます。誤りです。


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