【代理】で押さえる宅建過去問

宅建過去問:「代理」の重要過去問を見ていきます。ものすごく重要です。ほぼ出題されない年はないと思っていいでしょう。出題パターンも多く覚えるのは大変ですが、逆に出題されるのは分かっていますので、ここは確実に1点いただいておきましょう。少し量は多いですが以下の問題をしっかり押さえ、言い回しが変わっても対応できるようにしておいてください。

代理の宅建過去問

Aは、Bの代理人としてC所有の土地についてCと売買契約を締結したが、その際次に掲げるような事情があった場合、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。(1990年の宅建士過去問 問-5)

【問】BがAに代理権を与えていなかった場合は、Cは、その事について善意無過失であり、かつ、Bの追認がないとき、Aに対して契約の履行の請求又は損害賠償の請求をすることができる。

無権代理において、無権代理人が本人の追認を得られない場合、善意無過失の相手方は履行の請求または損害賠償の請求ができます。よって正しい肢となります。

【問】AがBに隠れて当該土地の売買についてCからも代理権を与えられていた場合は、当該契約は効力を生じない。

双方代理は原則として無効(本人の同意がある場合や本人に不利益をもたらすおそれのない債務の履行については有効)。よって正しい肢となります。

【問】CがAをだまして売買契約を締結させた場合は、Aは当該売買契約を取り消すことができるが、Bは取り消すことができない。

代理行為の効果は本人に生じるので、取消権は本人Bが取得することになります。よって誤りです。

【問】BがAに代理権を与えていなかった場合は、Cは、そのことについて善意であり、かつ、Bの追認がないとき、当該売買契約を取り消すことができる。

相手方が善意のため、取消権を行使することができ正しい肢となります。ちなみに催告権は悪意でも行使できるので要注意です。


AがBから代理権を与えられて、契約を締結し、又は締結しようとする場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。(1991年の宅建士過去問 問-3)

【問】Aが未成年者である場合、Bは、親権者の同意がないことを理由として、Aが締結した契約を取り消すことができる。

代理人は能力者であることを要しません(本人の自己責任)。よって誤りです。選任後の後見開始と区別し、制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為は取消事由となる点にも注意。

【問】AがBからB所有地の売却の代理権を与えられている場合、Aは、Bの同意がなければ、自ら買主となることができない。

自己契約は原則として禁止されていますが、本人の同意があればこの限りではありません。よって正しい肢となります。


Aが、B所有の建物の売却(それに伴う保存行為を含む。)についてBから代理権を授与されている場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。(2001年の宅建士過去問 問-8)

【問】Aが、Bの名を示さずCと売買契約を締結した場合には、Cが、売主はBであることを知っていても、売買契約はAC間で成立する。

代理人が本人の名を示さず売買契約を締結した場合、売買契約は原則として代理人と相手方との間で成立しますが、相手方が、代理人が本人のために契約を締結したことを知っていた(または知ることができた)ときは、契約は本人との間で成立します。よって誤りです。

【問】Aが、買主Dから虚偽の事実を告げられて売買契約をした場合でも、Bがその事情を知りつつAに対してDとの契約を指図したものであるときには、BからDに対する詐欺による取消はできない。

代理人が虚偽の事実を告げられて売買契約を締結した場合、本人は原則として詐欺を理由に契約を取り消すことができます。しかし、代理人が本人の指図に従って契約を締結した場合、本人は自己が知っていた事実について代理人が知らなかったことを主張できません。よってBは、AがDにだまされたことを主張することはできず、正しい肢となります。

【問】Aが、買主を探索中、台風によって破損した建物の一部を、Bに無断で第三者に修繕させた場合、Bには、修繕代金を負担する義務はない。

保存行為の代理権を与えられた代理人が、保存行為のために締結した契約の効果は本人に帰属します。よってBは修繕代金を負担する義務を負い、誤りとなります。

【問】Aは、急病のためやむを得ない事情があっても、Bの承諾がなければ、さらにEを代理人として選任しBの代理をさせることはできない。

任意代理人は、本人の許諾があるとき「または」やむを得ない事情があるときに復代理人を選任することができます(法定代理人は、自己の責任でいつでも復代理人を選任可能)。よって誤りです。


Aが、A所有の1棟の賃貸マンションについてBに賃科の徴収と小修繕の契約の代理をさせていたところ、Bが、そのマンションの1戸をAに無断で、Aの代理人として賃借人Cに売却した。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。(1999年の宅建士過去問 問-7)

【問】Aは、意外に高価に売れたのでCから代金を貰いたいという場合、直接Cに対して追認することができる。

無権代理の本人は、直接相手方に対して追認することができます。よって正しい肢となります。

【問】Cは、直接Aに対して追認するかどうか相当の期間内に返事をくれるよう催告をすることができるが、Cがこの催告をするには、代金を用意しておく必要がある。

催告に際して代金を用意する必要はなく、誤りとなります。

【問】Aが追認しない場合でも、CがBに代理権があると信じ、そう信じることについて正当な理由があるとき、Cは、直接Aに対して所有権移転登記の請求をすることができる。

代理人が与えられた権限を越えて代理行為を行った場合でも、相手方が代理権の範囲内であると信じ、そう信じることについて正当な理由があるときは、本人に効果が帰属します(表見代理)。よってCはAに対し所有権移転登記を請求でき正しい肢となります。

【問】Cは、Bの行為が表見代理に該当する場合であっても、Aに対し所有権移転登記の請求をしないで、Bに対しCの受けた損害の賠償を請求できる場合がある。

表見代理の場合、相手方は、表見代理を主張するか、無権代理人の責任を追及するか自由に選択することができます。よって正しい肢となります。


A所有の不動産につき、Aを代理して賃貸借契約を締結する代理権を授与されたBは、この代理権の範囲を超えて、当該不動産をCに売却する契約を締結した。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。なお、Cは善意、無過失であるものとする。(1985年の宅建士過去問 問-8)

【問】Bの行為は、無権代理行為であり、当該売買契約は、原則として、Aに対してはその効力を生じないが、AがBの行為を追認したときは、その追認のときに新たに有効な契約がAC間で締結されたものとみなされる。

追認の効果は、原則として代理人が契約をしたときに遡って効力を生じるため誤りとなります。

【問】Cは、Aに対し、相当の期間を定めて、その期間内にBの行為を追認するか否かを確答すべきことを催告することができ、当該期間内にAが確答をしなかった場合には、AはBの行為を追認したものとみなされる。

催告をし、その期間内に本人の確答がない場合は、追認は拒絶されたものとみなされるため誤りとなります。

【問】AがBの行為を追認するまでの間は、Cは当該契約を取り消すことができる。

善意の相手方は取消権を行使することができ、この取消権は本人が追認するまでの間のみ行使することができます。よって正しい肢となります。


Aは、Bの代理人として、Bの所有地をCに売却した。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。(1994年の宅建士過去問 問-4)

【問】Aが代理権を与えられた後売買契約締結前に破産手続開始の決定を受けると、Aの代理権は消滅するが、Aの代理権が消滅しても、Cが善意無過失であれば、その売買契約は有効である。

代理人の破産によって代理権は消滅するため、代理権が消滅したあとの代理人の行為は原則として無権代理行為となり無効。しかし相手方が、代理人に以前と同様に代理権があると善意無過失で信頼した場合、代理人の行為は有効となるため正しい肢となります。


AがA所有の甲土地の売却に関する代理権をBに与えた場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、表見代理は成立しないものとする。(2010年の宅建士過去問 問-2)

【問】Aが死亡した後であっても、BがAの死亡の事実を知らず、かつ、知らないことにつき過失がない場合には、BはAの代理人として有効に甲土地を売却することができる。

代理人が善意無過失であっても、代理権は本人の死亡によって消滅します。本人の死亡によって代理権が消滅しない例外として、登記申請を覚えておいてください(不動産登記法でも出題されます)。よって誤りです。

【問】Bが死亡しても、Bの相続人はAの代理人として有効に甲土地を売却することができる。

代理人の死亡でも代理権は消滅し、代理権は相続の対象とはなりません。代理権の消滅事由は、本人の死亡・後見開始・破産(任意代理のみ)代理人の死亡・後見開始・破産です。よって誤りです。


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