弁済(難問対策版) 重要度 ★★★★☆


今回は『弁済』についてお話いたします。

前回の代理とは打って変わって簡単です。簡単だからこそ出題されたら落とせません。難しい科目は力を入れ、簡単な科目はサラッと流して覚えて曖昧な知識にする方がいますが、それは逆です。まずは簡単な科目こそ力を入れて万全にし、残った時間で難しい科目に力を入れてください。時間がなければ難しい科目は基礎だけを確実に覚えて消去法で正解できればくらいのスタンスで大丈夫です。

深入りしすぎずその勉
強時間を簡単な科目に充ててください。50点を目指す必要はなく、35点以上を目指してください。難しい科目に力を入れすぎて記憶が散漫になることなく、まずは取れるところで確実に得点してください。合格を勝ち取るにはそういった勉強テクニックも必要です。

では、出題されたら確実に取っておくべき弁済を順番に見ていきます!


弁済とは

債務者が約束の債務を果たし、債権者の債権が目的を実現し消滅すること

債権の「効力」に視点をあてた履行と、債権の「消滅」に視点をあてた弁済、実質同じと考えておいて問題ありません。



弁済すべき者

・債務者

まず、債務者本人は当然に弁済ができます。その他に、債務者の代理人も弁済ができます。


・第三者

債務者、債務者の代理人以外の第三者も弁済ができますが、要件が2つあります。

1.債務の性質がこれを許さないものでないこと…債務の本旨から、債務者本人にしか弁済できないと考えられるものについては、第三者の弁済は許されません。
例:債務の内容が著名な学者による講演や俳優の演技とする場合などは、その本人が必要

2.当事者が反対の意思を表示していないこと…当事者は、第三者による弁済を禁止することができます。友人や両親が「代わりに払ってやる」と言っても「大きなお世話」というわけです。
例外:利害関係を有する第三者(抵当不動産の第三取得者、物上保証人など)は、債務者の意思に反しても弁済ができる。親族や友人は利害関係人とはいえません。

第三者が弁済した場合に、第三者が債権者に代位できることがあります。代位とは、債権者が有していた原債権を弁済した第三者が取得することをいうのですが、突っ込むとかなり難しくなりますので、次の2つだけを何も考えずにそのまま覚えておいてください。

債権者の承諾があれば、弁済と同時に代位の効果が発生する(任意代位)
弁済につき正当な利益を有する者は、当然に債権者に代位する(法定代位)

ここでの正当な利益を有する者とは、保証人、連帯保証人、連帯債務者、物上保証人、担保目的物の第三取得者、後順位担保権者などをいい、つまり、弁済が行われないと自分が執行を受けたり自分の権利価値が失われる者ですね。



弁済を受ける者

もちろん、債権者です。しかし、間違えて債権者でない者に弁済をしてしまった場合が重要となります。原則として、債権者以外の者への弁済は無効です。よって、債権は消滅しません。しかし、債権の準占有者(本当の債権者ではないが、権利証や実印などを持っていて債権者のように見えた人)に対し、「善意無過失」で弁済した場合は有効となります。受取証書(領収証)を持参した者に対して、善意無過失で弁済した場合も有効だということも覚えておいてください。

善意無過失で債権の準占有者に弁済をした債務者は弁済をしたことになり、あとは不憫な本来の債権者が準占有者に対して不当利得返還請求をすることになります。

また、余裕があれば超難問対策として、債権者に弁済したのに弁済の効力が生じない次の1つを頭の片隅に入れておいてください。他にも例外はあるのですが、この1つを覚えておきましょう。AのBに対する債権がAの債権者Cに差し押さえられた場合、BがAに弁済しても、BはCに対して弁済の効力を主張することができません。Cからの請求があればBは二重に弁済しなければならず、二重に弁済したBはAに対して求償することになります。



弁済場所

特定物:債権発生当時、その物が存在した場所
不特定物や金銭債務等:債権者の現時の住所(債権譲渡されたときは新債権者の住所)

特定物=個性ある物(○月○日収穫のササニシキ100キロ)
不特定物=ただ一定の種類や量(米100キロ)



弁済時期

確定期限あるとき:債務者はその期限到来時から遅滞責任を負う
不確定期限あるとき:債務者は期限到来を知ったときから遅滞責任を負う
期限を定めなかったとき:債務者は履行請求を受けたときから遅滞責任を負う

確定期限=いつ来るか確定している期限(○月○日)
不確定期限=いつか来ることは確実だがいつ来るか分からない期限(次に雨が降るまで)

弁済時期に弁済しなかったらどうなるのかは、債務不履行を参照してください。

ここで覚えておいてほしいのは、売買の目的物の引渡しについて期限を定めた場合は、その代金の支払いにも同一期限が付されたものと推定される、ということです。同時履行の趣旨です。代金が支払れるまで目的物を引渡す必要はありません。目的物が引渡されるまで代金を支払う必要はありません。他にも同時履行が要求されるケースについては、順次、場面に応じて覚えていってください。同時履行の必要がないケースも重要です。ここでは、債務の弁済と受取証書(領収証)の交付義務は同時履行の関係にあるということを絶対に覚えておいてください。

引っかけとして、弁済と債権証書(契約書など)の返還義務が同時履行の関係にあると出題されたら誤りです。債権証書は、全ての弁済完了後に返還を請求することができます。

弁済者が弁済の提供をして受取証書の交付を求めたが、弁済受領者が受取証書の交付を拒んだ場合、弁済は有効に成立していませんが弁済者は遅滞責任を免れます。弁済が遅れた履行遅滞などと異なり、債権者が弁済を受けるのは「権利」であって義務ではありません。債権者が弁済に応じない受領遅滞については細かすぎるため触れませんので、債務者が弁済時期までに弁済の提供をすれば遅滞責任を免れるということだけ覚えておいてください。



弁済の提供

原則:現実の提供(売買代金を約束の場所へ持参して提示する)
例外:口頭の提供(債権者が、「あらかじめ受領を拒み」、または「履行のために債権者の行為を必要とするとき」には、口頭の提供で足りる)

つまり例外も含め最低でも口頭での提供だけは必要ということですが、口頭の提供すら要しないケースがあります。かなり細かい知識ですが、宅建業に関係していて出題されてもおかしくないので軽く触れておきます。不動産賃貸借契約における賃料に関して、賃借人の経済状態が悪いわけでもなく支払う意思はあるのに、賃貸人が受領しない意思が明確であるときは口頭の提供すら要しません。大家さんが賃料の値上げを要求し、賃借人がそれを拒んで値上げ前の賃料を支払う意思を示しても、大家さんが「明確に拒絶」することが分かっている場合ですね。この場合は口頭の提供すらしなくても債務不履行となることはありません。

弁済の提供をすることにより、債務者は債務不履行責任を免れます。債権の目的が特定物の引渡しである場合、その物が毀損等していても現状で引き渡せば(弁済の提供をして債務不履行責任を免れるという意味では)問題ありません。間違えて本来の目的物でない物を引き渡してしまった場合は、もちろん更に有効な弁済が必要です。有効な弁済をするまで、間違えて給付した物を取り戻すことができません。債権者が本来の給付と気づかず善意でその物を消費したり譲渡した場合、弁済者は取戻請求ができなくなります(あとは弁済者と本来の所有者との不当利得や損害賠償の問題となります)。

弁済の給付が一部で、全ての債務を消滅させるのに足りない場合は、当事者の合意によりいずれの債務に充当するか決めますが、当事者の合意がなかった場合は、費用→利息→元本の順で充当する必要があります。一部弁済でも受取証書の交付を請求できます

弁済費用については、別段の意思表示がないときは債務者が負担します。ただし、債権者が住所を移転するなど弁済費用を増加させたときは、その増加額は債権者の負担となります。債権者が増加分の費用を支払わないとして、債務者が弁済を拒むことはできません。とりあえず増加分の自腹を切って弁済の提供をした後に頑張って請求してください。



代物弁済

本来の給付と異なる他の給付を現実になすことにより、本来の債権を消滅させること

他の給付が現実になされる必要がある要物契約だということを覚えておいてください。債権の一部についても代物弁済をすることが可能です。第三者が弁済できるとき、その第三者も代物弁済をすることが可能です。代物弁済として給付された物に瑕疵があった場合でも、債権者は瑕疵のない物に代えるよう請求することはできず、代物弁済により債権者の債権は消滅します(あとは損害賠償などの問題)。債権の一部と言わずに代物弁済がなされた場合、債権額より価値が少なくても債権全部が消滅します。


ベースが簡単なのでちょっと深く掘り下げすぎた気もしますが、それでも難しくはなく覚えやすいと思いますので、しっかりとマスターしておいてください!



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